今回は、先月掲載しました「平成27年9月関東・東北豪雨」時に見られた雲についての解説です。
なお、このときの詳しい気象状況については、前号(http://blog.goo.ne.jp/yamatenwcn/e/201f0494ffcc80ed26c173dc155de358)をご確認ください。
これは、埼玉県中部から、日光方面に豪雨をもたらした積乱雲を捉えた雲(画面奥の南北に連なるひときわ白い雲)です。その手前にも積乱雲が衰えた雲が帯状に延びています。南北に連なる雲は同じ場所に停滞する(正確には古い雲は衰えて、新しい雲が同じ場所で生まれる)ことがあり、このような雲がかかっている場所は集中豪雨に注意が必要です。
西の空を見ると、次の発達した雲が見られます。この下では非常に強い雨が降っています。南北に連なる雲は、特に風が山にぶつかって上昇流が強まる山の南斜面で発達します。下図は、このときのレーダー・降水ナウキャスト(雨雲の様子)です。関東山地に沿って雨雲が発達していることが分かります。この雲が東に動いて停滞した栃木、茨城県で記録的豪雨となりました。
※レーダー・降水ナウキャストは気象庁ホームページより。写真は猪熊隆之撮影
※図、文章、写真の無断転載、転用、複写は禁じる。
文責:猪熊隆之