今回は、先日の涸沢フェスティバルで見られた雲について紹介します。
2日目の朝は快晴でした。こんな朝を迎えると、山に来て良かったなぁ、と思いますよね。
ところが、陽が昇ると、屏風の頭と北尾根の鞍部から雲が流れ出してきました。滝雲になりかかりましたが、残念ながら完成系までには至らず。湿った空気の入りこみが弱かったからですね。
画面の右側が南の方角ですので、南からの湿った空気が入り込んでいることを示しています。この方角、つまり涸沢から見て北尾根の方角からどんどん雲が湧いてくるときは要注意。天気が崩れることが多くなります。
この日も次第にガスに覆われ、何とか田中陽希さんのトークショーまで雨は持ってくれましたが、夜中は土砂降りの大雨に。
なんと雨男がいるのか、北アルプス南部にだけ強い雨雲がかかっているではないか!これは飛騨側からの温かく湿った空気と、安曇野盆地からの湿った空気が北アルプスでぶつかり合い、上昇気流が強められたことが原因。このような地形性の雨の場合は状況が変わらなければ、雨は止みません。
翌朝も雨が残り、残念ながら朝の観天望気講座は中止になりました。さて、閉会式もまさかの中止!?と思っていたところ
風向きが飛騨側からの風に変わりました。東の空が明るくなり、常念山脈の上空には青空もも。つまり、雨雲を維持していた場が変わったのです。風下側から天気が回復してくるという山の天気で良く見られる光景がここでも見られました。
案の定、雨はどんどん止んでいき、何とか閉会式を終えることができました。
めでたし、めでたし。
※雨雲レーダー:気象庁提供
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写真、文責:猪熊隆之