今回は笠雲(かさぐも)がテーマです。
先日、蓼科山に笠雲がかかっていました。蓼科山に、綺麗な笠雲がかかるのは珍しいことです。
笠雲と言えば、富士山が有名ですね。また、「笠雲がかかると雨が降る」と古くから言われるように、山に笠雲がかかると天気が崩れることが多くなります。
写真1 蓼科山にかかる笠雲
それでは、どうして笠雲ができると天気が崩れやすくなるのでしょうか?
まず、笠雲ができる原理を見ていきましょう。
図1 笠雲ができる仕組み
水蒸気を含んだ空気が山にぶつかり、斜面を上昇していくと、空気の中にある水蒸気が冷やされて雲粒に変わっていきます。
それが笠雲です。このとき、大気が比較的安定していると、雲はやる気を出せず、上にモクモクと成長していくことはできません。
また、風が強いと雲が風によってなめらかな形になります。
ということで、綺麗な形の笠雲ができるためには条件は次の2つになります。
1.上空の風が強いとき
2.山頂と同じ高さの空気中に水蒸気が多いとき
これらの条件が揃うのは、低気圧が発達しながら日本海を進んでいくときや、太平洋高気圧の縁を湿った空気が入ってくるときなどです。
そのようなとき、天気が崩れることが多く、「笠雲が現れると雨が降る」ということわざは、当たる方のことわざになります。
特に、二重、三重の笠雲になるときは、山では大荒れの天気になることが多くなります。
写真2 富士山にできた三重の笠雲(mt.fujiライブカメラ絶景くんより http://www.vill.yamanakako.yamanashi.jp/zekkei/)
しかしながら、笠雲が出来ても天気が崩れないこともあります。
低気圧が通過した後、湿った空気が残り、風が強いときにできる笠雲です。
こうしたときは、笠雲が段々減っていきます(山岳気象大全第1章17ページの図)ので、笠雲の変化を見ていきましょう。
文、写真:猪熊隆之(株式会社ヤマテン)
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