~すじ雲(巻雲)が語ってくれること~
すじ雲(巻雲)は、青空に筆でスーッと筋を書いたような雲です。半透明なのは、上空高い所(高度8~13km付近)にあり、雲が全て氷晶でできているからです。私がもっとも好きな雲でもあります。すじ雲には直線上のものと、折れ曲がったものとがあります。今日(5月12日)は折れ曲がったものが見られました。
写真1 折れ曲がったすじ雲
上の写真で真ん中やや左寄りに見られるのがすじ雲です。雲がカーブしています。その理由について述べていきます。
写真2 写真1の解説図
まず、雲がもっとも濃くなっている部分では上昇気流が起きて水蒸気が次々と雲に変わっている場所です(雲がどんどん誕生している場所)。上昇気流により、雲が濃密になっています。そこから右下(私たちから見ると)に雲は流れて折れ曲がっています。これは下降気流により、雲が高度を下げていくときに、風の向きや風速が変わるためです。そこからさらに右側に雲は流れていき、薄くなっていますが、これは雲がさらに下降していき、蒸発して水蒸気に戻りつつあることを示しています。
写真3 直線状のすじ雲
こちらの雲は直線状ですね。下降しながら風向、風速が変わらない場合にはこのような形になります。
すじ雲を見たら、雲がどの方角に流れていき、どこで生まれてどこで消えているのか考えてみましょう。雲の気持ちに耳をすませば、答えが見えてくるでしょう。
文、写真:猪熊隆之(株式会社ヤマテン)
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