18きっぷで会いに行く『日本製』第13弾は、埼玉県秩父郡小鹿野町。
JR東飯能駅乗り換え、西武秩父線 西武秩父駅からバスで約40分。
2百数十年前の江戸時代から続く、小鹿野町歌舞伎の里を訪ねた。
「小鹿野町歌舞伎さろん」は小鹿野文化センター内にあり、資料や衣装などが展示されている。
伝統の歌舞伎は我が県内にもあるが、なぜこの小さな町で220年以上も続いて来たのか。
それは、町内の6地域の神社のお祭りで、氏子が奉納する形で歌舞伎が演じられるからという。
一生懸命稽古した歌舞伎を奉納して神様に喜んでいただき、自分たちも楽しむ形が継承され
地域の中で歌舞伎への愛着や、伝えて行かなければという使命感が深まって行った結果だと。
小鹿野には、女性だけの歌舞伎、子供だけ、高齢者だけ、おまわりさん歌舞伎とか、
色々なものが沢山あって、”地芝居のデパート”と言われるほどという。
さらに役者だけではなく、大道具、小道具、衣装、鬘、義太夫、下座までフルセットで揃い、
まさに、町じゅうが歌舞伎一座だという。
実際の歌舞伎は中々観に来れないが、「小鹿野歌舞伎さろん」では録画を観ることもできる。
三浦氏がふと気にしたことは、この舞台にかけてある短冊「花掛け」のこと。
ご祝儀「ものすごい金額だと思われますよね?」と、説明する役場の方。
これは、お返しが出来ないのでお礼の意味で金額を10倍で書いているという。
一万円なら壱拾萬円、二万円なら弐拾萬円、三万円なら参拾萬円という風に。
「芝居」=「4倍」という所もあり、運営費や経費、慰労会費になるという。
山の中の小さな駅かと思っていたら、西武秩父駅はライトアップされていてまるでお祭りの様だった。
駅前のバス乗り場で待っていると、町営バスがやって来た。
小鹿野町まではひと山越える感覚でヘアピンカーブが続く道だが、バスの運転手は若い女性で驚いた。
何処まで乗っても500円也。バスが大活躍していた。
「一年に一度のお祭りのためにみんなが集まり、歌舞伎を作る。
お金のためではなく、ただ好きだから、楽しんでもらいたいから、地域を盛り上げたいから、未来に繋げたいからという一心で稽古を重ね、技を磨く。
とても尊く、僕も頑張らなければとシンプルに思いました。本当に学ばせてもらいました、いつか必ず観に行かせてもらうつもりです。」
地元中学校でも力を入れているようです。