「14歳の君へ」 池田晶子
著者は、46歳の若さで2月末になくなった。その記事を週刊誌で見てこの本を買った。 3年前「14歳からの哲学」がベストセラーになったが、その際は読む気にならなかった。今回の本は、毎日中学生新聞に連載されたものをまとめたそうだ。 著者が死期を予感していたのか、真摯でわかりやすく語りかける文体で、思春期の若者に「考える」ことによって自分を発見し、悩みから救われる道があることを説く。 いい本だと、思った。
「つっこみ力」 パウロ・マッツァリーノ ちくま新書
日本在住の変な(?)イタリア人の文筆家が、とある大学で講演したもの。 漫才のボケと突っ込みなど、日本には独自の笑いの文化があるのに、「今日本人には笑いが少ない。それは「愛」が欠乏しているからだ。」「ユーモアは秀才の業。ギャグは異才、鬼才の業。 ユーモアはリスクをともなわないが、ギャグははずれば恥をかくし勇気がいる。」など、結構楽しめる本。 後半は、「失業率と自殺率の相関を指摘する学者などがいるが、2000年ごろの自殺の急増は、住宅ローンのゆとり返済が立ち行かなくなったせいだ、日本人はマイホームで多大なローンを組むことこそ見直すべきだ」など硬派な主張もある。軽く笑えて読めて、でも結構真実をついていて、意外とお薦めです。
「変われる国日本へ」 坂村健 アスキー新書
家電などに使われている日本独自のOS「トロン」の発明者として知られる著者が、今の日本に必要な「イノベーション」の能力について語っている。因みに著者は、今後は「ユビキタスコンピューティング」の時代が到来するとして、バーコードのようなタグをすべての製品に組み込み、bluetoothなどで即座にそのタグとコンピュータが通信していく社会を予見しているようだ。
「反経営学の経営」 片平秀貴他 東洋経済
いわゆるグローバル資本主義に対する日本的経営の復権を唱えた書の部類といっていい。著者は日本のブランド論の権威である元東大教授の片平氏他による。 独自の経営哲学で成功している日本の会社を例に引きながら、「モノづくりよりコトづくり(第5章)」、「売り手よし、買い手よし、世間よし」を是とした近江商人の商売の倫理観を引き合いにだし、「利他の心が人を動かす(第6章)」など、文字通り「カネ」がすべての資本主義より、人的・知的資本の重要性を説いている。
「総下流時代 なぜワーキングプアが増えるのか」 藤井ゲンキ 光文社ペーパーバック
ややアウトサイダー的な視点を展開するシリーズで異色な本を出しているこのペーパーバックシリーズ。 今回の本の著者も、単なる日本国内の下流社会論ではなく、グローバル階級社会の成立や世界の文明論を交えて、21世紀中ばには、世界の人口において途上国民の占める比率が飛躍的に増え、先進国はマイノリティーになり、暗黒の中世のような時代がくる可能性を指摘するなど、ユニークな論を展開している。
余談だが、3月にドイツにルフトハンザで飛んだが、ついに東京からの便でもキャビンでインド映画が見れるようになっていた。 2本見たが、ロマンスのクライマックスでいきなり主人公のカップルが歌いだしてミュージカルみたいだったり、ストーリーはリアリズムよりエンタテイメント性が優先されていたりほほえましいものだった。 「家族」や「愛」を主題にしているのは最近の邦画もそうかもしれないが、インドではこんな映画がヒットするのなら、「世界はフラット化などしていない」という「つっこみ力」の著者に賛同したくなりました(笑)
著者は、46歳の若さで2月末になくなった。その記事を週刊誌で見てこの本を買った。 3年前「14歳からの哲学」がベストセラーになったが、その際は読む気にならなかった。今回の本は、毎日中学生新聞に連載されたものをまとめたそうだ。 著者が死期を予感していたのか、真摯でわかりやすく語りかける文体で、思春期の若者に「考える」ことによって自分を発見し、悩みから救われる道があることを説く。 いい本だと、思った。
「つっこみ力」 パウロ・マッツァリーノ ちくま新書
日本在住の変な(?)イタリア人の文筆家が、とある大学で講演したもの。 漫才のボケと突っ込みなど、日本には独自の笑いの文化があるのに、「今日本人には笑いが少ない。それは「愛」が欠乏しているからだ。」「ユーモアは秀才の業。ギャグは異才、鬼才の業。 ユーモアはリスクをともなわないが、ギャグははずれば恥をかくし勇気がいる。」など、結構楽しめる本。 後半は、「失業率と自殺率の相関を指摘する学者などがいるが、2000年ごろの自殺の急増は、住宅ローンのゆとり返済が立ち行かなくなったせいだ、日本人はマイホームで多大なローンを組むことこそ見直すべきだ」など硬派な主張もある。軽く笑えて読めて、でも結構真実をついていて、意外とお薦めです。
「変われる国日本へ」 坂村健 アスキー新書
家電などに使われている日本独自のOS「トロン」の発明者として知られる著者が、今の日本に必要な「イノベーション」の能力について語っている。因みに著者は、今後は「ユビキタスコンピューティング」の時代が到来するとして、バーコードのようなタグをすべての製品に組み込み、bluetoothなどで即座にそのタグとコンピュータが通信していく社会を予見しているようだ。
「反経営学の経営」 片平秀貴他 東洋経済
いわゆるグローバル資本主義に対する日本的経営の復権を唱えた書の部類といっていい。著者は日本のブランド論の権威である元東大教授の片平氏他による。 独自の経営哲学で成功している日本の会社を例に引きながら、「モノづくりよりコトづくり(第5章)」、「売り手よし、買い手よし、世間よし」を是とした近江商人の商売の倫理観を引き合いにだし、「利他の心が人を動かす(第6章)」など、文字通り「カネ」がすべての資本主義より、人的・知的資本の重要性を説いている。
「総下流時代 なぜワーキングプアが増えるのか」 藤井ゲンキ 光文社ペーパーバック
ややアウトサイダー的な視点を展開するシリーズで異色な本を出しているこのペーパーバックシリーズ。 今回の本の著者も、単なる日本国内の下流社会論ではなく、グローバル階級社会の成立や世界の文明論を交えて、21世紀中ばには、世界の人口において途上国民の占める比率が飛躍的に増え、先進国はマイノリティーになり、暗黒の中世のような時代がくる可能性を指摘するなど、ユニークな論を展開している。
余談だが、3月にドイツにルフトハンザで飛んだが、ついに東京からの便でもキャビンでインド映画が見れるようになっていた。 2本見たが、ロマンスのクライマックスでいきなり主人公のカップルが歌いだしてミュージカルみたいだったり、ストーリーはリアリズムよりエンタテイメント性が優先されていたりほほえましいものだった。 「家族」や「愛」を主題にしているのは最近の邦画もそうかもしれないが、インドではこんな映画がヒットするのなら、「世界はフラット化などしていない」という「つっこみ力」の著者に賛同したくなりました(笑)