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その国が7~8年前から、ドバイやアブダビのような開放政策に転換したことで、外国の資本や出稼ぎ者が殺到し、首都ドーハの海岸沿いには、今や超近代的なビルが立ち並ぶ景観に一変した。 人口160万人の6割以上が外国からの移住者・出稼ぎで、そのうち8割が首都ドーハに住むというが、いったいどういう経済、社会構造になっているのかは容易に理解しがたい。
ドーハでは、今も多くのビルが建設中だ。カタールは世界の天然ガスの2割弱を埋蔵するといい、シェルなどが大いに開発しているようだが、この乱立する高層ビル群にはいったい誰が働き、居住するのか不思議である。 2022年に中東初の開催が決まったワールドカップサッカーに向けて建設している、と砂漠ツアーのカタール人は語ってはいたが、、。 ドーハの国際空港は、2年後の新空港開港に向けて建設の只中にある。今回泊まったWホテルも、周辺に広がりつつある首都の版図の北の海岸沿いにある。 アジアカップということで、特別な夜間のスポットが空に舞い、ビルの壁はペイントしてある。
XL1はもう完成している!
XL1の試乗は、ホテルのクルマ寄せからスタートし、そのビルの谷間の公道を20分間ほど、前に警察の先導車と後ろにトゥアレグのカメラカーに挟まれて一回りをする(私は時間の関係で残念ながら運転できなかったが。)
XL1は、VWの前会長、現監査役会会長でポルシェ博士の孫であるフィルディナンド・ピエヒのペットプロジェクトである。 2007年に東京モーターショーに来日した際、「私は2つのリッターカーを作った。ひとつがヴェイロン、もうひとつが1リッターで100キロ走るワンリッターカーだ」と言っていたことを鮮明に思い出す。16気筒1000馬力、市販車最速の407キロの最高速を誇る「ブガッティ ヴェイロン」が実現し、この1リッターカーの実現がピエヒの宿願なのだ(本人は、ホビーといっていたが)。
「1リッターカー」のコンセプトは、2002年にピエヒがピシェッリーダーにVW会長をバトンタッチした際に、最初のドライバブルコンセプトカーとして登場し、2009年のフランクフルトショーで、「L1」として再び登場した。今回のカタールモーターショーで、Tandem(縦2人乗車)から横一列2座のより現実的なconfigurationとなってお披露目されたわけだ。 なぜ、ガソリンが1リッター20セントしかしない中東の小国でお披露目かといえば、いまやカタール政府(Qatar Holding)は、フォルクスワーゲンAGの17%の株を保有する大株主であるからに他ならない。
XL1は、モノコック構造とエクステリアパネルがCFRPでできており、サイドウィンドウは軽量なポリカーボネイト製。 パワートレインは、800CC2気筒のディーゼルにモーターと7速DSGを組み合わせたプラグインHVだ。 シャーシはフロントがダブルウィッシュボーン、リアがセミトレーリングアーム式でともにアルミ製。 内装のシートやインパネは、量産品といってもいいくらいの素材を使っている。左右ともに上方に跳ね上げるガルウィングのドアの採用と、わずか1.1mという低い車高とあいまって、スーパーカーの雰囲気を醸し出す。フロントの助手席は27cm後方にオフセットされており、運転者、助手席ともにスペースは余裕がある。 ドライブユニットは、リアに横置きに配置され、その後ろには、結構深く容量もあるトランクスペースがある。 リアウィンドウはないので、後方視界はさすがにやや辛いようだが、両サイドのドアミラー内臓のカメラで確認する。
走りは、加速性能、乗り心地ともに思った以上にいい出来のようだ。 スルスルと電気モーターで動き出すXL1が、交通の流れの中に入っていくと不思議に違和感はないが、その流麗なシェイプが地を這うように移動する姿は、もちろん一際目を引くし、周りから見るものもワクワクする。 カーボンモノコックなので、もっと乗り心地が硬いかと思いきや、試乗したジャーナリストによると、乗り心地が非常にいいとのこと。エンジン音も2気筒なので、かわいくプルプルという音が後ろから聞こえてくる感じだ。
車重は795キロと一昔前の軽自動車、35年前の初代スターレットやシビックくらいである。 これを、エンジン+モーター合計で、最大54ps、120Nmのトルクで走らせる。 今回の車のパワートレインとランニングギアは、いずれもほぼオフザシェルフの技術であり、あとはカーボンモノコックが従来の2割程度のコストで製造できるというのが本当だとすれば(一日24台製造可能という)、2013年に100台ほど限定生産するという話も実現しそうだ。 価格はアフォーダブルにしたい、とピエヒは語ったというが、500万円は無理でも7~800万円で出せれば、十分に購入者は現れるだろうし、憧れの的にもなるだろう。