ポケットの中で映画を温めて

今までに観た昔の映画を振り返ったり、最近の映画の感想も。欲張って本や音楽、その他も。

ジュリアン・デュヴィヴィエ・11〜『逃亡者』

2018年05月31日 | 戦前・戦中映画(外国)
ジュリアン・デュヴィヴィエ監督の『逃亡者』(1944年)を観た。

時は1940年、フランスのトゥール。
殺人罪で死刑執行直前のクレマンは、突然のドイツ軍の空爆によって刑務所が破壊され、奇跡的に助かってそこから逃亡する。
その後、通りかかった軍用のトラックに乗せてもらったが、またしてもドイツ軍機の襲撃に遭う。
そこでも偶然生き延びたクレマンは、亡くなった兵士の軍服と身分証を奪い、その兵士モーリス・ラファージュに成り済ます。

ラファージュとなったクレマンは、サン=ジャン=ド=リュズの港で農夫のモンジュと知り合い、赤道アフリカに向かう。
そして、共に乗船していたコシェリ、ブトーらと、ブラザビルの地で対ドイツ軍のための徴兵手続きをする。

船で一緒だったバレンヌ中尉を指揮官としたクレマンらの派遣先は、遠く北方へ離れたチャド湖付近のジャングルの中。
そこでの仕事は、飛行場建設のためのジャングル開拓だった・・・



副官となったクレマンは、モンジュらの信頼も厚く、勤務に一途に励む。
そして少尉に昇格し、バレンヌ中尉と共に中隊を指揮していく。
その後、1940年のフランス・シャンパーニュの功績により中尉に昇格する。

ある日、アフリカのこの僻地に若い女性がラファージュを訪ねて来る。
ラファージュが軍功章を授与し昇格したとの記事を頼りに、はるばる訪ねて来たのは、本来のラファージュの婚約者であった。

クレマンは、偽名で通してきたことをこの婚約者に隠さない。
婚約者は軍総司令部に通報しようとし、クレマンもそのことに拒否をしない。

だが軍総司令部への通報は、実は、他の人物からもたらされる。
そして、軍法会議。

クレマンは言う、孤児院育ちで飢えて過ごし、レストランでの払いもできず少年院へ入った。
孤独で、その環境から抜け出せずにいた・・・

でも、あの身分証を盗んでからは、生まれ変わった。
あの日以来、フランス開放のために必死に戦い続けた。
本人のラファージュは死んだが、その名前は生き続けている、と。

軍法会議の結果、二等兵に降格されて前線に赴くクレマン。
そして、彼と行動を共にする友人たち。

デュヴィヴィエの戦中の映画。
それも、フランスから逃れてのアメリカ作品だから、言わんとする内容に納得もできるし、十分に見応えもある。
ただ、行動範囲を示す場所が多かったりするので、その地がどこにあるのかがわからないと地形的にピンと来なかったりもする。
が、それを差し引いても、この作品はもう少し評価されてもいいのではないか、と感じた。

コメント
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