ポケットの中で映画を温めて

今までに観た昔の映画を振り返ったり、最近の映画の感想も。欲張って本や音楽、その他も。

『素足の季節』を観て

2017年02月18日 | 2010年代映画(外国)
『裸足の季節』(デニズ・ガムゼ・エルギュヴェン監督、2015年)を借りてきて観た。

イスタンブールから1000km離れたトルコの小さな村に住む、美しい5人姉妹の末っ子ラーレは13歳。
10年前に両親を事故で亡くし、いまは祖母の家で叔父とともに暮らしている。
学校生活を謳歌していた姉妹たちは、ある日、古い慣習と封建的な思想のもと一切の外出を禁じられてしまう。
電話を隠され扉には鍵がかけられ「カゴの鳥」となった彼女たちは、自由を取り戻すべく奮闘するが、
一人また一人と祖母たちが決めた相手と結婚させられていく。
そんななか、ラーレは秘かにある計画をたてる・・・。
(オフィシャルサイトより)

下校途中、姉妹5人は、男子の同級生たちも一緒に、海岸で騎馬戦をして遊ぶ。
5人が自宅へ帰ると、祖母が激怒する。
騎馬戦で、股間を男の子の首に擦りつけてふしだらなことをしていたと、近所の人から告げ口があったという。
それ以後姉妹は、“傷物になると結婚できない”と、家の中に閉じ込められてしまう。

観ていて、今の時代でも国が変わるとそうなのか、と驚くような慣習に戸惑ってしまう。
閉じ込められた姉妹は、もう学校にも行かせてもらえないわけだから、やっぱりビックリする。
そして、家で花嫁修業。おばあさんも悪い人ではないから、それが当然のように躾ける。

しかし姉妹は、それこそ今の女の子たちで、自由を満喫したくてしょうがない。
5人がベットで、自由気ままにグチャグチャの形になって身を寄せ合う雰囲気が、何とも言えなくいい。
思春期の少女たちの、自由を希求する輝きと切なさ。

それを、メリハリのきいたドキュメンタリー・タッチで映像に焼き付けていく。
その結果、少女たちの繊細さが手に取るようにわかるように画面に映し出される。

この作品は、パリで映画を学んだデニズ・ガムゼ・エルギュヴェンの長編デビュー作として、
彼女が、少女時代に実際に体験した出来事が投影されているという。
ついでに言えば、これは、トルコ出身の女性監督によるトルコ語作品なのに、
アカデミー賞フランス映画代表に選ばれ、外国語映画賞にノミネートされている。

このような注目に値する作品が初回から作れるという力量は、ただ者ではない監督だと感じる。
今後も注目すべき強力な人が現れたなと思う。だから、つい二度観てしまった。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『若葉のころ』を観て | トップ | 『エリックを探して』を観て »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

2010年代映画(外国)」カテゴリの最新記事