ポケットの中で映画を温めて

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『レディ・バード』を観て

2018年06月01日 | 2010年代映画(外国)
本日から上映の『レディ・バード』(グレタ・ガーウィグ監督、2017年)を観てきた。

2002年のカリフォルニア州サクラメント。
片田舎のカトリック系高校に通う17歳のクリスティンは、自分を“レディ・バード”と呼び、大学進学については大都会のニューヨークを夢見ている。
レディ・バードは母親と何かと上手くいっていなく、会社からリストラを受けている父親を含め、家庭内が面白くない。
それでも、学校にはジュリーという親友がいた。

レディ・バードとジュリーは授業の一環の演劇オーディションを受けて、そこでダニーという青年に出会う。
感謝祭の日。
ダニーと急速に親密になったレディ・バードは、冷え切った家庭より、ダニーの家の夕食会の方が居心地よく感じて・・・

青春の真っただ中のはずなのに、レディ・バードと家庭の、特に母親とのギクシャクした関係。
でも、それは徹底した回復不可能という状態というより、どこの家でもありそうな悩みごとに近い。

レディ・バードはボーイフレンドのダニーと上手く行っていたが、ある時偶然に、学校のトイレでダニーが男の子とキスをしている場面を見てしまい、ふたりの間はオジャン。

カフェでアルバイトを始めたレディ・バードは、バンドをしているカイルと知り合う。
そして、カイルとの初体験でうっとりするレディ・バードだったが、実はカイルの方は初めてでなくガッカリ。
そんなレディ・バードが、疎遠になったジュリーとまた友情を確かめ合ったり、
遂には、ニューヨークの大学にどうにか入学することが出来、旅立つ。

レディ・バードの家族との関係、中でも母親との微妙な心の葛藤から目が離せない。
青春の、友人との間のレディ・バードの心の揺れ動きが、手に取るように納得できる。

このようなみずみずしさを含んだ作品だが、ひとつ残念なことは、物語の筋に起伏が少なく地味な感じを受けること。
だから1時間半の作品なのに、なぜかもっと長く感じられてしまう。
その辺りがチョットな、と言うところか。
でも最後に、レディ・バードがその名を捨て、本名を名乗っていくところは、少女から一人の女性に自立していく力強い姿が読み取れて、結果的には、いい作品だなと感じた。

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