ポケットの中で映画を温めて

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『ローマ環状線、めぐりゆく人生たち』を観て

2018年06月03日 | 2010年代映画(外国)
『ローマ環状線、めぐりゆく人生たち』(ジャンフランコ・ロージ監督、2013年)をDVDで観た。

イタリアの首都ローマを囲む環状高速道路GRAに沿って建てられたモダンなアパートに住む老紳士とその娘、
シュロの木に寄生した害虫の世界に没頭する植物学者、
果てしない交通事故の知らせに休む間もない救急隊員、
後継者がいないことに悩むウナギ漁師、
年老いたソープオペラの俳優、夢と名声を追う若者など、
GRA周辺部に住む人々の暮らしをとらえ、その風景の中からイタリアの光と影や欲望と混沌、そこに生きる人々の息づかいを伝える。
(映画.comより)

この作品は第70回ベネチア国際映画祭で、ドキュメンタリーとして史上初の金獅子賞受賞の作品である。
だから、非常に興味を持って観た。
ところが何やこれは、とても内容に中味があるとは思えない。
作品として、何を訴えたいのかトントわからない。
個々の被写体としての点描写はあっても、観ている観客としては、その個々の人物たちの会話にこれと言った意味も見い出せず、だから何なのとなる。

これ程のズッコケ作品は久々なので、逆に愛らしさまで感じてしまうと言おうか。
不思議なのは、このような作品がどうしてベネチア国際映画祭の金獅子賞かということ。
作品の内容より、そのことの方がミステリーとしての興味が湧く。

このような、自分に感性が合わない作品を観て、それでも自分が以前と多少でも変わったと感じるのは、一応は最後まで観る点か。
昔、例えば『ラストエンペラー』(ベルナルド・ベルトルッチ監督、1987年)を封切りで観た時、相性が合わないと30分で満席の劇場から出でしまったし、
思い出せば、ビスコンティの作品だって15分で出てしまったことがある。
もっとも、それらは後年、ビデオで観てその内容に納得をしたということはあるけれども。

話は戻って、この作品、環状高速道路を走る車を被写体としてその夕暮れ風景などは、得も言われぬ描写だとつくづく感心してしまうのは、この映画の最大の取り柄か。

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