ポケットの中で映画を温めて

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『サラエヴォの銃声』を観て

2017年06月10日 | 2010年代映画(外国)
『サラエヴォの銃声』(ダニス・タノヴィッチ監督、2016年)を観てから、だいぶん日にちが経つ。
前回の記事、同監督作品の『鉄くず拾いの物語』から日を開けずにレビューを書き出してみたが、途中放棄になってしまった作品である。

サラエヴォのホテル“ホテル・ヨーロッパ”は、第一次世界大戦のきっかけとなったサラエヴォ事件から100年の記念式典を行うための準備に追われていた。
その日、ホテルにはさまざまな人たちが集っていた。
仕事熱心な美しい受付主任、屋上で戦争と結果についてインタビューするジャーナリスト、100年前の暗殺者と同じ名を持つ謎の男、
演説の練習をするVIP、ストライキを企てる従業員たちとそれを阻止しようとする支配人・・・。
(公式サイトより)

ボスニア・ヘルツェゴビナの首都サラエボ。
1914年に発生したサラエボ事件。
セルビアの青年がオーストリア皇太子夫妻を暗殺し、それをきっかけとして第一次大戦が勃発していく。

事件の概略を多少知っていても、私には、事の背景となるセルビアとオーストリアの関係について疎い。
しかし、当事国の人には当然というか、当時の時代背景などは常識の範疇だろうから、この映画には具体的には描かれない。
正直に言って観る側は、その当時から現在に至るまでの知識がないと、深く理解することが難しいのではないか。
と言う訳で、私の場合、言わんとすることにわかったような気になっても、実際は何も理解できていないと思っている。

それに加えて映画は、舞台となるホテルで、サラエボ事件から100周年目のメモリアル・デイに様々な人々が行き交う。
そればかりか同時進行的に、賃金の不払いに不服を唱える従業員がストライキを企てている。
このように内容は、一筋縄ではいかない。
おまけに、「記念式典が行われる予定の高級ホテルで一発の銃声が響き、招待客や従業員たちの運命が大きく交錯していく」という
キャッチコピーが作品の内容を捉えていない。
銃声はあくまで一つのエピソードの内だから、誤ったイメージのキャッチコピーと言わざるを得ない。

私としては、『鉄くず拾いの物語』が分かり易く素直に感激できた反面、この作品は荷が重過ぎたと言わざるを得なかった。

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