ポケットの中で映画を温めて

今までに観た昔の映画を振り返ったり、最近の映画の感想も。欲張って本や音楽、その他も。

『愛、アムール』を観て

2016年01月25日 | 2010年代映画(外国)
前々から観ようと思いながら、中々その気にならなかった『愛、アムール』(ミヒャエル・ハネケ監督、2012年)をやっと観た。

パリ都心部の風格あるアパルトマンに暮らすジョルジュとアンヌは、ともに音楽家の老夫婦。
その日、ふたりはアンヌの愛弟子のピアニスト、アレクサンドルの演奏会へ赴き、満ちたりた一夜を過ごす。
翌日、いつものように朝食を摂っている最中、アンヌに小さな異変が起こる。
突然、人形のように動きを止めた彼女の症状は、頸動脈の病による発作であることが判明。
成功率が高い手術だったが、運悪く失敗に終わり、アンヌは右半身不随の不自由な暮らしを余儀なくされる。
医者嫌いの彼女の切なる願いを聞き入れ、ジョルジュは車椅子生活となった妻とともに暮らすことを決意する・・・・
(Movie Walkerより一部抜粋)

この作品は、『男と女』(クロード・ルルーシュ監督、1966年)のジャン=ルイ・トランティニャンと
『二十四時間の情事』(アラン・レネ監督、1959年)のエマニュエル・リヴァの二人が、
いつの間にか老人になってしまって懐かしい、とのんびり観ておれる内容ではなかった。
やはり、観る気がちっとも進まなかった予測どおりの荷が重い映画だった。
勿論、内容そのものは素晴らしくて、身にひしひしと迫ってくるものがあった。
この二人に、決して同情を求めるわけでもなく、ましてや押しつけがましくもなく、単調なほど淡々と描いていく手法が何ともいえず良かった。

なに不自由なく暮らしていて、ある日から今までと違った生活に入る。
一対一で看病する、あるいは看病される、そういう生活を続けていく。
映画は、あなただったらどうする、と問い掛けてはいないけれど、受け手のこちらは必然的に考えさせられてしまう。
その時はどうするか。どう考えても、今の段階では明確には答えられない。わからないと保留するしかない。
要介護4の親を抱え、本人の思考能力がほとんど衰えてしまっている我が家でも、
まだディサービスに行けるほどだから、やはり、一対一の看病は実感が湧かない。

この映画は、閉ざしておきたい心の奥底を、そぉっとこじ開け、するどい問いをこちらに向けて発してくるような作品だった。
それだけに、しんどいな、きついなとつい思ってしまった。

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1 コメント

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こんばんは (たにむらこうせつ)
2016-01-26 19:49:17
あしあとから来ました。
ご訪問ありがとうございました。
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