ポケットの中で映画を温めて

今までに観た昔の映画を振り返ったり、最近の映画の感想も。欲張って本や音楽、その他も。

『ロブスター』を観て

2016年11月16日 | 2010年代映画(外国)
レンタルDVDで『ロブスター』(ヨルゴス・ランティモス監督、2015年)を観た。

近未来の話。

犬に変えられてしまった兄を連れたデヴィッドは、ホテルに収容される。
理由は、妻と別れたデヴィッドは独身者だから。
そこでは、独身者は45日間以内にパートナーができなければ動物に変えられてしまう。
それが達成できなかった時、何の動物になりたいかと聞かれたデヴィッドは、百年ほど永らえて静かに暮らせる“ロブスター”がいいと言う。

ホテルでは、カップルを作るための教育やダンスパーティも催される。
そして、森での“人間狩り”で獲物を獲得すれば、一人に付き一日、滞在日数を増やすことができ動物にされる日数も延びる。

日は刻々と過ぎていき、焦るデヴィッドは、“心のない女”をターゲットにし、漸く彼女とカップルを成立させた。
しかしその夜、無残にも、愛する“兄”を“心のない女”に蹴り殺されてしまう。
それを見たデヴィッドは、激怒し、メイドの手助けでこの“心のない女”を麻酔銃で眠らせ動物に変えてしまう。
そして彼は、ホテルから森へ逃亡し・・・

その森は“独身者たち”の暮らす場所。
そこでは、一生独身でいられるが、恋愛はご法度のルールがある。
デヴィッドは、この森で“近視の女”と出会い、まずいことに彼女に恋してしまう。
二人は、恋していることが指導者の女にばれないように、サインで会話を交わす。

皮肉な設定になっている。
動物に変えられないために、あれ程、相手を見つけるのに苦労したデヴィッドが、森でいとも簡単に恋に落ちる。

ブラックユーモアなんだけど、登場人物がみんな真面目に事を運ぶので、笑うのが不謹慎みたいな映画。
だから、気軽に観たいのに、こちらも真面目な気持ちで観なきゃいけないのかな、と襟を正す。
そこに、妙に愛着も湧いてきて、何とも不思議な感じな作品である。
なぜか癖になりそう。

森には、動物や鳥たちがあちこちにいたりする。
あれらはみんな、元人間なんだなと変な感慨を催す。
やっぱり、何となく変わった映画だった。

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