屠蘇(とそ)は一年の無病息災を願っていただく正月膳にかかせない祝酒であり、また漢方薬からなる薬酒である。当家では栃本天海堂製の屠蘇散を、菊正宗大吟醸嘉宝に大晦日から漬け込み一晩浸積する。漢代の名医華佗が創製した大黄、白朮、桂枝、防風、花椒、烏頭等の生薬配合に始まる屠蘇酒は、後代、文献によりその構成は様々である。栃本天海堂オリジナルブレンド屠蘇散の構成生薬は、桂皮、浜防風、陳皮、丁子、桔梗、白朮、花椒の七種類で、各生薬の効能は以下の通りである。各種の邪毒、積濁の気を排除する瀉下薬の大黄や、温陽散寒の働きに優れるも用量や修治に厳密さが求められる烏頭は除かれ、穏やかな温裏、行気、養胃の作用が中心である。
末尾に「春風送暖入屠蘇」の承句を含む、北宋の政治家、文人である王安石の《元旦》を掲げる。屠蘇には薬酒の他に家屋、草庵と言う意味もある。春風は津々浦々全ての家に新たしき年の日の恩をもたらし、新年を寿ぎ服する屠蘇酒の中にも吹き入っているに違いない。
元日 王安石
爆竹声中一歳除, 春風送暖入屠蘇。千門万戸瞳瞳日, 総把新桃換旧符。
爆竹の声中一歳除き、春風暖を送って屠蘇に入る。千門万戸瞳瞳たる日、総て新桃を把って旧符に換う。
末尾に「春風送暖入屠蘇」の承句を含む、北宋の政治家、文人である王安石の《元旦》を掲げる。屠蘇には薬酒の他に家屋、草庵と言う意味もある。春風は津々浦々全ての家に新たしき年の日の恩をもたらし、新年を寿ぎ服する屠蘇酒の中にも吹き入っているに違いない。
桂皮(けいひ)、肉桂(にっけい):温裏薬(辛甘大熱、腎脾心肝)、補火助陽、散寒止痛、温経通脈、引火帰原、鼓舞気血
(桂枝:辛温解表薬(辛甘温、心肺膀胱)、発汗解肌、温通経脈、助陽化気。本邦漢方エキス製剤では一般に桂皮が桂枝として使用されている。)
浜防風(はまぼうふう)、北沙参(きたしゃじん):補陰薬(甘微苦微寒、肺胃)養陰清肺、化痰、清胃生津、補気
(防風:辛温解表薬(辛甘微温、膀胱肝脾)、散風解表、勝湿止痛、止痙、止瀉)
陳皮(ちんぴ):理気薬(辛苦温、脾肺)理気健脾、燥湿化痰、行気通痺止痛
丁子(ちょうじ)、丁香(ちょうこう):温裏薬(辛温、脾胃肺腎)温中降逆、散寒止痛、温腎助陽
桔梗(ききょう):化痰止咳平咳薬(苦辛平、肺)宣肺祛痰、利咽、排膿消腫
白朮(びゃくじゅつ):補気薬(甘苦温、脾胃)健脾益気、燥湿利水、止汗、安胎
花椒(かしょう)、山椒(さんしょう):温裏薬(辛温、脾胃腎)温中止痛、殺虫止痒
生薬説明は、分類(性味、帰経)効能の順で記載した。
(桂枝:辛温解表薬(辛甘温、心肺膀胱)、発汗解肌、温通経脈、助陽化気。本邦漢方エキス製剤では一般に桂皮が桂枝として使用されている。)
浜防風(はまぼうふう)、北沙参(きたしゃじん):補陰薬(甘微苦微寒、肺胃)養陰清肺、化痰、清胃生津、補気
(防風:辛温解表薬(辛甘微温、膀胱肝脾)、散風解表、勝湿止痛、止痙、止瀉)
陳皮(ちんぴ):理気薬(辛苦温、脾肺)理気健脾、燥湿化痰、行気通痺止痛
丁子(ちょうじ)、丁香(ちょうこう):温裏薬(辛温、脾胃肺腎)温中降逆、散寒止痛、温腎助陽
桔梗(ききょう):化痰止咳平咳薬(苦辛平、肺)宣肺祛痰、利咽、排膿消腫
白朮(びゃくじゅつ):補気薬(甘苦温、脾胃)健脾益気、燥湿利水、止汗、安胎
花椒(かしょう)、山椒(さんしょう):温裏薬(辛温、脾胃腎)温中止痛、殺虫止痒
生薬説明は、分類(性味、帰経)効能の順で記載した。
元日 王安石
爆竹声中一歳除, 春風送暖入屠蘇。千門万戸瞳瞳日, 総把新桃換旧符。
爆竹の声中一歳除き、春風暖を送って屠蘇に入る。千門万戸瞳瞳たる日、総て新桃を把って旧符に換う。