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遊樂萬曲の花種をなすは、一心感力の心根なり。ただ水晶の空躰(くうたい)より火水をなし、櫻木の無色性(むしきしょう)より花實を生ふる如く、意中の景より曲色(きょくしょく)の見風をなさん堪能の達人、これ器物(きもつ)なるべし。およそ風月延年の飾り、花鳥遊景の曲、種々なり。四季折〻の時節により、花葉・雪月・山河・草木・有情・非情に至るまで、萬物の出生(しゅっしょう)をなす器(き)は天下なり。この萬物を遊樂の景躰として、一心を天下の器になして、廣大無風の空道に安器して、是得遊学の妙花に至るべき事を思ふべし。
(遊樂習道風見│川瀬一馬校注「能作書・曲附次第・遊樂習道風見・習道書」, p57-58, わんや書店, 1955)