
大和未生流の新年祝賀会が、須山法香斎御家元御夫妻、次期若家元御夫妻、流派一門がうち揃い、本年度の二月堂修二会の練行衆において和上の大任をお務めになる東大寺筒井寛昭長老を始めとする御来賓の御方々をお迎えして、菊の薬玉が飾られた歴史ある奈良ホテルにおいて開催された。御家元の年頭挨拶は、御来賓ならびにこれまでに御縁を結ばれた多くの御方々、御一人御一人への丁重な御礼で始まった。そして恒例の新師範による爽やかな初生け披露、御来賓の御心が籠った御祝辞、新春を清める見事な音楽演奏が続き、最後に一同が総勢で居並ぶ記念撮影となり、ひたすらに和やかな花の宴は散会となった。
御家元の年頭所感で思わず襟を正した御言葉は、「(何をするにおいても)自惚れは最大の敵」である。当方はもとより野心も野望もなく、「さこそ悪き所多かるらめ」とばかりにおのれの不出来な欠点ばかりが目に付いて仕方がない方である。だが一方で究めぬ心のままにそれでも自分としては上出来ではないかと、為した事に合格点を与える自己評価の甘さが無いかといえば心中忸怩たるものがある。これもまた立派に広義の自惚れの範疇に入るだろう。はや明日は七草の節句である。『風姿花伝』に語られた「ただ返す返す、初心を忘るべからず。」の原点に立ち返り、この一年を慢心することなく歩いて行こうと切に思う。
平成三十一年己亥歳が、津々浦々の皆々様におかれまして幸多き素晴らしい一年でありますように。
