子ども達のための自然学校・イエティくらぶ

NPO法人ねおすが主催する「子ども達のための自然学校『イエティくらぶ』」の活動報告をアップしています。

キャラバンツアー最終日

2008年04月03日 11時28分40秒 | 札幌まるやま校
さて、最終日です。
もう一度、荷物に忘れ物がないかを確認して、バスに乗ります。
今日は、もどこかに泊まることはありません。
そうか、もう終わりなんだな、なんてちょっとさみしい感じもします。

今回、道東方面は季節外れの大雪に見舞われまして、
春めいてきたあたりの雰囲気が、一気に真冬の風景に戻ってしまいました。
なので、
大雪山以来、ずっと冬景色の中の移動でした。
だから、知床に来ても、イマイチ「知床に来た!」という実感が
湧きません。
高い山に登ると、風景が変わるから雰囲気も変わってくるかも知れませんが、
今回はずっと横の移動ですから、そういう意味では
風景に変化がないかもしれませんね。

しかし、やっぱり知床は違います。
なめちゃあいけません。
そんな「何かこう、かわりばえしないな・・・」という雰囲気を、
一気にこれでもか、と変えてくれました。

本日は、知床の奥地にまでバスで入っていきました。
オシンコシンの滝を抜けて、知床財団まで向かいます。

ここまで、食べたけど一度も見ることのなかった動物。
そう、エゾシカがついに出現したのです。
しかも、数え切れないほどの頭数が、もう次から次へと。

バスの中の雰囲気が、一気に変わります。
「わぁ~っ」と、みんななぜか一斉に数を数え始めました。



が、それはムリ。
本当に、数え切れないほどのシカが、うじゃうじゃいました。

そして、そして。
冬眠から覚めた、あのお方が。
道路のすぐ脇に。



まさか、そんなお方に出会うことになるとは。
立ち木に背中をゴリゴリこすり付けておりました。

子ども達の頭の中も、大人たちの頭の中も、
一気に何かがスパークしたような、ビーン!とした衝撃が走ります。

この現象を、この事実を、ぼくたちはどう整理したらよいのでしょう。
あまりにも衝撃が大きすぎて、ぼくはまだちょっとうまく言葉に表せません。


野生生物に出会うためのツアーで、そのクライマックス、ということ。
バスの走るような道路わきにいた、ということ。
子ども達や私たちははバスの中から見た、ということ。
クビに発信機がついていること。
まぎれもない野生、であること。
季節外れの大雪、流氷。
数え切れないほどのエゾシカ。


そして、私たちの目の前に現れた、という紛れもない事実。

・・・それを、子ども達とどう共有したらいいのだろう・・・。

子ども達も、そして私たちも、体中を使って
数え切れないほどの何かをずっと考え続けたような「一瞬」でした。



雰囲気ががらりと変わり、
知床ネイチャーオフィスの矢代さん、加藤さんによる森の案内、が始まりました。
テーマは「シカの食害調査」。



子ども達は、最初は?という感じでしたが、
もうあれだけのシカを見たあとです。
ああ、そういうことか、と
結構難しいテーマではありましたが、すんなりと腑に落ちたようなようです。
みんなで計算したところ、
約3割の木が、シカに食べられていることが分かりました。


最後。
なんか、いろんなことをやったなあ、いろんなものを見たな、という思いを
全てごちゃまぜにしたような、
大雪合戦大会。
結局、自分たちも野生なのか・・・? そういうことか・・・?

終わりに、全員で雪の上にねっころがって静の時間。
体中に、知床の息吹を収めて旅の終了となりました。

この旅が、子ども達にとっても、
ぼく達にとっても大きな経験となることを
心より願っています。
お世話になった皆様、本当にありがとうございました。
この場をお借りしまして、深く感謝申し上げます。