こんにちは!社労士の吉野千賀です。
週末はいかがお過ごしでしたか?
ようやく、作成中だったホームページも、出来上がりの様相になりました。
↓
http://www.cyoshino-office.com/
障害年金の請求支援を主要業務にしています。が、労務管理も喜んでお受けしています。
さて、これまで社会保障審議会での改正案について書いてきましたが、
今日は、3のアルバイト・パートへの厚生年金適用拡大 についてです。
おさらいですが、審議会での議論は、主に下記の3つです。
1 年金支給開始年齢の引き上げ
2 在職老齢年金の見直し
3 短時間労働者(アルバイト・パート)への厚生年金適用拡大
1 現状の確認
改正案について話をする前に、現行の制度を確認してみましょう。
現行の厚生年金の適用範囲において、短時間労働者(アルバイト・パート)については、
正社員の労働時間と比較して、1日または1週間の所定労働時間が4分の3以上、
かつ、
正社員の1か月の労働日数と比較して、所定労働日数の4分の3以上の勤務形態ならば、原則として被保険者となります。
たとえば、
正社員が1日8時間労働の場合、パートさんが1日6時間以上とする労働契約がある場合。または、
正社員が1週間40時間労働の場合、パートさんが1週間30時間以上とする労働契約がある場合。
上記の労働契約に加えて、正社員が1カ月20日の所定労働日数の場合、パートさんが1か月15日以上の労働日数で契約した場合、厚生年金と健康保険の被保険者となります。
余談ですが、先週話していた60歳代前半の在職老齢年金ですが、厚生年金の被保険者でなければ調整はないので、正社員の4分の3の短時間労働契約にすると、在職老齢年金による年金の支給停止はなくなります。
その代わり、当然のことながら、お給料は6割~7割よりも低下する可能性があり、どちらがいいのかは、個別の判断となるでしょう。
2 改正案
この改正案は、平成19年に国会提出するも廃案になっていますが、引き続き上がってきているものです。
新たな適用基準案:
1 労働時間を週所定労働時間20時間以上にする ←雇用保険と同じ適用
2 賃金月額98,000円以上とする ←厚生年金の保険料負担の基準の下限額
3 勤務期間が1年以上とする ←雇用保険は31日以上としている
4 学生は適用対象外とする
5 中小企業には配慮する ←社会保険料が増えることへの配慮
改正案の目的は、被保険者を増やすことで、上記に改正すると約10万人~20万人程度の増加を見込んでいます。(400万人という説もあり)
パート労働者の主流は、30代~50代の主婦層です。会社員の妻の場合、年収130万円以下の場合は保険料を納めなくても年金をもらえることになっています。保険料を納める人を増やしたい、というのが目的かと思っています。
時給1000円で、週25時間(1か月100時間)働いているアルバイトやパートの方は、月収10万円で適用となりますね。
適用となった場合の厚生年金保険料は、16,412円となり、本人負担8,206円、会社負担8,206円です。
3 問題点は何?
問題点として挙げられているのは、大きく2つです。
1 国民年金との兼ね合い
2 事業主負担が増える
1の国民年金との兼ね合いについて
適用拡大と同時に、98,000円の下限額をさらに下げる案も検討されています。
たとえば、下限額を78,000円に変更した場合です。
本人負担額は6,401円、会社負担と併せても厚生年金の保険料は12,802円です。
受け取れる年金額は、
1階部分の国民年金 月額65,741円 +
2階部分の厚生年金 月額18,204円(40年勤務の場合)、合計83,945円となります。
自営業者は、1階部分の国民年金にしか加入できず、国民年金の保険料は月額15,020円と下限額78,000円の人より多く払っているのに、受け取れる年金は、1階部分の国民年金 月額65,741円のみです。
仮に、月額78000円の方に専業主婦の奥さんがいる場合は、
受け取れる年金は、65,741円x2人分 + 18,204円=149,686円。
国民年金のみの方との不公正感は増すばかりとなります。
ちなみに、98,000円という数字は、国民年金の保険料とほぼ同じとなるラインです。
そこで、適用拡大して下限額を下げる場合の要件として、短時間労働者の被扶養配偶者の給付は行わない、ということも検討中です。それはそれで、さらに、正社員との格差が広まりそうですね。
2の事業主負担が増えること
パート労働者が厚生年金に加入することになると、同時に健康保険にも加入することとなります。
事業主にとっては、社会保険の負担が増えてしまいます。
たとえば、月額10万円のアルバイトやパートが社会保険に加入すると、事業主の社会保険料負担は、13,700円です。
パートやアルバイトが何十人もいる事業所だと、月々の負担が数十万になってしまいます。
そうすると、雇用を抑制したり、決められた基準ぎりぎりのところで、労働時間を短縮したりする、とか
パートで働く人も、夫の保険に入っていた方がいいので、労働時間を短縮する、かもしれません。
そうでなくても、現実の問題として、厚生年金の適用事業なのに、厚生年金に入っていない事業所が全体の1~2割近くもあります。
社会保険料の負担は、中小事業主にとっては深刻な問題で、簡単に適用拡大の実現は望めない感じがします。
狙っていたような保険料を払う人の増加にはつながらず、逆に、被扶養者がいる人など恩恵がある人だけが望んで加入して、結果的に給付が増す可能性もでてきますね。
社会保険の改正って、全国民が対象となり、世代間・制度間で不公平感がでてくるのはやむを得ないのかもしれません。
加えて、「雇用」という現役世代には深刻な問題とも深く関係しています。
改正案をまとめて、実際に施行するには、不公平といいながらも多少は納得できて、雇用が維持されるような案じゃないと、上手く回らないように思います。
昨日は、国際フォーラムで大江戸骨董市をやっていて、ちょっとのぞいてみました。
古いそばちょこ、1万円~2万円!などで、気軽に買える額ではないのですが、大量に買い物している方もちらほらいました。
価値がわからないと、難しい買い物ですね~。
その後、丸の内ブリックスの「A16」というお店へランチに行ったら、大入り満員。
友人と庭園で30分くらい待って、ピザを食べました。絶品ピザでした。
腹ごなしに、皇居を散歩して帰りました。
秋は食べてよし、歩いてよし、過ごしやすい季節ですね!
See you tomorrow!
Chika Yoshino
週末はいかがお過ごしでしたか?
ようやく、作成中だったホームページも、出来上がりの様相になりました。
↓
http://www.cyoshino-office.com/
障害年金の請求支援を主要業務にしています。が、労務管理も喜んでお受けしています。
さて、これまで社会保障審議会での改正案について書いてきましたが、
今日は、3のアルバイト・パートへの厚生年金適用拡大 についてです。
おさらいですが、審議会での議論は、主に下記の3つです。
1 年金支給開始年齢の引き上げ
2 在職老齢年金の見直し
3 短時間労働者(アルバイト・パート)への厚生年金適用拡大
1 現状の確認
改正案について話をする前に、現行の制度を確認してみましょう。
現行の厚生年金の適用範囲において、短時間労働者(アルバイト・パート)については、
正社員の労働時間と比較して、1日または1週間の所定労働時間が4分の3以上、
かつ、
正社員の1か月の労働日数と比較して、所定労働日数の4分の3以上の勤務形態ならば、原則として被保険者となります。
たとえば、
正社員が1日8時間労働の場合、パートさんが1日6時間以上とする労働契約がある場合。または、
正社員が1週間40時間労働の場合、パートさんが1週間30時間以上とする労働契約がある場合。
上記の労働契約に加えて、正社員が1カ月20日の所定労働日数の場合、パートさんが1か月15日以上の労働日数で契約した場合、厚生年金と健康保険の被保険者となります。
余談ですが、先週話していた60歳代前半の在職老齢年金ですが、厚生年金の被保険者でなければ調整はないので、正社員の4分の3の短時間労働契約にすると、在職老齢年金による年金の支給停止はなくなります。
その代わり、当然のことながら、お給料は6割~7割よりも低下する可能性があり、どちらがいいのかは、個別の判断となるでしょう。
2 改正案
この改正案は、平成19年に国会提出するも廃案になっていますが、引き続き上がってきているものです。
新たな適用基準案:
1 労働時間を週所定労働時間20時間以上にする ←雇用保険と同じ適用
2 賃金月額98,000円以上とする ←厚生年金の保険料負担の基準の下限額
3 勤務期間が1年以上とする ←雇用保険は31日以上としている
4 学生は適用対象外とする
5 中小企業には配慮する ←社会保険料が増えることへの配慮
改正案の目的は、被保険者を増やすことで、上記に改正すると約10万人~20万人程度の増加を見込んでいます。(400万人という説もあり)
パート労働者の主流は、30代~50代の主婦層です。会社員の妻の場合、年収130万円以下の場合は保険料を納めなくても年金をもらえることになっています。保険料を納める人を増やしたい、というのが目的かと思っています。
時給1000円で、週25時間(1か月100時間)働いているアルバイトやパートの方は、月収10万円で適用となりますね。
適用となった場合の厚生年金保険料は、16,412円となり、本人負担8,206円、会社負担8,206円です。
3 問題点は何?
問題点として挙げられているのは、大きく2つです。
1 国民年金との兼ね合い
2 事業主負担が増える
1の国民年金との兼ね合いについて
適用拡大と同時に、98,000円の下限額をさらに下げる案も検討されています。
たとえば、下限額を78,000円に変更した場合です。
本人負担額は6,401円、会社負担と併せても厚生年金の保険料は12,802円です。
受け取れる年金額は、
1階部分の国民年金 月額65,741円 +
2階部分の厚生年金 月額18,204円(40年勤務の場合)、合計83,945円となります。
自営業者は、1階部分の国民年金にしか加入できず、国民年金の保険料は月額15,020円と下限額78,000円の人より多く払っているのに、受け取れる年金は、1階部分の国民年金 月額65,741円のみです。
仮に、月額78000円の方に専業主婦の奥さんがいる場合は、
受け取れる年金は、65,741円x2人分 + 18,204円=149,686円。
国民年金のみの方との不公正感は増すばかりとなります。
ちなみに、98,000円という数字は、国民年金の保険料とほぼ同じとなるラインです。
そこで、適用拡大して下限額を下げる場合の要件として、短時間労働者の被扶養配偶者の給付は行わない、ということも検討中です。それはそれで、さらに、正社員との格差が広まりそうですね。
2の事業主負担が増えること
パート労働者が厚生年金に加入することになると、同時に健康保険にも加入することとなります。
事業主にとっては、社会保険の負担が増えてしまいます。
たとえば、月額10万円のアルバイトやパートが社会保険に加入すると、事業主の社会保険料負担は、13,700円です。
パートやアルバイトが何十人もいる事業所だと、月々の負担が数十万になってしまいます。
そうすると、雇用を抑制したり、決められた基準ぎりぎりのところで、労働時間を短縮したりする、とか
パートで働く人も、夫の保険に入っていた方がいいので、労働時間を短縮する、かもしれません。
そうでなくても、現実の問題として、厚生年金の適用事業なのに、厚生年金に入っていない事業所が全体の1~2割近くもあります。
社会保険料の負担は、中小事業主にとっては深刻な問題で、簡単に適用拡大の実現は望めない感じがします。
狙っていたような保険料を払う人の増加にはつながらず、逆に、被扶養者がいる人など恩恵がある人だけが望んで加入して、結果的に給付が増す可能性もでてきますね。
社会保険の改正って、全国民が対象となり、世代間・制度間で不公平感がでてくるのはやむを得ないのかもしれません。
加えて、「雇用」という現役世代には深刻な問題とも深く関係しています。
改正案をまとめて、実際に施行するには、不公平といいながらも多少は納得できて、雇用が維持されるような案じゃないと、上手く回らないように思います。
昨日は、国際フォーラムで大江戸骨董市をやっていて、ちょっとのぞいてみました。
古いそばちょこ、1万円~2万円!などで、気軽に買える額ではないのですが、大量に買い物している方もちらほらいました。
価値がわからないと、難しい買い物ですね~。
その後、丸の内ブリックスの「A16」というお店へランチに行ったら、大入り満員。
友人と庭園で30分くらい待って、ピザを食べました。絶品ピザでした。
腹ごなしに、皇居を散歩して帰りました。
秋は食べてよし、歩いてよし、過ごしやすい季節ですね!
See you tomorrow!
Chika Yoshino