こんにちは!社労士の吉野千賀です!
もうすっかりの秋ですが、お元気ですか?東京は、最近、ちょっと暖かくなって、カーディガンやジャケットは手に持って出歩いています。結局、羽織ることなく、済んでしまいます。今日も9月下旬の暖かさだそうですよ。
さて、今日は、うつ病と労災認定 について書いてみます。
通常、うつ病などの疾患のことを、私はメンタル不調と表現しています。が、労災では「精神障害等」という言葉を使うので、今回だけ労災の表現に合わせます。
1 精神障害等の労災請求件数は急上昇
昨日、書きましたように、うつ病は10年前と比較して2.36倍と急増しています。それに伴い、精神障害等の労災の請求件数も右肩上がりの傾向です。
平成21年度の精神障害等の請求件数は1,136件 です。
10年前の 平成11年度の請求件数は155件でした。
なんと、7.3倍も増えております。労災の精神障害等の請求件数の増加傾向はうつ病の罹患数と比較すると多いことがわかります。
つまり、職場の人間関係や仕事などが原因で、うつ病を罹患する方が増加している、ということなのでしょう。
2 精神障害等の労災認定件数は横ばい
精神障害等の労災の請求件数は急上昇にもかかわらず、労災認定件数は実は増えていません。
平成21年度の認定件数(精神障害等)は234件です。20.6%の認定率です。
直近では、
平成20年度は269件/927件で29%
平成19年度は268件/952件で28%
平成18年度は205件/819件で25% と、横ばい傾向です。
ちなみに、平成11年度は14件/155件で9%でした。
3 精神障害等の労災判断の基準
皆さんご存知の通り、労災は業務上の疾病やケガと認定されないと補償を受けられません。
それでは、精神障害を業務上の疾病と取り扱う、という判断はどのようになされるのでしょうか。
精神障害等の判断要件は、3つです。
1判断指針で対象とされる精神障害を発病していること。
2判断指針の対象とされる精神障害の発病前おおむね6カ月間に、客観的に「業務による強い心理的負荷」が認められること。
3「業務以外の心理的負荷」及び「固定側要因」により当該精神障害を発病したとは認められない こと。
「業務による心理的負荷」とは、例えば、事故や災害の体験、仕事の失敗、過重な責任の発生、仕事の質・量の変化、などが該当します。
「業務以外の心理的負荷」とは、例えば、離婚または別居、重い病気やケガ、肉親の死亡、家族の重い病気やケガ、財産の損失、天災、火災、盗難、などが該当します。
「個体側要因」とは、例えば、既往症、アルコール等の依存症、性格傾向 などが該当します。
それぞれの項目で心理的負荷の強度が決まっており、総合的に判断されます。これらの心理的負荷評価表は、厚労省のホームページに載っています。
4 精神障害等の労災 支給決定の内訳
平成21年度の精神障害等の労災支給決定は234件で、業務上外(労災でない)と決定されたのは852件でした。
精神障害等の労災支給決定の多い順は、
仕事内容・仕事量の大きな変化 55件
悲惨な事故や災害の体験(目撃)37件
長時間勤務 25件
ひどい嫌がらせ・いじめ・暴行 16件
仕事の失敗・顧客からのクレーム 12件
上司とのトラブル 9件 ← 労災と認められなかったのが134件と一番多い
セクハラ 4件 などです。
「職場以外の心理的負荷」が大きい場合は、労災の認定が取れにくくなります。
全国で234件の認定ですから、なかなか精神障害等の労災認定は難しい と考えます。ちなみに、障害年金の請求もメンタル不調の場合は通常よりも判断に時間がかかるようです。
会社としては、うつ病になってしまった社員がでたら、業務上によるものなのか、そうでないのか、ということも確認する必要があるでしょう。後々、充分な安全管理義務を果たしていたか、も問われることになります。
明日も、メンタル不調者への対応 について書いてみます。
昨夜、NHKの「アスリート魂」という番組で、オルフェーブルと池添騎手の3冠達成の特集を放映していました。
オルフェーブルは、能力は高いけれど乗りこなす人を選ぶ難しい馬ですね。競馬用の不安定な鞍で、荒い動きの馬を乗りこなす騎手って改めて尊敬します。
しつこいようですが、今年の有馬記念は期待してしまいます。来年の凱旋門賞は、ディープインパクトの雪辱を晴らして欲しいものです。
See you tomorrow!
Chika Yoshino
よしの社労士事務所 吉野千賀
http://www.cyoshino-office.com/
障害年金請求サポート
もうすっかりの秋ですが、お元気ですか?東京は、最近、ちょっと暖かくなって、カーディガンやジャケットは手に持って出歩いています。結局、羽織ることなく、済んでしまいます。今日も9月下旬の暖かさだそうですよ。
さて、今日は、うつ病と労災認定 について書いてみます。
通常、うつ病などの疾患のことを、私はメンタル不調と表現しています。が、労災では「精神障害等」という言葉を使うので、今回だけ労災の表現に合わせます。
1 精神障害等の労災請求件数は急上昇
昨日、書きましたように、うつ病は10年前と比較して2.36倍と急増しています。それに伴い、精神障害等の労災の請求件数も右肩上がりの傾向です。
平成21年度の精神障害等の請求件数は1,136件 です。
10年前の 平成11年度の請求件数は155件でした。
なんと、7.3倍も増えております。労災の精神障害等の請求件数の増加傾向はうつ病の罹患数と比較すると多いことがわかります。
つまり、職場の人間関係や仕事などが原因で、うつ病を罹患する方が増加している、ということなのでしょう。
2 精神障害等の労災認定件数は横ばい
精神障害等の労災の請求件数は急上昇にもかかわらず、労災認定件数は実は増えていません。
平成21年度の認定件数(精神障害等)は234件です。20.6%の認定率です。
直近では、
平成20年度は269件/927件で29%
平成19年度は268件/952件で28%
平成18年度は205件/819件で25% と、横ばい傾向です。
ちなみに、平成11年度は14件/155件で9%でした。
3 精神障害等の労災判断の基準
皆さんご存知の通り、労災は業務上の疾病やケガと認定されないと補償を受けられません。
それでは、精神障害を業務上の疾病と取り扱う、という判断はどのようになされるのでしょうか。
精神障害等の判断要件は、3つです。
1判断指針で対象とされる精神障害を発病していること。
2判断指針の対象とされる精神障害の発病前おおむね6カ月間に、客観的に「業務による強い心理的負荷」が認められること。
3「業務以外の心理的負荷」及び「固定側要因」により当該精神障害を発病したとは認められない こと。
「業務による心理的負荷」とは、例えば、事故や災害の体験、仕事の失敗、過重な責任の発生、仕事の質・量の変化、などが該当します。
「業務以外の心理的負荷」とは、例えば、離婚または別居、重い病気やケガ、肉親の死亡、家族の重い病気やケガ、財産の損失、天災、火災、盗難、などが該当します。
「個体側要因」とは、例えば、既往症、アルコール等の依存症、性格傾向 などが該当します。
それぞれの項目で心理的負荷の強度が決まっており、総合的に判断されます。これらの心理的負荷評価表は、厚労省のホームページに載っています。
4 精神障害等の労災 支給決定の内訳
平成21年度の精神障害等の労災支給決定は234件で、業務上外(労災でない)と決定されたのは852件でした。
精神障害等の労災支給決定の多い順は、
仕事内容・仕事量の大きな変化 55件
悲惨な事故や災害の体験(目撃)37件
長時間勤務 25件
ひどい嫌がらせ・いじめ・暴行 16件
仕事の失敗・顧客からのクレーム 12件
上司とのトラブル 9件 ← 労災と認められなかったのが134件と一番多い
セクハラ 4件 などです。
「職場以外の心理的負荷」が大きい場合は、労災の認定が取れにくくなります。
全国で234件の認定ですから、なかなか精神障害等の労災認定は難しい と考えます。ちなみに、障害年金の請求もメンタル不調の場合は通常よりも判断に時間がかかるようです。
会社としては、うつ病になってしまった社員がでたら、業務上によるものなのか、そうでないのか、ということも確認する必要があるでしょう。後々、充分な安全管理義務を果たしていたか、も問われることになります。
明日も、メンタル不調者への対応 について書いてみます。
昨夜、NHKの「アスリート魂」という番組で、オルフェーブルと池添騎手の3冠達成の特集を放映していました。
オルフェーブルは、能力は高いけれど乗りこなす人を選ぶ難しい馬ですね。競馬用の不安定な鞍で、荒い動きの馬を乗りこなす騎手って改めて尊敬します。
しつこいようですが、今年の有馬記念は期待してしまいます。来年の凱旋門賞は、ディープインパクトの雪辱を晴らして欲しいものです。
See you tomorrow!
Chika Yoshino
よしの社労士事務所 吉野千賀
http://www.cyoshino-office.com/
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