『ただごと歌百十首 奥村晃作のうた』 今井 聡
六花書林 2024/2/20
コスモス短歌会の今井聡が師である奥村晃作の百十首を読む。
お馴染みの奥村短歌から、私がすっかり読み落としていたうたまで
幅広く採り上げられている。
奥村自身が最終歌集とした『蜘蛛の歌』が昨年12月に出たので
そこからも十首抄出し、百十首としたようだ。
身近にいた今井だからこそ知る作品の背景など織り交ぜて
奥村の膨大な作品を読み込んだうえでの百十首鑑賞。
この評論を出すに至ったのは故田島邦彦の言葉が端緒としてあったという。
「『奥村晃作の歌百首』を書くのは君だ、必ず書け」
と、強い口調で言ったという。
本書には板橋歌話会のシーンも書かれている。
今は亡き大坂泰さん、黒崎善四郎さん、松坂弘さんらの面影も偲ばれる。
今井さん、素晴らしい仕事をされたと思う。
奥村さんもさぞ歓んでいらっしゃるだろう。
しっかり拝読したいと思う。