今は科学万能の時代ですから、ひょっとしたら科学ですべてが説明できると思い違いをしている人もいるかもしれないので、最新の科学の情報をご紹介しましょう。
昨年のノーベル物理学賞は、ソール・パールマッター(Saul Perlmutter)氏、アダム・リース(Adam Riess)氏、ブライアン・シュミット(Brian Schmidt)氏の3名が受賞しました。宇宙が加速しながら膨張していることを明らかにしたことがその受賞理由です。
現在、宇宙はビッグバンによって誕生したと考えられていて、最初の爆発の力によって宇宙が膨張を続けていれば定速膨張ですが、宇宙には無数の銀河系の巨大な引力が存在するため、科学者たちは宇宙が減速膨張の状態にあると考えていました。
ところが、今回のノーベル賞受賞者たちが、予想に反して宇宙が加速膨張していることを1998年に証明したため、これは歴史的な大発見だということになったわけです。
科学者たちは、この宇宙の加速膨張を説明するために「ダークエネルギー」というものを考えました。つまり、宇宙の膨張を加速させている何らかの未知のエネルギーです。しかし、それが何なのかはまったく解明されておらず、測定することさえできない状態が現在も続いています。
すでに、近年出版された青少年向けの科学の本には「ダークエネルギー」のことが載っていますし、この歴史的な発見の物語は昨年秋にNHKで「ダーク エネルギー 発見!加速する宇宙」という題名で放送され、その後ノーベル賞受賞のニュースへとつながったため、よくご存じの方も多いと思いますが、念のためご紹介しました。