以前、悪性リンパ腫の死亡統計をグラフ化して、死亡者数が年数の二乗に比例して急激に増加していることに気がついたので、他にもそういった例がないか調べたところ、膵臓がんでも同様のことが起こっていました。
【膵臓がんの死亡統計】(厚生労働省の人口動態統計より)
このグラフを見ると、男女ともに死亡者数の増え方が加速していますが、特に女性の死亡者数の増加が著しいことが分かります。
そして、最小二乗法で2次関数の近似式を求めると、男性の場合は次のような値になりました。
男性:y=3.1*(x-1942)^2 (xは西暦年数、yは死亡者数)
一方、女性の場合は、途中から傾向が変わっているため、全体を2次式で近似すると誤差が大きくなりますが、1995年以降であれば次式で近似することができました。
女性:y=4.7*(x-1957)^2 (x>=1995)
以上の結果から、もしこの傾向が今後も続くなら、2030年には膵臓がんの死亡者数は男性:2万4千人、女性:2万5千人程度となることが予想され、特に女性の場合は、がん死亡原因の第1位が膵臓がんになる可能性もありそうです。
なお、『膵臓の病気がわかる本』(糸井 隆夫:監修、講談社:2021年刊)という本によると、膵臓は膵液という消化液を分泌し、膵液には脂肪、たんぱく質、糖質をそれぞれ分解する3種類の消化酵素が含まれているそうです。
そして、膵臓がんの90%以上は、膵液の通り道である膵管から発生する「膵管がん」だそうです。
また、急性膵炎の患者数は、1988年から2011年にかけて3倍以上に増加しているそうなので、膵臓に負担をかける生活をしている人が増えているのは間違いなく、このことが膵臓がん死亡者数の増加と関係しているのかもしれません。
長年ほぼ毎日お酒を飲み、油っこい食べ物が好きな人は、膵臓の病気になりやすいそうなので、心当たりのある方はご注意ください。