前回は、ウラジロガシで食欲不振に陥ってしまったお話をしたので、今回は、その回復法をご紹介しましょう。
消化を助ける食べ物といえば、まず最初に大根おろしが思い浮かびますが、これはあまり効果がありませんでした。それどころか、約1か月後には、胃のあたりがチクチク痛むようになってきました。どうやら、胃の粘膜が荒れてきたようです。
そこで、キャベジンという健胃薬がキャベツに関係があったことを思い出して、キャベツを試してみました。
キャベツの葉(約100グラム)を細かく刻み、水100ccを加えてミキサーでジュース状にし、このキャベツジュースを飲みながら夕食を食べるようにしたところ、5日目には胃の痛みがなくなり、食欲も少し出てきました。
そして、その後もキャベツジュースを飲み続けた結果、キャベツを1玉食べ終わる頃には、胃の状態がとてもよくなって食欲も戻り、キャベツの薬効の素晴らしさを実感した次第です。
ところで、当ブログの「癌はこれで治る」でご紹介したように、がんに克つには、日々の飲食物をすべて抗がん作用のあるものに替える必要がありますが、あまり高価なものは長続きがしません。
その点、キャベツは安価で、しかも、「デザイナーフーズ計画」でがん予防に効果がある食品としてニンニクの次に評価が高かった野菜です。がんで闘病中の方は、このキャベツジュースを毎日のメニューに加えてみてはいかがでしょうか?
さて、ここからは余談ですが、『薬になる食物と病人の食物』(伊藤尚賢:著、実業之日本社:1919年刊)という本には、キャベツの薬効が次のように書かれています。
「甘藍(きゃべつ)はまことに結構なる蔬菜(そさい)であります、とりわけ肉食のような濃厚なる食物を取ります人は、きッと食べねばなりませぬ、それに血液を新鮮にいたしまして、壊血病(かいけつびょう)を醫(なほ)しますことは、他の蔬菜に優れてをります。」
したがって、定食屋で食べるトンカツに必ずキャベツが添えられているのは、キャベツが肉類の消化を助けることを昔の人が経験的に知っていたためで、とても理にかなったことのようです。
なお、「蔬菜」は野菜のことです。また、「壊血病」は、『海民必携救急治療書』(横河震八郎・蔵川六郎:編訳、海国民社:1903年刊)という本によると、歯ぐきが腫(は)れて海綿状となり、全身に打撲傷のような紫色または鉛色の斑点が現われ、衰弱していく病気だそうです。
『「ヴィタミン」ト疾病』(坂口康蔵:著、克誠堂書店:1924年刊)という本には、壊血病はビタミンCの欠乏によって発症すると明記されているので、この本が出版された大正13年頃には日本でもその原因が知られていたようですが、原因も対策も不明だった時代には、壊血病は非常に恐れられた病気でした。
例えば、『日本伝染病小史』(柴山五郎作:著、医海時報社:1912年刊)という本によると、1801年(ナポレオンの時代)にエジプトに遠征していたフランス軍が、イギリス軍に包囲されて食料が欠乏した際には、1万4~5千人の壊血病患者が発生し、262人が死亡したそうです。
こういった歴史的な事実を知ると、新鮮な野菜や果物を食べることの大切さがよく理解できますね。日頃から野菜不足を自覚している方は、これを機会に、ぜひ野菜の摂取量を増やすよう心がけていただきたいと思います。