今回は、『見えてきたガンの征服 生命の力が生み出したBRP療法』(佐藤一英:著、実務教育出版:1995年刊)という本をご紹介します。
この本によると、著者の佐藤一英(さとういちえい)医師は、1972年に次のような「免疫監視療法」を考案したそうです。
1.まず、がん細胞に放射線の微量照射、あるいは抗がん剤の微量投与をしてがん細胞に刺激を与え、がん細胞は体内に巣くう異物であり、免疫系が攻撃する対象物であるという目印をつけてやる。
2.そこにがん患者以外の健康人から採取した免疫の主役であるリンパ球を少量注入して、そのリンパ球に患者の体内のがんの存在は異物であると捉え、攻撃すべき対象であることを強く認識させる。
3.注入された少量の他人のリンパ球は、患者の体内のがんは異物であり攻撃対象であるという情報を持つことになり、患者自身のリンパ球に対してこの情報を伝える。
4.それまでがんがあっても攻撃もせず存在を許容していた患者体内のリンパ球は、注入された他人のリンパ球(異物)と、もたらされた新たな情報によってがんを強く攻撃し排除するようになる。
この治療法は、延命効果まで含めると30~60%に治療効果が認められ、これによって末期がんから奇跡的に回復して通常の生活に戻ることができた人もいたそうです。
そして、1980年には、偶然に「BRP療法」を発見したそうです。
発見のきっかけは、別の病院で進行胃がんの手術を受け、退院後は抗がん剤を服用し続けていた69歳の女性が、症状が悪化して佐藤医師のところに運び込まれてきたことで、早速「免疫監視療法」を開始したところ、この患者はなんとか流動食が摂れるまで回復したそうですが、腹水が溜まった状態は改善せず、腹腔が膨満して苦しいという訴えがあったそうです。
しかし、単純に腹水を抜くと、そこに含まれるタンパク質(アルブミン)を失うことで患者の状態が悪化する可能性があるため、患者自身の腹水からアルブミンを取り出して患者の血中に戻してやることを思いつき、腹水を採取して安全性を確認した後、これを精製して得られた自家アルブミンを患者に注射したそうです。
すると、その翌日には患者の症状が劇的に改善したため、がん患者から得られる自家アルブミンには、単にアルブミンタンパクだけではなく、何かがんに有効な、生命現象の賦活に重要な役割をする特殊な物質が含まれているに違いないという結論に至ったそうです。
そこで、この未知のタンパク質をBRP(Bio-Reproducing-Protein=生物組織再生化タンパク質)と名付け、無害性を可能な限り精密に調べて問題がないとなった時点で、他のがん患者にも投与してみたところ、BRPはどのような種類のがんに対しても効果を発揮することが判明したのだそうです。
佐藤医師の治療法は、これまで聞いたことがなかったので、どこまで信用できるか疑問でしたが、調べてみると、福島大学名誉教授の経済学者・相澤與一氏が、「佐藤療法」でがんを克服した体験を語っていました。(『一社会政策研究者の中間回顧(下)』より)
それによると、相澤氏はイギリス滞在中に悪性リンパ腫で大腸の一部を切除する手術を受け、帰国後の検査で、少なくとも肝臓にはかなりの浸潤(転移)があることが判明し、抗がん剤投与を勧められたそうです。
しかし、退院後にイギリスで2週間おきに2回受けた抗がん剤の副作用がひどかったため、奥様が代替療法を捜し求め、彼に佐藤一英医師の免疫療法を受けさせたところ、たった1回の点滴処置が劇的に奏効して肝臓への浸潤が消滅したのだそうです。
したがって、この治療法はそれなりに信用できると思われますし、治療回数も少なく、副作用もないので、これまで標準とされてきた方法(手術、抗がん剤、放射線)に代わって、「佐藤療法」はこれから大いに注目されることになるかもしれませんね。
「免疫監視療法」や「BRP療法」は、現在でも「横浜サトウクリニック」やその他の協力病院で受けることが可能なようなので、ご興味のある方は『見えてきたガンの征服 生命の力が生み出したBRP療法』の巻末の一覧表をご覧ください。