がんに克つ

父のがんを治すためにがんを研究しました。がんは意外と簡単に治ることを知ってもらえたら、亡き父も喜んでくれると思います。

皮膚表面の生き物

2014-12-28 06:14:17 | 健康・病気

マーク・ラッペ氏が書いた『皮膚 美と健康の最前線』(川口啓明・菊地昌子:訳、大月書店:1999年刊)という本をご紹介しています。今回は第3回目です。

◆皮膚表面の生き物

皮膚の表面には多くの細菌や、カビ、節足動物、寄生動物が住み着いていて、その数は1平方センチメートルあたり300万個にも達するそうです。

こういう話を聞くと、ちょっと気持ち悪く感じますが、これらの生き物は皮膚の一部といってもよく、有害な細菌類から我々を守ってくれています。

赤ちゃんは、お母さんのお腹にいるときは無菌状態ですが、生まれたその日に全身を細菌の薄膜で覆われるそうです。そして、お母さんから譲り受けた細菌は一般的に有益もしくは中立で、赤ちゃんを感染症の危険から守ってくれます。

例えば、病原性のブドウ球菌の保菌者だった看護師が赤ちゃんたちの世話をして、生後すぐに哺乳瓶で育てられた何人かの赤ちゃんがブドウ球菌の感染症にかかったことがあったそうですが、お母さんが授乳と愛撫でしっかり接触していた赤ちゃんは全員感染症にかからなかったそうです。

細菌が住み着くのは皮膚だけではありません。お母さんの乳首にはビフィズス菌がいて、このビフィズス菌は授乳によって赤ちゃんの腸に移り住み、腸内の環境を良好に保ちます。

逆に、虫歯菌や歯周病菌もお母さんから子どもに感染します。妊娠したら、まずお母さんがしっかり歯を磨く習慣を身につけて、虫歯菌や歯周病菌を減らすようにすることが大事です。

思春期になるとニキビが出ますが、これはホルモンによって皮脂腺の活動が活発になり、細菌叢(さいきんそう、「叢」はくさむらという意味)のバランスが崩れることが原因だそうです。

このとき、ニキビの原因菌を殺すために抗生物質や殺菌剤を使うと、体を守ってくれている有益な菌まで殺すことになるので注意が必要です。

よく殺菌剤入りの石けんや洗剤のコマーシャルがテレビで流れているので、そういうものを使った方が健康によいと思っている方も多いと思いますが、不必要な殺菌は健康にとって逆効果です。

現代では、味方となる細菌叢を持っているアメリカ人は約2割しかいないそうで、多くの人は感染症を防ぐのに必要不可欠な細菌叢の守りを壊滅させてしまっているそうです。きれいになりすぎるのも考えものですね。

次回は、皮膚の機能についてのお話です。

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【追記】

最近は、「お湯シャンプー」という言葉が少しずつ広まっているようです。これは、洗髪時にシャンプーや石鹸を使わず、お湯だけで髪を洗う方法です。実は私も、4年近くこれを実践しています。

ちなみに、私は、「秘密の化粧品」というキーワードで検索して最初に出てくるサイトでこの方法を知ったのですが、頭皮の微生物を大切にしているせいか、髪の調子はいいようです。

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皮膚の構造

2014-12-21 07:17:27 | 健康・病気

マーク・ラッペ氏が書いた『皮膚 美と健康の最前線』(川口啓明・菊地昌子:訳、大月書店:1999年刊)という本をご紹介しています。今回は第2回目です。

◆皮膚の構造

皮膚は、体にとって非常に重要な器官で、皮膚がなければ死んでしまいます。また、以前「人食いバクテリア」が世界中を騒がせたことがありますが、皮膚のわずかな傷口から細菌が侵入して死に至ることもあります。

健康を維持するためにも、上手に肌のお手入れをするためにも、皮膚について知っておくべきことがたくさんあります。そこで、まずは皮膚の構造について簡単な知識を仕入れておきましょう。

皮膚は、次の三つの層から成り立っています。(厚さは平均値で、場所によって異なります)

1.角質層:厚さ約0.05mmの薄い層で、皮膚の表面にあって、ケラチンのシートと死んだ細胞の残骸から成る。乾燥を防ぐのに必要不可欠。

2.表皮:厚さ約0.2mmの生きた細胞の層で、角質層の下にあって、脂質を合成して皮膚に防水性を与えている。表皮のいちばん下にある基底細胞層が細胞分裂して表皮の細胞を生み出していているが、それらは少しずつ移動し、約14日で角質層に達し、その後約14日で扁平になり死滅する。

3.真皮:厚さ約2mmの層で、表皮の下にあって、おもに丈夫で弾力のあるタンパク質(コラーゲンやエラスチン)からなり、皮膚が引き裂かれないように守っている。真皮の奥深くには血管が走っていて、皮膚に栄養と酸素を供給している。真皮の下に皮下脂肪が蓄積される。

皮膚の特徴の内、最も驚くべきものは、体のどの部分の表皮細胞も相互転換性を示すことだそうです。つまり、表皮を別の場所に移植すると、移植部分は周りと同化してしまうそうで、たとえば舌の表皮細胞を足の裏に移植すると、足の裏の表皮細胞になるそうです。

これは体表の皮膚の特徴が真皮によって誘導されるためで、真皮まで含んだ皮膚を移植すると、移植部分は元のままだそうです。したがって、真皮の状態が表皮、すなわち美容上重要な外観を決定することになります。

次回は、皮膚表面の生き物についてのお話です。

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美容という名の強迫観念

2014-12-14 07:28:09 | 健康・病気

今回から、マーク・ラッペ氏が書いた『皮膚 美と健康の最前線』(川口啓明・菊地昌子:訳、大月書店:1999年刊)という本をご紹介します。実は、この本の原題は、『身体の縁-皮膚へのわれわれの文化的な強迫観念』です。というわけで、最初は強迫観念のお話から始まります。

◆美容という名の強迫観念

最近は、エステサロンに通うことも当たり前になり、多くの人が自分の顔を若々しく保つために膨大な時間とお金を費やしています。

しかし、ときには化粧品が原因で肌が荒れたり、美容整形が原因で容姿が醜くなったり健康を損なったりすることもあります。

生物学者であり、毒物学者でもあるマーク・ラッペ氏は、化粧品や美容整形によって生じた健康被害を調査・研究する過程で、一つのことに気が付きます。

それは、化粧や美容整形の手術などによって顔をつくりかえようとするのは、ある種の強迫観念によるものだということです。

強迫観念とは、例えば外出するとき、ちゃんと火の元を確認したのに、鍋を火にかけたまま出てきたのではないかと不安になり、引き返して再度火の元を確認するような精神状態のことです。

我々は、テレビのコマーシャルやファッション雑誌によって、若々しく美しい肌を追い求めるよう洗脳されていて、化粧品メーカーや美容産業の思惑どおり、化粧品が手放せなかったり、エステサロンに通わずにいられないような精神状態になっている人が少なくないようです。

強迫観念といえば、以前韓国で「扇風機おばさん」という人が話題になりました。

この人は、もともと美しい女性だったそうですが、もっと美しくなりたくて美容整形を何度も繰り返し、最後には顔がパンパンにはれ上がって、扇風機のような顔になってしまったのです。

これは、絶えず美容整形手術を受けないと気が済まないという強迫観念に取りつかれ、正常な判断ができなくなってしまった悲劇的な例です。

ここまでやる人は稀ですが、我々の行動も多かれ少なかれある種の強迫観念に支配されている可能性があり、自分が正常な判断力を失っていないか、絶えずチェックする必要がありそうです。

マーク・ラッペ氏は、このような強迫観念の根源をさぐり、皮膚についての基本的な真実をあきらかにするため、この本を執筆しました。したがって、物事の表面的な美しさよりもその本質に関心のある方は、きっと興味深くお読みいただけると思います。

次回は、皮膚の構造についてのお話です。

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前立腺がんの抗がん剤「ジェブタナ」に関する注意情報

2014-12-11 10:59:59 | 健康・病気

前立腺がんの抗がん剤「ジェブタナ」を投与された約200人の患者のうち5人が死亡していたというニュースが流れています。

これに関しては、販売元のサノフィ社が「日本臨床腫瘍学会」宛に出した文書がインターネット上に公開されていて、それによると、「ジェブタナ」は2014年7月4日に承認されていますが、承認にあたって以下のような承認条件が付与されたそうです。

【承認条件】
「国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが収集されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。」

つまり、この薬はまだ人体実験中だったようです。どうぞお気を付けください。

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皮膚とがんの関係

2014-12-07 09:03:25 | 健康・病気

がんという病気を表わすのに、昔は「癌」という漢字がよく使われていましたが、最近は「がん」と表記されることが多いのはなぜでしょうか? 国立がん研究センターのホームページによると、「がん」は悪性腫瘍全体を示し、「癌」は上皮細胞で発生するがんに限定されるからだそうです。

上皮細胞とは、皮膚の表面の細胞で、上皮細胞で発生するがん(上皮性腫瘍)の代表的なものは、肺がん、乳がん、胃がん、大腸がん、子宮がん、卵巣がん、喉頭がん、咽頭がん、舌がんだそうです。つまり、がんの大部分は上皮細胞に由来するのです。

また、前回ご紹介した横内正典医師は、自身の皮膚病が漢方薬によって劇的に治癒した経験から、がん治療に漢方薬を用いるようになりました。さらに、本ブログの「免疫療法」でご紹介した丸山ワクチンも、もともと皮膚結核の特効薬だったそうです。

したがって、がんは皮膚と密接な関係があり、皮膚を健康に保つ手段が、がんの予防や治療にも有効である可能性が高いため、皮膚に関する正しい知識を仕入れておくことは、がんに克つために非常に重要ではないかと思うのです。

そこで、これからしばらくは、『皮膚 美と健康の最前線』(マーク・ラッペ:著、川口啓明・菊地昌子:訳、大月書店:1999年刊)という本の内容を詳しくご紹介したいと思います。

この本は、美容のテクニックを解説しているわけではありませんが、もっと大事な、皮膚の本質にかかわる情報がちりばめられています。この本の内容に沿って、次回から皮膚に関する問題点を分かりやすく解説していきたいと思いますので、ご期待ください。

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