『現代強健法の真髄』(大津復活:著、大同館書店:1918年刊)という本をご紹介しています。今回は第9回目です。
◆禊(みそぎ)式強健法
禊は、心身の穢れを払う神事で、神社に奉仕する人なら禊を行なうのは当然という先入観をお持ちの方もおられるかもしれませんが、実は、禊の行は長く忘れられていたそうで、明治時代の後期に川面凡児(かわつらぼんじ)氏がそれを復興し、大正時代には広く神社界の注目を集めるようになったそうで、今日行なわれている禊行はすべて川面凡児氏に由来するそうです。(以上、『古神道の本 甦る太古神と秘教霊学の全貌』(学習研究社:1994年刊)より)
ところで、神社に奉仕する人が病弱では、神国日本が立ち行きませんから、当然のことながら、禊の行は健康にもよいということになります。実際、禊に参加することによって健康になったという例が多いそうです。
有名人の例としては、医学博士で「ビタミンの父」として知られる高木兼寛(たかきかねひろ)男爵が、70歳の高齢で禊の行に参加し、体調不良が改善した体験談が掲載されています。
禊の概略は、以下のようになります。
1.振魂(ふるたま): 両手を組み合わせ、数十分間連続して全身を猛烈に振り動かす。
2.気合運動: 下腹に力を込め、気合と共に櫓(ろ)を漕(こ)ぐ動作を繰り返す。
3.雄健(おたけび): 直立不動の姿勢で神我一体の自覚を喚起する。
4.雄詰(おころび): 気合を発して周囲の悪魔を威圧し善化する。
5.伊吹: 腹式呼吸で鼻から息を吸い、丹田を緊張させた後、口からゆっくりと吐き出す。
6.食事: 朝夕2食、5勺(0.5合)の粥に梅干し2つ、ごま塩少々。
これを見ると、単なる呼吸法だけでなく、全身運動を伴うので、健康効果も大きそうですね。ただし、これらは本を読んだだけでは実行不可能ですから、禊にご興味のある方は、必ず熟練者の指導を受けるようにしてください。
次回は最終回で、その他の健康法についてのお話です。