がんに克つ

父のがんを治すためにがんを研究しました。がんは意外と簡単に治ることを知ってもらえたら、亡き父も喜んでくれると思います。

新型コロナウイルスについて

2020-04-25 09:05:23 | 健康・病気

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、4月16日に緊急事態宣言の対象地域がすべての都道府県に拡大され、がんで闘病中のかたは特に緊張感をもって生活しておられると思います。

今後の見通しですが、「WEDGE Infinity」というWebマガジンの「

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台湾の研究者が日本の新型コロナ感染拡大を試算、5万人感染で「第二の湖北省になる」と警告

徐氏は生物医学が専門で公衆衛生や感染症の専門家ではないが、1月から新型コロナの拡大予測を学生向けに解説し、フェイスブックなどで公表してきたと...

WEDGE Infinity(ウェッジ)

 

」(野嶋剛:著)という記事によると、台湾大学化学部の徐丞志准教授が、日本の感染者数のピークは最悪で4月26日前後になると試算しているそうです。

この先生は、中国・湖北省や韓国などの感染予測をほぼ的中させているそうで、この予測を信じるなら、来週以降は「感染が収束しつつある」という楽観的な報道が増えていくのかもしれません。

しかし、実はこの先何年も気を緩めるわけにはいかない理由が二つ存在します。

一つ目は病原菌の種類です。

まず、2月8日発行の日本医事新報社・Web医事新報には、2月3日に書かれた「新型コロナウイルス感染症はSARSに類似、厳重な警戒が必要」(菅谷憲夫:著)という記事が掲載されています。

また、2月13日には、日経メディカルに「

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病名はCOVID-19、ウイルス名はSARS-CoV-2

WHOは2月11日、新型コロナウイルス感染症の正式名称を「COVID-19」とすると発表した。コロナウイルス感染症と感染者が報告された201...

日経メディカル

 

」(三和護:著)という記事が掲載されました。これによると、国際ウイルス分類委員会(International Committee on Taxonomy of Viruses:ICTV)が2月7日までに、新型コロナウイルスを「SARS-CoV-2」と名付けたそうです。

なお、SARS(サーズ)とは「Severe Acute Respiratory Syndrome」(重症急性呼吸器症候群)の略で、国立感染症研究所のホームページによると、この病気は中国南部の広東省を起源とした重症肺炎で、北半球のインド以東のアジアとカナダを中心に流行し、2002年11月から2003年8月までに8,096人の症例が報告され、うち774人が死亡しているそうです。

したがって、今回の新型コロナウイルスは、SARSウイルスに類似した非常に危険なものであるということです。

二つ目は流行期間です。

『人口政策の栞』(厚生省人口問題研究所:1941年刊)という本によると、100年前に世界的に大流行した流行性感冒による日本での死亡者数は以下のようになっています。

1917年 2,390人
1918年 69,824人
1919年 41,986人
1920年 108,428人
1921年 10,304人
1922年 12,688人
1923年 6,520人

1916年以前は省略していますが、1917年までの死亡者数は毎年ほぼ2千人前後でした。それが、1918年に約7万人となり、翌年は少し減少したものの、1920年には10万人以上となっています。

つまり、世界的に大流行した病気は、一度収まりかけても再度流行する危険があり、今後数年間は注意が必要だということです。

現在がんで闘病中のかたは、この二点に注意して、緊張感をもった生活を今後も続けていただきたいと思います。

なお、本ブログは、免疫力を高めてがんに克つ方法を多数ご紹介しています。これらは新型コロナウイルスにも有効だと思われますので、参考にしていただければ幸いです。

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蓄膿症

2020-04-18 09:15:28 | 健康・病気

『漢方の味』(鮎川静:著、日本漢方医学会出版部:1939年刊)という本をご紹介しています。今回は第10回目です。

◆蓄膿症

鮎川氏によると、蓄膿症は主として腎臓機能に関係がある病気で、手術では容易に治らないため、耳鼻科の先生にとっては、一人の患者から何回も手術料がとれる「至極(しごく)結構な病気であるかも知れない」そうです。

あるとき、ひどい蓄膿症を患っていた鮎川氏の従妹婿(いとこむこ)が、ある博士の手術を受けることを決心したのですが、それを聞いた鮎川氏の叔母(おば)が、その従妹婿に漢方の煎薬(せんやく=せんじぐすり)を勧めたそうです。

ところが、従妹婿は「蓄膿症が煎薬ぐらいで治るものか」と言って断り、結局手術を受けたのだそうです。

それから二か月ほど経過した頃、その従妹婿が鮎川氏の医院を訪ねてきたので、鮎川氏が「此間(このあいだ)は博士の手術を受けたそうだね、定めし立派に治ったろう」と皮肉を言ったところ、少しも良くならなかったことを報告したそうです。

そこで、鮎川氏は、次のように諭したそうです。

「手術では何病も根本から治るものではない、蓄膿症などという病名は鼻に病毒が集まった場合の一症状への病名で、病根は深く身体にしみついているから、薬の作用(はたらき)でその毒物を出して終(しま)わないことには治らないのだ」

そして、小柴胡湯(しょうさいことう)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)の合方に朮(じゅつ)、薏苡仁(よくいにん)、大黄(だいおう)を加味して与えたところ、従妹婿の蓄膿症は約六週間で完治したそうです。

今回登場した小柴胡湯は、『漢法医学講演集 第1輯』(森田幸門:述、木曜会:1940年刊)という本によると、本来は有熱性伝染病の薬で、寒くなったり熱くなったりを繰り返し、胸から脇にかけて非常に苦しくて中に物が充満している感じがし、一向物を言わなくなって食べ物を食べたがらず、心臓部のところが息切れて呼吸が苦しくなってムカムカする症状に対する特効薬だそうです。

また、『漢方の診かた治しかた』(寺師睦済:著、福村出版:1966年刊)という本には、この薬について、「生命維持に関係の深い物質代謝の中枢である肝と腎に作用して、全身に賦活力をつける体質改善薬といえよう。現代西洋医学にはかかる妙薬はない。」と書かれています。

したがって、小柴胡湯には、肝臓と腎臓の不調を治して体質を改善する効能があるようです。

なお、世間には小柴胡湯をかぜ薬として気安く考えている人もいるようですが、間質性肺炎の副作用が報告されているのでご注意ください。

次の桂枝茯苓丸は、本ブログの「呼吸器病」でご紹介したように瘀血(おけつ)の薬です。

最後に登場した朮、薏苡仁、大黄はそれぞれ単品の生薬(しょうやく)で、『漢方医学』(大塚敬節:著、創元社:2001年刊)という本によると、朮と薏苡仁には利尿作用があり(つまり水毒の薬)、大黄は消炎誘導作用のある下剤だそうです。

また、薏苡仁については本ブログの「ハトムギの薬効」でもご紹介しているので、よかったらあわせてご覧ください。

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高血圧と糖尿病

2020-04-11 15:01:19 | 健康・病気

『漢方の味』(鮎川静:著、日本漢方医学会出版部:1939年刊)という本をご紹介しています。今回は第9回目です。

◆高血圧と糖尿病

この本が出版された当時(昭和14年)は、高血圧と診断された人に対して血圧を下げる注射を打つことが流行していたそうですが、鮎川氏は、これについても見当違いな処置であると批判しています。

そもそも、なぜ血圧が上がるかというと、血圧を上げなければ身体の維持ができなくなるという周囲の状況があったはずなので、血圧だけを下げようとするのは向こう見ずで乱暴なやり方となるわけです。

ちなみに、鮎川氏は、血圧が高くなる原因が主として肝臓にあるのではないかと考えていたそうです。

この本には高血圧の具体的な治療例が載っているのでご紹介しましょう。

あるとき、体格の良い肥満した四十代半ばの男性が鮎川氏の医院を訪ねてきたそうです。

この男性は、少し急いだり重荷を担ぐと息が詰まって苦しいので、内科を受診したところ、高血圧と診断され、注射を打ってもらって血圧はかなり下がったものの具合は良くならず、鮎川氏の評判を耳にして来院したのだそうです。

そこで、鮎川氏は彼に大柴胡湯(だいさいことう)、大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう)、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)の三方合方を処方したところ、主症状も自然ととれて血圧も下がり、非常に感謝されたそうです。

それから約一年後、鮎川氏は、妻が上京するので駅まで送って行った際、偶然この男性と再会したそうです。彼は先年のお礼を述べ、「先生の薬は糖尿病にも効きますね」と言ったそうです。

そこで詳しく話を聞くと、彼は二、三か月前に腫れ物ができてかかりつけの博士を訪ね、その際、持病の糖尿病がどうなっているか検尿して調べてもらったところ、まったく糖がなかったのだそうです。

鮎川氏によると、体質改善に重きを置いた処方によって主症状とは別の持病がいつの間にか治ってしまうことは「ザラに有(あ)ること」だそうです。

今回最初に登場した大柴胡湯は、『漢法医学講演集 第1輯』(森田幸門:述、木曜会:1940年刊)という本によると、本来は有熱性伝染病の薬で、大便が出にくくて、のどが悶(もだ)えて苦しい、胃のところが非常に張って苦しい、という症状を目当てに処方するそうです。

ただし、主薬の柴胡(さいこ)は肝臓の働きを円満にすることと、胃腸が悪いために癇癪(かんしゃく)が強くて気がイライラしている人にこの薬がよく効くことが書かれていて、漢方の理論によれば肝臓が悪いと怒りっぽくなるそうなので、大柴胡湯には肝臓の病気を治す効能があるようです。

次の大黄牡丹皮湯は瘀血(おけつ=古くなった不要な血液)の薬で、詳しいことはいずれ近いうちにご説明する予定です。

最後の桃核承気湯は、本ブログの「風邪と脳膜炎」でご紹介したように、やはり瘀血の薬です。

したがって、これらの薬は、肝臓を治療し瘀血を改善することによって、この男性の主症状(少し急いだり重荷を担ぐと息が詰まって苦しい状態)を解消し、同時に高血圧と糖尿病も治してしまったようです。

やはり、対症療法ではなく、体質改善が大切なのですね。

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肺結核と診断された胃病

2020-04-03 10:31:51 | 健康・病気

『漢方の味』(鮎川静:著、日本漢方医学会出版部:1939年刊)という本をご紹介しています。今回は第8回目です。

◆肺結核と診断された胃病

鮎川氏は、西洋医学の問題点について、物質文明、すなわち人間の身体を機械扱いにする外国に発達した医学であり、胃も腸も肺も心臓も各々違った働きをするからいつでも切り離していいように思っているのがそもそもの間違いである、と指摘しています。

そして、漢方は病名にこだわらないところに非常に治療上の正しさがある、と語っています。

これはどういうことかというと、肺に主なる変化があり、次に肝臓、腎臓に変化があり、胃腸も充分ではないということがよくあるのだそうです。

西洋流ではこうした場合、肺炎とか肺結核といった特殊な病名をつけて治療して行こうというわけですが、それではうまくいかないということがよく分かる実例があるのでご紹介しましょう。

ある炭鉱の鉱長が、お尻に大きなおできが二つできて、痛みと発熱で苦しんでいたのですが、鮎川氏が往診して十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)と伯州膏(はくしゅうこう)を処方したところ、一週間程度で完治したそうです。

漢方の偉力に驚いたその鉱長は、義弟(妻の弟)の肺結核について鮎川氏に相談したそうです。

その義弟は、東京の学校に行って病気になり、病院を転々として入退院を繰り返したものの病状は一向に改善せず、医療不信に陥って自宅で寝ている状態だったそうです。

それを聞いた鮎川氏は、鉱長に著書を二冊進呈し、義弟に読ませるよう勧めたそうです。

数日後、鉱長は義弟から届いた手紙を持参し、ぜひ鮎川氏に診(み)てもらいたいが、咳嗽(せき)がひどく、微熱があり、食欲不振で非常に痩(や)せているため、長距離の移動に耐えられないので薬を送って欲しいという義弟の希望を伝えたそうです。

そこで、手紙に書かれていた症状を頼りに、鮎川氏が三週間分の漢方薬を鉱長に託したところ、約一か月後に義弟が鉱長と一緒に鮎川氏の医院を訪ねてきたそうです。

鮎川氏は早速彼を診察し、著しい胃の弛緩(ゆるみ)と胃内停水を確認したので、「これは肺病じゃない、胃病だ」と断言すると、義弟の顔が光明に輝いたそうです。

鮎川氏は義弟にその理由を説明し、茯苓飲(ぶくりょういん)と当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)の兼用十日分を与えたところ、義弟は十日後には見違えるほどよくなり、その後も同じ薬を一か月継続してすっかり元気になったそうです。

鮎川氏によると、せきの原因も食欲不振の原因も肺結核になった原因もこの胃病にあり、胃病の原因は主として腎臓の作用(はたらき)が足らないせいなのだそうです。

つまり、腎臓で処理できなかった水分が胃にあふれて胃内停水となり、その結果、食欲不振と余分な水分による冷えによって風邪(かぜ)をひきやすい体質になり、それが慢性化したところに結核菌が入り込んで肺結核になってしまったというわけです。

西洋医学の専門家は、自分の専門以外のことが分からないため、こういった大事なことを見逃してしまうのですね。

今回登場した茯苓飲は、本ブログの「消化剤の有害性」でご紹介した茯苓沢瀉湯と同じ水毒の薬で、『皇漢医学 第2巻』(湯本求真:著、南江堂:1937年刊)という本によると、胃内停水と食欲不振に有効だそうです。

また、当帰芍薬散は、本ブログの「呼吸器病」でご紹介した桂枝茯苓丸と同じ瘀血(おけつ)の薬で、『臨床応用漢方医学解説』(湯本求真:著、同済号書房:1933年刊)という本によると、貧血で桂枝茯苓丸が使えない人に適するそうです。また、慢性胃腸病や腎臓炎にも有効だそうです。

こういった瘀血と水毒を改善する漢方薬によって体調を整えれば、身体の機能が正常になるため、たとえ結核菌のような恐ろしい病原体でもその居場所を失ってしまうようです。

このことは、今世界を混乱に陥れている新型コロナウイルスについても同様だと思います。今からでも遅くないので、ぜひみなさんも瘀血と水毒を減らして、万全な体調でウイルスの感染拡大に備えていただきたいと思います。

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