今回は、『末期ガン科学者の生還』(向井楠宏:著、カロス出版:2012年刊)という本をご紹介しましょう。
この本の著者の向井楠宏氏は、九州工業大学の教授をつとめた科学者で、定年退職後に末期の胸腺がん(厳密には、神経内分泌細胞がん)が見つかり、手術は不可能と診断されます。
そこで、抗がん剤(シスプラチンとエトポシド)投与と放射線照射を受けますが、1回目はがんが37%縮小したものの、2回目は10%しか縮小しなかったそうです。
しかも、抗がん剤投与の翌日から食事ができなくなり、吐き気、便秘、不眠などに悩まされ、2回目は副作用が一層ひどくなったそうです。そのため、3回目は自分の判断で中止し、西洋医療と決別したそうです。
その後、向井氏は様々な代替医療を模索して、結果的に医者の余命宣告を覆して生き延びることに成功するわけですが、その過程で下した判断が、さすがに科学者らしく論理的で、しかも、がんに関する様々な情報が患者の立場から網羅されているので、現在がんの治療法をどうすべきか迷っている人にとても参考になるのではないかと思いました。
なお、がん発症の理由ですが、九州工業大学在職中、強電流の配電盤が向井氏の部屋の中にあり、退職までの10年間、彼はその配電盤を背にして椅子に座っていたことから、電磁波が原因だろうと推測しています。
最後に、向井氏の生活の一端をご紹介すると、朝は「感謝の祈り」から始まり、「気功」、「乾布摩擦と深呼吸」、「体操」、「爪揉み」、「早朝散歩」と日課をこなしていきます。また、当ブログでもご紹介した「あいうべ体操」、「ビワの葉温灸」、「漢方薬」なども毎日の生活に組み込まれていて、夜は「炭酸泉温浴」で体を温めているそうです。
このように、向井氏の生活は、食事だけでなく、生活の全部が「抗がん作用」を意識して構成されています。やはり、全力でがんに立ち向かえば、末期がんでも恐れる必要はないんだと、この本は必ず確信させてくれると思います。