普通の政党なら言えないことを確信犯的に発信し、社会にその雰囲気を醸成していく役目を果たす人や政党がある。戦争を始めたい政府があれば、政府外にいて戦争に向かうような過激な発言をして露払いの役目を果たす。今、問題になっている日本維新の会の馬場代表の発言はそのようなものではないだろうか。
馬場代表はネット番組で、「立憲民主党がいらっしゃっても日本は何も良くならない」「共産党は日本からなくなったらいい政党」などと持論を展開したそうである。また、自らの日本維新の会を第二自民党として公言したとのこと。
これに対し、立憲の岡田克也幹事長(70)も「自民党が改革する政党だと思っているのか。自民党が好きで好きで仕方がないという風にしか聞こえない発言」と、と不快感をあらわにし、共産の小池晃書記局長(63)は会見で、「民主主義を根本から否定する暴論だ」と反発といわれる。抗議に対しては「共産党は公安調査庁による破防法による調査団体に指定されている」と更に、反論したという。
この報道を聞いて、ああ、この人と政党は、自民党よりも危険な国家主義的な考えを持っているのだと改めて確信した。ヒトラーの例を持ち出すまでもなく、独裁的な考えの人や組織は、異論を排除して政策を思い通りに進めようとする。
その際、国民を「刺激的な言葉」で扇動し、それが事実であるか否かを問わず、言った事によって人々に浸透し、普通のように思える雰囲気を作り出す。戦前の日本でも、同じように戦争反対する共産党は非合法化し、獄中に押し込めた。少しでも異論を唱える政党は排除して、政府に同調する翼賛政党のみにして戦争に突き進んだ。
民主主義を否定し、異論をすべて排除するような政治家に政治を任せればどうなるかは歴史が証明しているし、今のロシアのウクライナ侵攻に伴うロシア国内の言論統制を見れば明らかである。突き進む先は、中国のような一党独裁政治を可とする政治ではないか。
この件について、共産党が抗議するのは当然だが、立憲が自らの火の粉を払うだけではなく、政党を排除する危険な考えについての批判がないのは残念である。公明党が苦言を呈したと言うが、自らの前身の宗教団体が戦前弾圧されたことを思えば、馬場代表のような発言のもたらす危険性を理解しているからだろうと思う。
また自ら「第二自民党」と自称していることについては、すでに軍事拡大など重要な政策については自民とおなじであるし、場合によっては核の保有を唱えるなど、自民党以上に過激な発言をしてきている。文字通り戦争できる国への露払いの役割を果たしてきていることなどの役割に気づく。
つまり、あるときは「野党」のような言辞で、自民党政治を「激しい言葉」で批判しても、だまされてはいけないと言うことである。かつて、小泉首相が「自民党をぶっ潰す」と激しく攻撃して見せ、大量の支持を得て、その結果は自民党を大きくしていったことも想起される。
***追って=これを書いた後、立憲民主党はじめ野党や各紙が一斉に、日本維新の会の馬場代表の発言が民主主義とは相容れないものであるとの論調を発表した。当然のことであるが、一度発した馬場代表の言葉は消えないし、本人は取り消していない。異質なものを排除するという民主主義とは反対の考え方が、一定程度広まったと言う点では悪質である。こうして、非民主主義的な考え方が広まっていくのだと思うと、民主主義というのは守ることがなかなかむずかしいものだと思う。78年前 長崎原爆投下の日に 2023 8 9
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