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映画「幾春かけて老いゆかん」を観ました!

2023年07月31日 | 日記・思い出

 上記タイトルの歌人馬場あき子氏のドキュメント映画を7月30日観ました。馬場氏については、朝日歌壇の選者であることや、数十年も前に「鬼の研究」やいくつかの短歌を通してわずかに知っているだけでした。しかし歌人の生涯をどのように映画化するのだろうという期待がありました。

 映画のタイトルは氏の短歌「さくら花幾春かけて老いゆかん身に水流の音ひびくなり」から決まったようでした。若い頃は30数年教師生活をおくり、その頃は政治の時代で労組の婦人部長もやり安保闘争に参加するなど政治や社会への関心を深めていった頃の描写は二回りも下の私にとっても共通な面もあり興味を引かれました。もっとも、馬場氏は60年安保、私は70年安保としての経験でしたが。

 後にパートナーとなる岩田正氏とも短歌や政治との共通点があったからのようでしたが、長い夫婦生活については今となっては淡泊な物言いのように思えたのも95歳という年齢のせいでしょうか。

 短歌の結社「かりん」の主宰で忙しい中、朝日歌壇の選者として時に2千枚にも及ぶ応募作品の素早い選歌のようすはショックでした。上五でほぼ善し悪しが決まるとの素早い選歌など、俳句の実作者としては複雑な思いも抱きました。作歌するときには、自然を観察して、自分の生き様や古典の教養を融合させて詠むことが大切な事、特に社会の有り様や人の生き方などへの関心が無いようでは良い歌とは言えないなどは俳句な等にも共通な事と思いながら真剣に観ました。

 知らなかったのは、能の世界の一人者で、作者でもあり、批評家・研究者という面でした。能舞台での明快な解説は大評判でした。古典芸能の世界でのジエンダーの問題にもちらっと触れていましたが、かつて斜め読みした「鬼の研究」もこの能や、女性のあり方などとも深い関連のあるものでした。

 和服姿ですっすっと歩く姿は95歳という年齢を感じさせないし、古典への造詣の深さに加え、旺盛な探究心、興味関心の広さなど一流の人の見事な生き方を見せてもらいました。

 そういえば観客も女性が多かったのですが、皆それぞれに教養のありそうな方だったと芸術作品のあとの俗な関心事でした。



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