またも憲法違反という訴えを認めない判決です。23日夫婦別姓をめぐる最高裁判決で、社会的な変化があるとしても「別姓での婚姻を認めない」という現行法は合憲で、これらの問題は国会で決めるべきこととしました。
訴えでは、別々の姓で婚姻届けを出して受理されなかった方々が、下記理由で訴訟。
①夫婦同姓でないとするのは「法の下の平等」(憲法14条)に違反。
②「婚姻の自由」(憲法24条)に違反。
裁判官15人のうち、11人が従来通り合憲、4人が憲法違反としました。
反対意見は、「国家の不当な介入」である、婚姻の権利の保障をするのは「司法の責任である」とする人権を保障する立場を鮮明にしています。
この間、国民の半数が別姓を認めていることや、女性の社会進出が顕著な中で不利な条件を強いるのはおかしいという世論の大きな変化がありました。同姓にしないと納税や年金受給は戸籍名が必要など女性に不利なことが続いています。
この最高裁の判決を読み、次のように一層裁判の特に最高裁の在り方に不信を持ちました。
皆さんはどう思うでしょうか?
①日本は三権分立で、最高裁は憲法違反の法律を許さないはずですね。いわゆる違憲審査権を持っています。しかし、現実は、行政権(政府)のもとに、「憲法の番人」としての役割を放棄していると思える判決が相次いでいます。
「国会が決めること」として、最高裁が持っている「違憲審査権」を放棄するようなことは、三権分立の憲法上の仕組みを最高裁が破り、多くの国民が「やはり、最高裁は政府の軍門に下っている」と感じていることを示すのでしょう。最高裁は国民の「最後の砦」だと、国民が思わなければ三権分立も絵にかいた餅で、政府の下請け機関になりはてるのでしょう。
②最高裁の人事を政府が意図的に操作しているのではと思ってしまいます。トランプ大統領は露骨でした。日本では、人事が「内閣の任命」によって決まりますが、よほど公平な判断をする政府でないと心配です。
③人権問題に敏感でないと、役目は果たせないはずですが、時の政府の人権感覚に沿った判断を下すことになってしまっているように思います。国会では、自民党では安倍首相などを中心とするグループが「選択的別姓」に反対して、決められません。多数意見は、その国会に戻すというのであれば、この意見と同じことに与するのではないでしょうか。
④世界中で日本だけが「婚姻は同姓」を義務付けているのです。知っていましたか?
ちなみに、この夫婦同姓については、上川法務大臣が参議院で次のように答えています。「夫婦の同氏制を採用している国は、わが国以外に承知していません。」(2020・11)
こうして、自民党内の家族制度を重視する議員たちの運動によって、国際的な人権を擁護するという流れから大きく遅れてしまっています。
⑤それに、当の最高裁の構成を見てください。15人のうち、13人が男性で女性は2人でしたね!
残念ながら女性の人権に配慮していない国として日本は有名です。1979年国連で女子差別撤廃条約が決められ、世界各国が女性差別をなくすことに取り組み、日本も80年に締結しているのに、男女平等の進み具合は百番目ですから、裁判官もそのレベルなのでしょうね。
***参考資料***
1947年(昭和22)時の政府によって発行された啓蒙冊子「新しい憲法明るい生活」にも、「裁判所は憲法の番人」とのタイトルで、「・・・、最高裁判所はこれまでと違って憲法に背くような法律は、これを無効とすることができる。このように、裁判所の地位は新憲法によって著しく重要なものとなったが、それと同時に国民と国会との力でこれを監視できるようになった。・・・・。」(戦前の憲法さえ無視しての治安維持法などの法律で、苦しめられた国民の思いが当時の保守的な人たちさえ理解していたのでしょうね。)
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