ちょっと前に、教科書の検定を通っている地図に大量の間違いがあることがわかったと各紙に報じられました。
それは教科書会社最大手の「東京書籍」が発行した高校地図の教科書でした。その数はなんと約1200か所! 信じられない数字です。
永岡文部科学相は記者会見で「今回の事案が生じたことは大変遺憾だ」として、再発防止の指導をするとしたそうです。また文科省の教科書検定に合格していたことについて「訂正箇所の多さが検定の不適切さを示すものではない」として、問題はなかったとの認識を示したそうです。
使い始めてから現場の声が出て、訂正したそうですが、おかしいと思いませんか。
一体何のための検定でしょうか。こんなに大量の間違いを発見できなかったことは論外ではありませんか。こんなでたらめな検定が通る一方、社会科や公民、政治の分野では、政府の見解にそぐわないものは、やり直させると言うことが横行しています。
教科書会社は検定が通らなければ教科書として採用されないので死活問題です。かつて教科書の問題に取り組んでいる方に、検定調査官に忖度してやることが普通になっていると聞いたことがあります。現実に検定が通らなくて倒産に追い込まれた会社もありました。
日本の検定制度の問題点は、時の政府の見解を検定に反映させるようにしていることです。それに現場の教師が関われないという点です。子どもの教育に携わらないような教育委員会の委員が採択を決めるのですから驚きます。
多くの国民はその事実には気がついていないと思います。また教師の多くも、決めてもらうのが当たり前だと思っているのではないでしょうか。同じ教科でさまざまな教科書があり、それぞれ特徴があるのに、そのことに触れることもなかなかできません。与えられた教科書を使うだけです。教師を馬鹿にしています。
今回のひどすぎる検定の問題は、日本検定制度の矛盾の一端を表に出しました。日本の検定は憲法21条の表現の自由に反するという意見も出ています。何しろ検定が通らなければ採用されないのです。
独裁国でない限り、このような検定をしている民主主義の国は少ないでしょう。日本の教育の異常さの一面はこの検定制度にあることを考えさせてくれるでたらめぶりでした。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます