羽生結弦選手を政治利用しないで、自身も政治利用にのらないで！

　ご存知のように羽生選手は日本だけではなく世界を代表するスケーターです。仙台出身の彼が東日本大震災の後には、さまざまな取組みによって被災者を励ますことになったことを知り、ますます素晴らしいと思っていました。しかも東北人としての共感的に見ていたものでした。そんな折、ネットの「リテラ」（http;//lite-ra.com/)に出会いました。そこの記事を読んでびっくり。

　羽生選手を政治的に利用している団体があり、羽生選手のインタビューでの発言もそれに関わりがあるのではと思われるとの指摘があったのです。
　
　そこでの記事をみると、

①「羽生さんは、例の日本会議に協力させられています。イベントにも参加したり、機関紙にも登場したりしている」（フィギュアスケート関係者）

②2012年3月4日に開催された「東日本大震災復興祈念の集い」。このイベント、タイトルだけだと震災被災者を支援する集いに見えるが（事実、同名で別の支援イベントも開かれている）、実体は日本会議が仕切る極右思想の啓蒙イベントでした。

　③日本会議といえば、改憲や家父長制の復権、人権の制限などを掲げ、日本を戦前の体制に戻すことを企図しているカルト極右団体。そんな団体に羽生選手がかかわっているとは信じがたいが、調べてみると、羽生選手は日本会議のイベントに参加していたとのこと。

　＊その模様が日本会議の機関誌「日本の息吹」12年4月号に収録。

　＊記念講演は、震災の被災者に対して「支援に頼らず自分たちでなんとかしろ」という持論を主張し続けている極右作家として知られる曽野綾子氏が行ったのだが、曽野氏はこの日の講演でも、被災者を前に〈大東亜戦争の終戦直後を例にとり〉、当時の政府が何一つ支援しない中、国民は何にも頼らずにひたすら復興をしてきたとして、〈今の日本には国はやるが、自分もやるという精神が薄れている〉などと説教を述べたといいます。

　＊日本会議会長や平沼赳夫議員などのあいさつの後、羽生選手は被災地代表として登壇し、「今は一人ひとりが自分の出来ることを精一杯取り組み、誇りを持って前に進み、感謝の気持ちを忘れずに生きていく時だと思います」と挨拶したそうです。
＊「この集会に羽生選手が参加したのは、羽生選手の有力な後援者が日本会議のメンバーで、そのルートからアプローチされたと聞きました」　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（スケート関係者）
④記事では、日本会議や羽生選手は日本を極端に強調するが、フィギュアはコーチや振付師、チームメイトなど、様々な国籍の選手やスタッフで支え合っている競技であり、国際的な協力支援なしには成り立たないものと指摘しています。羽生自身もカナダ人であるコーチのブライアン・オーサー氏に師事し、カナダ人の振付師、衣装はアメリカ人のデザイナーと実に様々な人たちに支えられていますし、ファンも、熱心な人ほど国籍関係なく応援する人が多いといいます。

⑤もちろん、羽生選手自身は、純粋に被災地の復興支援だと思って参加しただけで、日本会議の実体を知らなかったのかもしれないと思いたいです。その後も日本会議はことあるごとに羽生選手にアプローチをしかけているとの情報もあるそうですから、政治利用が心配です。
　自民党は歌手の今井絵美子氏などを信条を変えさせてまで立候補者にしたり、乙武氏を担ごうとするなど、人気にあやかって比例票や議席を伸ばし、改憲にひた走ろうとしているのですから。スポーツ選手でも当然政治に関わることは大切ですが、よりによって日本会議とは！

＊参考
①本ブログの2015年3月18日付　曽野綾子氏文科省「道徳」に登場―その言葉と実際

②「日本会議とは」―安倍政権の打ちだす政策と多くの主張が符合する団体、日本最大級の影響力を持つ保守団体「日本会議」である。

　日本会議は1997年（平成9年）「日本を守る国民会議」（保守系文化人、保守系団体、旧日本軍関係者などで構成）と「日本を守る会」（神道・仏教系宗教団体）という二つの保守系団体が統合されて生まれた。

　教育基本法の改正に成功して、次の主たる目標は憲法改正だ。日本会議系のネットワーク団体「美しい日本の憲法をつくる国民の会」では、憲法改正に向けた「憲法改正を実現する1000万人ネットワーク」を展開している。
憲法を以下のように変更することを推進している。

1．　「前文」…美しい日本の文化伝統を明記すること
2． 「元首」…国の代表は誰かを明記すること
3． 「9条」…平和条項とともに自衛隊の規定を明記すること
　　　•9条1項の平和主義を堅持するとともに、9条2項を改正して、自衛隊の国軍としての位置づけを明確にする
4． 「環境」…世界的規模の環境問題に対応する規定を明記すること
5． 「家族」…国家・社会の基礎となる家族保護の規定を
6． 「緊急事態」…大規模災害などに対応できる緊急事態対処の規定を
7． 「96条」…憲法改正へ国民参加のための条件緩和を
　　　＊自民党の憲法改正案とうり二つです。

　日本会議設立と時を同じくして、日本会議国会議員懇談会（以下「懇談会」）が立ち上げられている。2015年には自民党を中心に、超党派で280名が加盟している。これは衆参両院議員（717名）のうち約4割にあたる。

　現政権との親密度は折り紙付きで懇談会特別顧問は麻生財務大臣、副会長に安倍首相、菅官房長官、石破地方創生担当大臣、中谷防衛大臣が名を連ねる。第二次安倍改造内閣では19名の閣僚のうち15名が、第三次安倍改造内閣では、25名中12名が日本会議所属議員となっている。
事実上安倍政権を動かしている組織と言われる。