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南シナ海問題って? =米中の対立が激化
時事通信 5月29日(金)7時30分配信
南シナ海の領有権をめぐる中国や米国、周辺国の対立が激化している。各国の国防担当高官らが集まって29日からシンガポールで開かれるアジア安全保障会議でも、活発な議論が交わされるとみられる。
―南シナ海とは。
中国、フィリピン、ベトナム、マレーシア、インドネシアなどに囲まれた海域のことだよ。原油などの海底資源が豊富とされているほか、重要なシーレーン(海上交通路)となっており、東アジア向けの石油タンカーなどの多くがここを航行している。中国だけでなく、中東の石油に頼る日本にとっても重要な海域だ。
―何が問題になっているの。
南シナ海には島や岩礁があり、周辺国が領有権を主張したり、実効支配したりして、対立している。特に中国は南シナ海の地図上に「九段線」という境界線を引いて、多くの海域を自国のものだと主張している。フィリピンやベトナムなどが領有権を主張する南沙(英語名スプラトリー)諸島なども含まれており、関係国は反発している。
―中国の「人工島」って。
最近論争を呼んでいるのが中国が実効支配する南沙諸島の7カ所の岩礁などを埋め立てて、「人工島」を造成していることだ。今年に入りペースは加速していて、埋め立て面積は昨年末の4倍の約8平方キロに達している。
―なぜ埋め立てているの。
中国は人工島に滑走路や港を建設しようとしている。中国は「災害救援などのため」と主張しているけど、周辺国は軍用機や軍艦が利用する可能性を疑っている。将来的には南沙諸島を軍事拠点化し、南シナ海への軍事的な支配を強めることで海洋への出口を確保する狙いがあるとされる。
―米国となぜ対立するの。
米国は基本的には領有権紛争には関わらないという立場だけど、南シナ海で中国が軍事力を強化すれば、「航行の自由」が脅かされると心配している。だから同盟国のフィリピンなどを支援し、中国をけん制している。米国は世界一強力な海軍を誇っていて、中国の海洋進出を阻止することは周辺国からの信頼や米国自身の権益の維持にもつながるという側面もある。
―米中が衝突する可能性もあるの。
国連海洋法条約では満潮時に水没する暗礁を埋め立てても領土と認められないが、中国は主権を主張している。米国は中国が埋め立てを停止しない場合、中国が「領空」「領海」とする人工島の12カイリ(約22キロ)以内に米軍機・軍艦を進入させると警告している。中国は「挑発行為」と反発する姿勢で、衝突など不測の事態につながる可能性も排除できない。(シンガポール時事)
南シナ海問題って? =米中の対立が激化
時事通信 5月29日(金)7時30分配信
南シナ海の領有権をめぐる中国や米国、周辺国の対立が激化している。各国の国防担当高官らが集まって29日からシンガポールで開かれるアジア安全保障会議でも、活発な議論が交わされるとみられる。
―南シナ海とは。
中国、フィリピン、ベトナム、マレーシア、インドネシアなどに囲まれた海域のことだよ。原油などの海底資源が豊富とされているほか、重要なシーレーン(海上交通路)となっており、東アジア向けの石油タンカーなどの多くがここを航行している。中国だけでなく、中東の石油に頼る日本にとっても重要な海域だ。
―何が問題になっているの。
南シナ海には島や岩礁があり、周辺国が領有権を主張したり、実効支配したりして、対立している。特に中国は南シナ海の地図上に「九段線」という境界線を引いて、多くの海域を自国のものだと主張している。フィリピンやベトナムなどが領有権を主張する南沙(英語名スプラトリー)諸島なども含まれており、関係国は反発している。
―中国の「人工島」って。
最近論争を呼んでいるのが中国が実効支配する南沙諸島の7カ所の岩礁などを埋め立てて、「人工島」を造成していることだ。今年に入りペースは加速していて、埋め立て面積は昨年末の4倍の約8平方キロに達している。
―なぜ埋め立てているの。
中国は人工島に滑走路や港を建設しようとしている。中国は「災害救援などのため」と主張しているけど、周辺国は軍用機や軍艦が利用する可能性を疑っている。将来的には南沙諸島を軍事拠点化し、南シナ海への軍事的な支配を強めることで海洋への出口を確保する狙いがあるとされる。
―米国となぜ対立するの。
米国は基本的には領有権紛争には関わらないという立場だけど、南シナ海で中国が軍事力を強化すれば、「航行の自由」が脅かされると心配している。だから同盟国のフィリピンなどを支援し、中国をけん制している。米国は世界一強力な海軍を誇っていて、中国の海洋進出を阻止することは周辺国からの信頼や米国自身の権益の維持にもつながるという側面もある。
―米中が衝突する可能性もあるの。
国連海洋法条約では満潮時に水没する暗礁を埋め立てても領土と認められないが、中国は主権を主張している。米国は中国が埋め立てを停止しない場合、中国が「領空」「領海」とする人工島の12カイリ(約22キロ)以内に米軍機・軍艦を進入させると警告している。中国は「挑発行為」と反発する姿勢で、衝突など不測の事態につながる可能性も排除できない。(シンガポール時事)