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特別評論 守れなかった命 第2の容疑者は日米政府 オバマ氏は沖縄で直接謝罪を  編集局報道本部長・松元剛

2016-05-22 21:38:03 | 野党は共闘
沖縄新報より転載

特別評論 守れなかった命 第2の容疑者は日米政府 オバマ氏は沖縄で直接謝罪を  編集局報道本部長・松元剛

2016年5月22日 16:25

 最悪の結末を迎えた米軍属の元海兵隊員による女性遺棄事件で、容疑者は女性を乱暴し、残忍な手口で殺害したと供述している。


 米軍基地問題の不条理に対し、沖縄社会は尊厳を懸けて抗う強さを増している。しかし、私たちは、成人式を終え、希望に満ちていた20歳の女性の命を守れなかった。

 痛恨の極みと言うしかない。

 名護市内で告別式が執り行われた21日午後、遺体発見現場に出向いた。多くの花束と飲み物がたむけられ、告別式を終えて駆け付けた同年代の女性たちが悲しみに暮れていた。化粧品のスペシャリストの資格を得る夢と結婚を控えていた人生を瞬時に奪われた被害者は、亜熱帯の樹種が重なる薄暗い雑木林の中に遺棄された。その無念さ、一人娘を突然奪われた両親の悲しみを思うと、猛烈な怒りが沸いた。こうべを垂れ、立ち尽くすしかなかった。

 米統治下の1955年9月、6歳の幼女を米兵が車で連れ去り、嘉手納基地内で何度も暴行して殺害し、基地内のごみ捨て場に捨てた。苦痛に顔をゆがめて歯を食いしばり、ぎゅっと結んだ小さな手には雑草が握られていた。立法院は「沖縄人は、殺され損、殴られ損で、あたかも人権が踏みにじられ、世界人権宣言の精神が無視されている」と抗議決議した。

 61年前の由美子ちゃん事件、1995年の少女乱暴事件、そして今回の事件は、軍隊組織で培われたむきだしの暴力が弱い女性の尊厳を容赦なく蹂躙(じゅうりん)する構図で共通する。基地がなければ、奪われることのなかった命は数え切れない。

 米軍基地の過重負担は、12万2千人余の県民が犠牲になった沖縄戦を起点とし、米軍統治下の27年間で積み重ねられた人権侵害が縦糸になっている。泣き寝入りした被害者を含め、無数の無念が戦後史に陰影を刻み、沖縄の施政権返還後も続く基地被害が横糸を紡ぐ重層的構造になっている。

 日本軍が駐留していたからこそ沖縄は戦場になった。不戦を誓う県民にとって、沖縄戦と今回の許し難い事件、そして名護市辺野古の新基地建設は地続きの問題だ。

 被害者にたむけるために花を購入した花屋の女性店主が「私の思いも届けて」と倍の花を包んでくれた。店主は「基地は仕方ないと思っていたが、基地があるから犠牲者が出る。考えを改めないといけないですね」と声を詰まらせた。

 過重負担の是正を求め、辺野古新基地を拒む沖縄の民意は民主主義的正当性を宿す。それを一顧だにせず、虚飾と印象操作に満ちた「負担軽減」の文言を繰り返すだけの無策の末、新たな犠牲者を生み出した日米両政府は、まぎれもなく第2の容疑者である。

 翁長雄志知事が国連人権理事会で「県民の人権と自己決定権が侵害されている」と世界に訴えた後、菅義偉官房長官は基地問題は人権問題ではないと批判していたが、今回の事件は最たる人権侵害以外の何ものでもなかろう。県内に渦巻く激しい怒りは、これまでの米軍事件とは全く次元が異なる。それを安倍政権は自覚せねばならない。

 2000年7月の沖縄サミットで、当時のクリントン米大統領は県民向けの演説で「米軍の足跡を減らす」と約束したが、空証文でしかなかった。同じ民主党出身のオバマ大統領は今月末の広島訪問に際して沖縄を訪れ、基地の島・OKINAWAに犠牲を強い続けていることを明確に謝罪し、辺野古新基地断念を表明すべきだ。

 沖縄は日米の植民地ではない。私たちには、子や孫の世代に新たな犠牲者を出す構造を立ち切る責務があり、「第3の容疑者」になることを拒む。そのために立ち上がるべき時が来ている。

大田元知事、抜本解決へ「基地全面撤去が重要」

2016-05-22 08:54:43 | 野党は共闘
沖縄新報より転載

大田元知事、抜本解決へ「基地全面撤去が重要」

2016年5月22日 05:01

   
     大田昌秀氏

 元県知事の大田昌秀氏(90)が21日、沖縄タイムスのインタビューに応じ、うるま市の会社員女性の遺体が遺棄された事件は、沖縄に米軍基地があり続けるが故に起きたとし、抜本的な解決には「基地を全面的に撤去させることが大事だ」との認識を示した。さらに日米地位協定の改定の必要性も指摘し「基地内も日本の法律が適用できるようにしないといけない」と述べた。

» 【号外】沖縄女性不明、米軍属の男逮捕 遺体発見

 大田氏は、被害女性が生まれた1995年に起きた米兵暴行事件で沖縄の反発が高まった時の知事。10月の県民大会で、行政の責任者として「被害者の尊厳を守れなかったことを謝りたい」と言及した。

 大田氏は「基地を撤去しない限り、いつまでたっても同じことを繰り返す。外国の軍隊を独立国家に置くべきではない」と指摘。同様の事件が続けば「県民の怒りが爆発し、何が起こるか分からない。70年にコザ騒動があったが、今は沖縄中が怒っている」と危惧した。

 その上で「日本政府は、軍事戦略で沖縄を見るのではなく、沖縄戦でどれだけの犠牲者を出したかを理解し、二度と沖縄を戦場にさせないという政策を取ればいい」と話した。



■女たちの会 きょう追悼・抗議集会

 元海兵隊員で米軍属の男による女性遺体遺棄事件を受け、「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」(高里鈴代、糸数慶子共同代表)などは22日午後2時から、在沖米軍司令部があるキャンプ瑞慶覧の石平ゲート前(北中城村石平)で、被害に遭い亡くなった女性(20)を追悼し、米軍の撤退を求めて抗議の意志を表明する集会を開く。

 黒色か白色の服装で、事件に悲しみや怒りを持つ県民一人一人の幅広い参加を呼び掛けている。一般的なスピーチ中心の集会ではなく、それぞれがプラカードを持つなどして立ち、思いを表明するスタンディング形式。女たちの会は「静かに、深い怒りを表しましょう」と訴えている。

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