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私たちは当事者 沖縄・米軍属逮捕 

2016-05-28 10:37:58 | 野党は共闘

カナロコ by 神奈川新聞より転載

私たちは当事者 沖縄・米軍属逮捕

カナロコ by 神奈川新聞 5月27日(金)7時3分配信

カナロコ・オピニオン


 グラスを持つ手が小刻みに震えていた。注がれた泡盛がわずかに波打つ。小雨降る夏の夜、沖縄本島中部の居酒屋のカウンターだった。

 「米軍の犯罪だけは許せん」

 沖縄県警ベテラン刑事の、1人の沖縄県民としての〝告白〟

 その後の沈黙が憤りの深さを語り、沖縄の人々の痛みを代弁していた。本土出身の私は、軽々には言葉を返すことができず、ただ黙ってうなずくことしかできなかった。


■壁
 駆け出し時代を沖縄タイムスの記者として過ごし、沖縄県警担当の3年間は米軍関連の事件事故を追う日々だった。

 飲酒運転は日常茶飯事。行きつけの飲食店に火を放つ、タクシー運転手を脅して料金を踏み倒す、酔って夜中に民家に忍び込んでソファで寝込む、ゲーム感覚で駐車中の車を集団で次々と横転させる、相次ぐ性犯罪では人目をはばからずに駐車場で女性を襲った事件もあった。逃走時に川に入ったり、民家の屋根に上ったり、そのまま帰国してしまったりと、本土では考えられない事態が次々と発生した。

 米軍関連の事件で特に問題になるのが、日米地位協定の厚い壁だ。地位協定は、公務外の事件で容疑者の米軍人や軍属の身柄を米側が確保した場合、起訴までは米側が拘束すると規定する。運用改善の結果、米側が「好意的配慮」を払うことで起訴前の身柄引き渡しに道が開かれたが、裁量権は米側が握る。

 捜査を尽くして逮捕状を取りながらも、容疑者の身柄が引き渡されない。海兵隊少佐の女性暴行未遂事件の会見中、県警刑事部長が腕を組んで空を見上げ、ぐっとこらえていた表情が忘れられない。冒頭のベテラン刑事同様、「米軍犯罪は絶対に許さん」と語る叩き上げの人だった。

 沖縄国際大学の米軍ヘリ墜落事故では、県警は捜査員の現場立ち入りを拒否された。

 「沖縄県民が納得しない」。捜査1課長が在沖縄海兵隊法務部に出向き、テーブルを叩きながら現場検証の実現を迫った。日本の一地方警察の現場指揮官が激しく米軍に抗議する。たぎる怒りはいかばかりだったか。

■悲劇
 沖縄タイムスの報道によると、1972年の本土復帰から2014年までの米軍人・軍属とその家族による刑法犯の検挙件数は5862件。このうち殺人、強盗、放火、強姦の凶悪事件は571件で737人が検挙された。性犯罪であれば、名乗り出ない被害者も少なくないだろう。基地あるがゆえに命と人権が脅かされる。
そして悲劇は、繰り返された。元海兵隊員の米軍属の男が、沖縄県うるま市の20歳の女性の遺体を遺棄した容疑で逮捕された。殺害と暴行も認めたという。

 想像せずにはいられない。襲われたその瞬間、被害女性はどれほど恐ろしかっただろうか。無事を祈りながらも一縷の望みが断たれた遺族はどんなに無念だろうか。同居していた交際相手は女性を守れなかったと自らを責めてはいないだろうか。

 そして、思う。自分であれば決して耐えられない、と。


■差別
 米軍基地の存在は、沖縄の人々が望んだものでは決してない。

 太平洋戦争末期、本土防衛の「捨て石」にされ、沖縄戦では県民の4人に1人が犠牲になった。たとえ生き延びても、収容所に隔離されている間に故郷の土地を米軍に奪われた。1952年の日本の主権回復後も米軍統治は終わることなく、憲法の枠外に置かれて基本的人権は保障されなかった。「銃剣とブルドーザー」と形容される土地の強制接収は続き、「沖縄に基地があるのではなく基地の中に沖縄がある」といわれる状況を強いられた。

 本土が経済成長を謳歌する中、産業政策の欠如が強固な経済基盤の確立を阻み、沖縄戦で多くの人材を失ったことで教育も立ち遅れた。72年の本土復帰後も所得や失業率、大学進学率といった多くの指標で本土との格差は埋まらない。この間、米軍犯罪の危険にさらされ続けてきた。

 そして今、基地は経済発展の阻害要因であることが基地返還に伴う跡地利用の実績から証明されてもなお、本土では沖縄の基地依存という「神話」が幅を利かせている。海兵隊の抑止力という「誤解」が辺野古新基地建設を強行する錦の御旗になっている。

 国土面積のわずか0・6%の沖縄に在日米軍専用施設の約74%が集中する。このような地域が他にあるだろうか。一つの地域にこれほどの差別的な負担を強いるとは、恥ずべきことだ。


■当事者
 元海兵隊員の逮捕から6日後、日米首脳会談が開かれた。事件について安倍晋三首相は「断固抗議」し、オバマ大統領は遺憾の意を表明した。

 だが、どれほど言葉を重ねようとも空虚な響きが漂う。沖縄が訴える地位協定の抜本的見直しについて、両首脳は具体的な言及を避け、否定的な姿勢を示した。翁長雄志知事が求めた大統領との面会は実現の気配すらない。為政者からは沖縄の声を正面から受け止めようという熱が感じられず、結論ありきのセレモニーのように映った。事件後、「再発防止」の掛け声が飛び交うさまに、早く幕引きを図りたい政府の思惑が透け、既視感ばかりが募る。

 沖縄の人々は、特別なことを求めているわけではない。

 私たちが愛する人の安全を望むように、米兵や米軍属による犯罪におびえることなく、平穏のうちに安心して暮らしたいと願っている。

 私たちが子育て支援や高齢者介護の充実を望むように、行政や議会が基地問題に多くのエネルギーを割かれることなく、教育や福祉など日々の生活に密着した施策に集中できるよう求めている。

 何度でも繰り返す。沖縄の人々は、本土に暮らす私たちがごく当たり前に享受している日常を求めているにすぎない。

 「小指(沖縄)の痛みを全身(日本)の痛みと感じてほしい」

 沖縄の人々が本土に向けてきたメッセージに、私たちはどれほど向き合ってきただろうか。痛みを共感しない無神経ぶりは今、日本中をむしばみ、広く差別を放置し、格差を是認する社会の元凶になっているように思えてならない。

 安全保障は日本全体で考えるべき問題だ。沖縄に基地負担を押し付けてきた私たちは被害女性の死に対し、責任の一端があると言わざるを得ない。

 第三者では決してない。私たちは、沖縄が抱える問題の当事者である。

(経済部・田中大樹)
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最終更新:5月27日(金)7時3分

カナロコ by 神奈川新聞

日米で誓う 核なき世界 米大統領 広島初訪問

2016-05-28 09:54:33 | 政治
東京新聞より転載

【政治】


日米で誓う 核なき世界 米大統領 広島初訪問

2016年5月28日 朝刊

  
原爆ドームを背に演説するオバマ米大統領(右)と安倍首相=27日午後、広島市の平和記念公園で(ロイター・共同)

 オバマ米大統領は二十七日、米国の現職大統領として初めて、第二次大戦末期に原子爆弾が投下された広島市の平和記念公園を訪れた。被爆者らが見守る中、原爆死没者慰霊碑に献花し「私たちは恐怖の論理から逃れ、核兵器のない世界を追求する勇気を持たなければならない」と演説。安倍晋三首相も「核兵器のない世界を必ず実現する」と述べ、米大統領の歴史的な広島訪問に合わせ、日米首脳が核廃絶実現を誓った。その後、オバマ氏は被爆者と長い握手を交わし、肩を抱き合った。


 広島に到着したオバマ氏は、安倍首相とともに慰霊碑に花をささげ、約十七分間の演説を行った。


 オバマ氏はまず「七十一年前、雲一つない明るい朝、空から死が落ちてきて世界が変わった」と切り出した。


 続いて「十万人を超える日本の男性、女性、子どもたち、多くの朝鮮半島出身者、そして捕虜となっていた十数人の米国人を含む犠牲者を悼むため、広島を訪れた」と説明した。


 その上で「いつの日か被爆者の声は消えていくが、一九四五年八月六日朝の記憶は風化させてはならない」と力を込め、「広島と長崎は核戦争の夜明けとしてではなく、道徳的な目覚めの始まりとして知られるだろう」と演説を結んだ。一方で原爆投下の是非には踏み込まず、謝罪の言葉はなかった。


 この後、日本原水爆被害者団体協議会(被団協)代表委員の坪井直(すなお)さん(91)と、米兵捕虜を調査してきた被爆者の森重昭さん(79)に歩み寄り、言葉を交わした。


 オバマ氏は、主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)閉幕後、広島に移動。平和記念資料館(原爆資料館)を見学し、「私たちは戦争の苦しみを経験した。共に平和を広め、核兵器のない世界を追求する勇気を持とう」と記帳した。

◆首相が表明「今を生きる私たちの責任」


 安倍晋三首相は二十七日、広島市の平和記念公園で、オバマ米大統領の演説に続き所感を述べ、「核兵器のない世界を必ず実現する。その道のりが、いかに長く、いかに困難なものであろうとも、絶え間なく努力を積み重ねていくことが、今を生きる私たちの責任だ」と表明した。


 首相は「米国の大統領が被爆の実相に触れ、核兵器のない世界への決意を新たにする。核なき世界を信じてやまない世界中の人々に大きな希望を与えてくれた」と評価。「日本国民が待ち望んだ歴史的訪問を心から歓迎したい。日米両国の和解、そして信頼と友情の歴史に新たなページを刻む大統領の決断と勇気に対して心から敬意を表したい」と述べた。


 原爆投下について「何の罪もないたくさんの市井の人々、子どもたちが無残にも犠牲となった。この事実をかみしめる時、断腸の念を禁じ得ない。今なお苦痛を受けている人々もいる」と指摘。「世界中のどこであろうとも再びこのような悲惨な経験を決して繰り返させてはならない。この痛切な思いを受け継いでいくことが、今を生きる私たちの責任だ」と述べた。

<安倍首相>消費増税、再延期へ 「リーマン前に似ている」

2016-05-28 09:37:54 | 政治
毎日新聞より転載

<安倍首相>消費増税、再延期へ 「リーマン前に似ている」

毎日新聞 5月27日(金)2時31分配信

  
報道陣の質問に答える安倍晋三首相=三重県志摩市の志摩観光ホテルで2016年5月26日午後6時37分(代表撮影)


 安倍晋三首相は26日、来年4月に予定されている消費税率10%への引き上げを再延期する意向を固めた。現在の世界経済の情勢を2008年のリーマン・ショック直前と似ていると分析。予定通り増税した場合は、経済が急速に悪化する懸念があり、政権が目指すデフレ脱却が困難になると判断した。

 首相は26日、主要7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)に出席後、記者団に「今回のサミットで、世界経済は大きなリスクに直面しているという認識については一致することができた」と強調した。

 首相は首脳会議で、世界経済に関し、エネルギーや食料、素材などの商品価格について、資料を示しながら「最近の14年6月~16年1月にはリーマン・ショック前後の08年7月~09年2月と同じく55%下落した」と指摘。さらに中国など新興国や途上国の投資伸び率については「リーマン・ショック後の09年は05年以降では最低の3.8%だったのに対し、15年は2.5%とさらに落ち込んだ」など繰り返しリーマン・ショック時との比較に言及した。

 首相はこうした説明を踏まえて「リーマン・ショック直前の洞爺湖サミットで危機の発生を防ぐことができなかった。そのてつは踏みたくない」と強調。そのうえで「世界経済は分岐点にある。政策対応を誤ると、危機に陥るリスクがあるのは認識しておかなければならない」と訴えた。

 首相はこれまで、消費増税について「リーマン・ショックや大震災のような事態が発生しない限り実施する」と繰り返し発言していた。リーマン級にはなっていないが、その「直前の状況」に似ているとして延期を決めれば、増税延期の理由を変更することになる。延期しても「アベノミクスの失敗」ではないと主張できると考えているとみられる。

 首相は14年11月に10%への引き上げの延期を表明した際に、「再び延期する必要はない」と説明していた。このため、自民党内には「再延期する場合には国民に信を問わなければならない」として、夏の参院選と同時に衆院選を行うべきだとの声がある。【仙石恭】
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最終更新:5月27日(金)4時55分

毎日新聞

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