俳句の風景

写真と自作の俳句を掲載しています。

小春

2019-11-30 | 俳句・冬・時候




大嘗宮への列長き小春かな




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「小春」「小六月」ともに陰暦十月の異称。







「小春日」「小春日和」は立冬を過ぎてからの春のように

暖かく晴れた日のことをいう。







「木枯」の吹いたあとには必ず静穏な晴天がニ、三日続く。

この日和は気持ちの上でも緊張が和らぐひと時である。







「小春風」「小春凪」「小春空」などとも用いられる。







十二月八日まで大嘗宮の一般参観が行われている。

今日からは更に乾通りの一般公開が始まり、参観者は

七万人以上になったという。

小春日和の中、東京駅の出口から長い列ができ、大嘗宮

を目指して一時間以上ぞろぞろと歩いた。

大嘗祭という千数百年続く儀式に使用された建物は、

じきに取り壊される予定であり、美しくも儚い夢のような

空間であった。






小春日の大嘗宮に真向かひぬ




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南天の実

2019-11-29 | 俳句・冬・植物




一條氏ゆかりの地なり実南天




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メギ科の常緑低木の実。







晩秋から冬にかけて、茎の先に小球状の赤い実が熟する。







赤い実を連ねた房が緑色の葉とともに揺れる様は、冬の

庭を華やかにする。







実の色には白、黄、紫などもあるが、雪景色に映えるのは

紅色で、特に美しい。







四万十は、応仁二年に京都から下向した一條教房が治め、

土佐一條氏の祖を築いたところで、一條氏縁の地である。

その地に南天の実が真っ赤に生っていた。






四万十を一日旅して実南天




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里神楽

2019-11-28 | 俳句・冬・人事




演者にも夕日の濃しや里神楽




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宮廷における「御神楽」に対して、諸国の神社で行われる

神楽のことをいう。







笛や太鼓ではやし、仮面をつけて演じることが多い。







主に無言劇である。







村里で行われるひなびた神楽には、深まりゆく冬に哀感が

漂う。







四万十の一條神社で一條大祭が行われていた。

夕方の里神楽を観たが、演者にも夕日が濃く差していた。






赤子抱く人も観てをり里神楽




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冬田

2019-11-27 | 俳句・冬・地理




山裾に広がつてゐる冬田かな




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稲を刈り取ったあと、そのままの状態である冬枯れの田を

いう。







水を抜いて乾いた田の刈り跡に、晩秋に生えたひつじも

すっかり枯れ果てたさまは、荒涼とした景である。







雪国では冬田がすっかり雪に覆われ、雪野原のように

見えるが、畦の部分が少し盛り上がって見えることもある。







冬田の上を大きな雲の影が走って行くのも、自然を感じ、

趣がある。







四国は山が多いため、冬田は山裾から広がっていた。






サイクリングロードの下の冬田かな




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冬の川

2019-11-26 | 俳句・冬・地理


四万十川三里沈下橋


冬川の瀞や櫓を漕ぐ屋形船




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普段水量が豊かな川も、冬は水嵩が減り、川床を見せて

さびしい。




赤鉄橋



日本一の清流として名高い四万十川を訪れた。

先ず、この長い赤鉄橋を自転車で渡った。







川幅が広く豊かに見えるが、これでも水量は大分少ない

ようである。







四万十川には数か所の遊覧船が出る船着場があり、

帆掛け船もその遊覧船の一つである。







冬川の瀞と呼ばれる深くて流れの緩やかな所へ屋形船で

行くと、エンジンを止めて船頭は櫓を漕いでゆく。

瀞の水面は鏡のように静まり、岸の草木を映していた。




佐田沈下橋


冬川を覗きて通る沈下橋




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