麦の芽の小さき光の並びをり
晩秋から初冬にかけて蒔かれた麦の種子から出た芽をいう。
すぐに針のような緑の芽を出し、寒さに負けず、雪や霜にも耐えて少しずつ芽を伸ばしてゆく。
冬枯れの中にあって、緑色も鮮やかに麦の畝が広がっているのは印象的である。
畑に麦の芽が出ていた。
みな小さく光って並んでいた。
麦の芽やいつも来てをり農夫婦
麦の芽の小さき光の並びをり
晩秋から初冬にかけて蒔かれた麦の種子から出た芽をいう。
すぐに針のような緑の芽を出し、寒さに負けず、雪や霜にも耐えて少しずつ芽を伸ばしてゆく。
冬枯れの中にあって、緑色も鮮やかに麦の畝が広がっているのは印象的である。
畑に麦の芽が出ていた。
みな小さく光って並んでいた。
麦の芽やいつも来てをり農夫婦
丘陵の空気の旨き黄葉かな
晩秋に木の葉が黄色に色づくことをいう。
銀杏(いちょう)、欅、櫟、プラタナス、ポプラなどの落葉樹の葉が黄色に変化する。
赤い紅葉に混じって山の錦秋を彩る。
丘陵を歩くと黄葉している木が見られた。
それと共に空気が旨く感じられた。
沼の辺の黄葉や人を寄せゐたる
丘陵の人のまばらや柿紅葉
晩秋、柿の葉が紅葉すること、また、その葉をいう。
柿の葉は、朱色、紅色、黄色の入り混じった美しい紅葉となる。
しかし、華やかさというより哀れを感じさせる趣がある。
丘陵に柿紅葉が見られた。
そこは人がまばらであった。
帰るさの子を抱く親や柿紅葉
木洩れ日のがまずみの実にちらちらと
スイカズラ科の落葉低木。
山野に自生し、庭木にもする。
六月頃、枝先に小さな白い五弁花を多数つけ、秋、小豆大の赤い果実を結ぶ。
食べられるが、酸味が強い。
がまずみに木洩れ日が差していた。
風が吹くたび、日が差したり翳ったりちらちらとしていた。
がまずみや沼の奥まで見えずゐて
住む人の顔は知らずや蔦紅葉
ブドウ科の蔓性落葉木本。
山野に自生する。
茎は吸盤のある藻きひげで、他の物に絡んで這い上る。
葉は掌状で特に燃えるような紅葉が美しい。
単に「蔦」だけでも秋の季語としている。
「蔦かずら」は蔦の古称。
よく通る道沿いの木に美しい蔦紅葉が見られた。
そういえば、この家に住む人の顔を見たことがなかった。
用水の流れ変はらず蔦紅葉