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manon2019 natalia osipova




ロイヤル・バレエ『マノン』。マノンNatalia Osipova、デ・グリューDavid Hallberg。

Natalia Osipovaもう最高...言葉なし。
今シーズンのわたしが見たマノン4人の中ではナタリアのマノンが文句なし一番一番好きだ。


言いたいことがたくさんあるので箇条書きにすると

ナタリアは猫か液体かという感じで、男性の欲望、理想の形に融通無碍にはまっていくマノンにぴったりである。

彼女はサポートされるのがものすごくうまい。ソロが少ないので『マノン』では特に重要か。

1幕目、デグリューに出会い、一緒に逃げるよう口説かれる際、最初はためらいの方が大きく、ある瞬間吹っ切れて決断するという瞬間がきっちり表現されている。

2幕目、再びデグリューと一緒に逃避行するが、1幕目のパ・ド・ドゥとは完全に雰囲気が異なっていて、彼女の感情が悔恨と希望の間を揺れ動き、それがいわゆる「ツンデレ」としてきちんとしかもさりげなく演じ分けられている。


踊りの技術が完璧なのはむろん恍惚とさせられるほど、かてて加えて人格や感情の変化、「時間」の経過を演じ分けられるのは彼女しかいますまい。

先日、芸術とは、存在しないものにありありとしたリアリティーを与え感じることかもしれないと書いたが、まさに!



ナタリアのマノンの映像は見つからないが、彼女の「ジゼル」(恋愛の喜びに輝く乙女が、当の恋人に騙されたと知り、気が狂い死んで男を呪い殺す精霊になる)のワンシーン。
生前、ジゼルの幸福の絶頂を踊るすばらしいのがあるのでこちらを載せる。

https://www.youtube.com/watch?v=3TLSrI_hXEw

この短い踊りは、例えばピケの速さと正確さなど技術が最高なのは当然のことながら、人生の喜びの絶頂に輝く若い女性でありながらも、すでに命の儚さと死の予感を同時に表現しているところにある。泣けますよ。

ナタリアの踊りはいつもこのように奥行きが深いのである。天才。最高。


ペアで一番良かったのはMarianela Nunez 、Robert Bolle組みだと思う。
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