アマゾンで注文していた構想力(谷川九段著)が届きました。つい最近まで、自分の本の校正をやっていたので、ついつい一字一字チェックしながら読んでしまいました
タイトルの通り、テーマは構想力。自分の考えと比べながら読みましたが、谷川先生はこう考えているのか、ということがわかって勉強になりました。
おっ、と思ったのは谷川先生の若手棋士に対するイメージ。これは今まであまり語られていない話なので。
ここからは自分の本の話。話が来たのは昨年の今頃で、竜王戦が終わり、年が明けてから担当の方と会いました。「四間飛車破り」などの技術書は書いたことがあっても活字中心の本は初めて。迷いましたが、担当の方がかなりの将棋通で次々とアイディアを出してくれ「これなら大丈夫そうだ」と思ったので書くことにしました。
四間飛車破りの時は「一気にやってしまおう」と1冊を1ヶ月×2冊の2ヶ月で仕上げましたが、この間、他のことが手に付かない状態になってしまった反省を生かし、今回はコツコツと書くことにしました。
自分の考えを文章にして伝えるのは難しい作業で、パソコンの前で数時間考え込んでしまうこともありました。思っていたよりも時間がかかりましたが、完成しました。
11月6日(火)に発売です
「頭脳勝負-将棋の世界」(ちくま新書)です。同日に新刊「ウェブ時代をゆく」(ちくま新書)を刊行される梅田望夫さんに推薦文を頂きました。
目次です。
第一章 頭脳だけでは勝てない
偶然の少ないゲーム /集中力のメリハリ/ヤマを張る/気合で行くか、冷静になるか/封じ手の駆け引き/直観の精度/ミスと切り替え/駆け引きは対局の前から/二大戦形/出来を左右する対局の重要度/普段のトレーニング/調子の良し悪し/将棋は何歳がピークか/小学生からプロを目指す/学業と将棋の両立/趣味と息子
第二章 プロとは何か
奨励会制度/私の奨励会時代/将棋にコーチはいない/プロはどうやって稼ぐか/新しいニーズ/名人戦と棋士のランク/レッスンプロの待遇/段位と実力の関係/トップと新人の実力差は/女流棋士の強さ/女流新団体/アマとプロの差/強くなる手段に困らない時代/アマからプロになった男/ブロガー渡辺/コンピューターの進化/ボナンザ戦を受けた理由/いよいよボナンザ戦/コンピューターはどこまで強くなるか
第三章 将棋というゲーム
スポーツを観るように将棋も/序盤は作戦を練る/バランスは相手を見て/互角でも好みはある/実利を求める中盤/方針を徹底する/勝負を決める終盤/実戦を見よう!/駒のやりとりでポイントを稼ぐ/損得だけでなく「効率」も見る/スピードが問われる/定跡と研究/一手の違いで全く新しい世界が/現代将棋と過去の大棋士/トップ棋士たち/同世代のライバルたち/追撃する最若手と踏ん張るベテラン
第四章 激闘!
防衛戦の前に/開幕二連敗/「開戦は歩の突き捨てから」/存在しない局面が見える!/流れを変えた角打ち/佐藤康光再び/突然の不調/超急戦/全く予想外/盲点/自分を信用すること
付録1 ルール解説
付録2 さらに将棋を楽しむために
付録3 詰め将棋(山田康平氏提供)
となっています。一般書というよりは将棋観戦のガイドブックのような感じでしょうか。図面が登場するのは第三章から。第四章は昨年の竜王戦第3局と今年の棋聖戦第4局を題材にしました。専門誌の自戦記とは違い、指し手の解説は基礎的なことだけで対局の流れや形勢判断、心境などが中心です。
「プロ同士の対局でも逆転は珍しくありません。どんなにリードしていても、一手間違えるとおかしくなる」と書きましたが、皮肉にも発売直前に自ら証明してしまいました(苦笑)
満足の行く内容に仕上がったと思っています。ぜひ、読んでいただきたいです。