まつや清の日記 マツキヨ通信

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静岡市議会最終日 解釈改憲閣議決定に反対する意見書への賛成討論

2014年07月03日 | ニュース・関心事
2014年6月議会 共産党意見書に賛成する討論 2014年7月3日

 只今、共産党議員団の皆さんから提案されております発議第10号「集団的自衛権行使を容認する解釈改憲を行わないことを求める意見書」に賛成の立場で討論を行います。これまで共産党提案意見書に賛成することはありましたが討論することはありませんでした。歴史的に言っても大きな節目に当たりますので賛成の立場で討論を行います。
既に1昨日、7月1日、安倍内閣は集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を行ってしまいました。憲法9条によって67年間、日本の「国のかたち」であった「平和国家」を壊す暴挙と言わざるを得ません。ましてや、5月15日の安保法制懇答申から「期限を定めない」「15の事例を与党協議」とした姿勢を反故とし、国会審議も国民的議論もほとんど行わず、たったの1か月余りの与党協議=密室審議によってこのような閣議決定を行ったことは、民主主義そのものの否定であります。
昨日の新聞報道を見ると、産経新聞、読売新聞が賛成の立場、消極的賛成の日本経済新聞、そして中日新聞、朝日新聞、毎日新聞と反対の立場、そして懸念を示す静岡新聞と、評価が分岐しているように見えます。はたして国民の賛否の実情はどうなっているのでしょうか。本日報道の共同通信世論調査によれば、内閣支持率は52.1%から47.8%に下がり、不支持率は40.6%と初の40%台に上昇、行使容認反対は54.4%で半数を超え、賛成は34.6%、そして、たったの1ヵ月半の協議に82.1%が「検討が十分に尽くされていない」、73.9%が「行使容認の範囲が広がる恐れ」持っているとのことです。国民の多くは、この安倍政権の閣議決定を支持していないわけであります。
こうした中で、小泉内閣において行政改革特命担当大臣の経歴を持つ愛媛県2区選出の村上誠一郎衆議院議員は6月27日に外国特派員協会で記者会見し、「今回の問題は戦後70年間の歴史の大きな方向転換となる重要な問題だ」と述べ、一内閣の閣議決定で済ませるべきではない、と強い懸念を示し、7月1日の自民党総務会において断固反対の立場を貫きました。本来の自民党であれば、宏池会なりハト派を代表する国会議員の皆さんが安倍首相の暴走を止める役割を果たしてくれるはずでありましたが、そうした動きがまったくない中で村上氏の勇気ある発言に、自民党の皆さんの中の良心を垣間見る思いであります。村上議員は、外国人特派員協会で3点について述べています。

第1は、憲法の解釈変更がなぜいけないのか。
安倍総理は自分が行政の長だから憲法解釈は自分が責任を持って変えればよいと言うが、これは間違い。内閣が変わるごとに憲法解釈が変わり法律が変わるようでは法治国家でなくなる。歴代の法制局長官は皆、安倍政権の手法に異議を唱えている。下位の法律によって上位の憲法を変える禁じ手であり、権力者が暴走しないように憲法によって権力を拘束するという立憲主義に反する。憲法違反である。1930年代、ヒトラーが全権委任法を可決させ、ワイマール憲法が効力を失ったことに似ている。憲法が有名無実化した時、立憲主義は終わる。私は主権在民、基本的人権の尊重、平和主義の三原則はどんなことをしてでも守らなければならない。

第2は、集団的自衛権になぜ反対するか。
集団的自衛権とは同盟国や関係の深い国が攻撃を受けた時は戦争をするという意味であり、限定的容認などというものはない。安倍政権は、あり得ない事例、例えば子供を抱えた母親が第三国から逃げ遅れ、米軍の艦船に乗って帰国するという事例は、外務省が機能せず第三国で避難情報も出せず、母子が逃げ遅れてアメリカの船に乗るということだが、そんなことはまずあり得ない。
 本当に日本の為に集団的自衛権が必要だと考えるのなら、正面から国民に説明して覚悟を問い、憲法改正をしなければならない。日本が攻撃された場合に反撃する専守防衛が憲法9条で読めるギリギリのラインである。故に集団的自衛権は行使できない。

第3に、「同盟国アメリカに見捨てられる」「国際情勢が変化している
から」集団的自衛権を認めざるを得ない、は正しいのか。
日本はアメリカに基地を提供し費用を負担することで日米安保条約における義務を果たしている。また近隣諸国との緊張は日本が悪化させたものだ。1つ目は石原慎太郎元都知事の尖閣諸島を買うべきだとの主張に、野田佳彦元総理は着地点も展望もないまま尖閣諸島を買ってしまった。2つ目はバイデン米副大統領に中国とうまくやってくれ、事を荒立てないでくれと頼まれていたにも関わらず安倍総理が靖国参拝を行ったこと。
 日本は憲法9条の平和主義の下で経済発展を優先させた。日本は外交によって仮想敵国を減らす努力をすべきであり、武士道の究極の目的は平和である。この精神に基づき外交努力を重ねるべきだ。

 私は、基本的に自民党の村上誠一郎衆議院議員に共感するものであります。何故、このような方々が自民党の中から登場してこないのでしょうか。更に、与党協議の防波堤として私自身も国民の多くも期待が大きかった「平和の党」の看板を掲げていた公明党が「連立政権維持」の呪縛にとらわれ容認姿勢に転じたその姿勢に失望を禁じえません。昨日の中日新聞によれば、公明党県本部幹事長の蓮池章平県議会議員は「個別的自衛権の解釈拡大で対応すべきだ。集団的自衛権を限定的であれ認めた以上、公明党は平和の党の旗を降ろした、傷つけたと言われ続ける」と党本部を批判した」とのことであります。少し安心するところがあります。

 私は、村上氏の主張に以下の点を付け加えて討論を終わりたいと考えます。
今回の暴挙、暴走、安倍首相の解釈改憲による安全保障政策の大転換を支持する世論が中国の海洋権益拡大主義への危機感、ナショナリズムに支えられている点であります。私自身も、尖閣をめぐる中国の軍事的挑発を容認できるものではありません。しかし、挑発に挑発、軍事力に軍事力では、“偶発的戦争”がいつ起きてもおかしくありません。戦争が始まれば、局地的とはいえ、そう多くの戦死者は出ないと予測されますが自衛隊の青年の命が失われます。徴兵制度も議論の遡上に上るでしょう。まさに戦前であります。この戦争を起こしてもいいのか、という点であります。
同時に、今回の暴走は、アメリカが世界の警察官としての位置から凋落、中国の台頭という米中新世界秩序の形成過程の中で起きている点であります。アメリカが集団的自衛権行使容認の閣議決定を歓迎しつつも、日本の安倍政権に危惧の念を持っていることは周知のことであります。日本が中国の尖閣にとどまらない東アジア全域における軍拡・海洋覇権に対抗し、これまでの2国間の日米同盟の枠を超えてASEAN諸国への軍事的支援、直接的にはペルシャ湾を睨みフィリピンのスーピック海軍基地への自衛隊の常駐も構想した「自主国防を主とし日米安保を従」とする新たな安全保障体制に移行しようとしているからであります。いいかえれば「集団的自衛権の行使」がアメリカの戦争に巻き込まれるという側面から、日本の戦争にアメリカが巻き込まれる事態が進行しているということであります。歴史修正主義も含め、海外から安倍政権は右派ファッショ政権と呼ばれるゆえんであります。
今、日本、中国の両国には尖閣めぐる戦争推進勢力が存在しております。一方、中国にも戦争を推進しようとする政府に批判を持つ人々も相当数、存在しています。「命と平和な暮らしを守る」には、人間の安全保障が最優先される、つまり、社会の一人ひとりの貧困をなくし、教育、医療、福祉が充実することでテロや紛争がなくなる、人間の安全保障戦略に立脚する必要があります。ひいては、近隣国家との平和共存につながります。日本は6800をこえる島国であり武力による防衛は不可能に近く、更に日本国内に52基も原発を抱え、いわば陸地に核爆弾が埋められているといっても過言ではありません。原発ゼロ政策と安全保障政策はつながっているわけであります。「普通の国」「戦争のできる国」への転換点になろうとするこの国の将来に不安をもつ国民は大多数であります。
最後に、私たちはこの閣議決定が大きな日本の安全保障政策の大転換であるものの、実際は、自衛隊法の改正、周辺事態法の改正、日米ガイドラインの改定と制度上のハードルがまだ数多く存在しています。国会を包囲した国民の反対の声、私も6月30日官邸包囲アクションに参加しましたが、3:11福島第一原発以降に日本民主主義を危うさに気が付きだした大きな国民の力が着実に広がっていることを確信します。
私たちをとりまく全国自治体議会では集団的自衛権行使容認の閣議決定に反対、もしくは慎重審議を訴える意見書採択は190自治体に及びました。私たちは、「国政と地域」を結び、「運動と制度(政治)」を結び、「法律と現場」を重ねることが出来る多くの機能を持っています。秋に向け国政に対する世論を盛り上げ、閣議決定取り消すべく日本の民主主義の危機を市民の皆さんと共に打開していくためには、この静岡市議会でこの意見書が採択されることが大変、大きな意味は持つわけであります。憲法9条は、ノーベル平和賞にノミネイトされています。是非とも、議員の皆さんが政党政派をこえて、日本の国が作り上げた「国のかたち」、「平和国家」日本を世界に誇っていくという意味においても意見書にご賛同下さるよう呼びかけて賛成討論といたします。