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田辺市長がまとめ上げた第4次総―基本構想、基本計画に反対は緑の党と共産党、残念!
市長選挙不出馬というなら基本構想、基本計画、2023は次期市長に委ねるべきではないか!
「成長拡大から成熟持続可能」掲げながらアベノミクス賛美の背景に分権・自治論の欠如
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二元代表制において首長と議会は対等、多数会派に配慮し議員質問に恣意的に答弁したりしなかったり、それがリーダシップの弱さにつながってきたことを指摘しました。
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まず第167号基本構想、第168号基本計画についてであります。
基本構想と基本計画は一体のものであり、田辺市長が第3次総合計画を引き継ぎ発展させるものとして市民の声を幅広く聴く中で形作られたものです。
反対理由の第1は、田辺市長は12月2日の繁田和三議員の自民党代表質問に次期市長選挙への不出馬を表明されており、次期市長がこの基本構想を引継ぐか否かは現段階においては不明であり、提案の第4次総合計画―基本構想・基本計画は棚上げし次期市長の政治理念にゆだねる必要があるとの観点からです。
不出馬表明では「市政継続の意欲と災害対応の責任との間で葛藤の日々を過ごした。自問自答を繰り返し、本日の決断に至った」と発言をされました。ある意味で「台風15号の被災対策巡る引責辞任」とも理解されるような答弁で驚きました。私は、是非とも出馬して市民の前で新たに挑戦される候補者との政策論争をきちんとしていただきたかったと考えています。非常に残念です。「不出馬」ということであれば、基本構想・基本計画を棚上げはもとより、創生静岡代表の白鳥実議員の質問にもありましたように2023年度予算は「骨格予算」にすべき、と私自身も考えます。
反対理由の第2は、基本構想に示された「成長拡大から成熟・持続可能な時代への転換」について、この8年間、田辺市長の所信表明を問いただす中で何度となく議論し賛同の意思を示してきましたが、実際の基本計画、実施計画になると成長・拡大そのものであり、アベノミクスの成長戦略に賛意を示し、民間活力・PFI事業を多用してきました。「成長拡大から成熟持続可能な時代への転換」は京都大学の広井良典教授が提唱されたものであり、コロナパンディミックを経験したことにより「都市集中から分散型社会」への転換を前提にポスト情報化、生命経済ビジョンを掲げ、基盤としてローカルでの循環型経済を示しています。経済について「量」から「質」を示しますがローカルにおける循環型経済の方向性は示されていません。
なぜ、賛同できる言葉もありながら具体的な政策や施策になるときに中央政府に追随するかのような形となるかであります。
反対理由の第3は、基本計画において「時代の潮流」のあとに「SDGsの推進」「横断的な視点」「人口活力の向上」と「分野別10の政策」につなぐ戦略用語を並べていますが、この基本計画の欠陥は戦略的用語の項目に「分権と自治」という概念が示されていない点であります。中央政府と地方政府の対等な関係、自治体は市民の政府である、というこの基本的認識の欠如、これが第3次総合計画、第4次総合計画の中に貫かれているのではないでしょうか。それが、意見の違う、合意の手法方法の違う市民との対話を実現できなかった理由ではないかと考えます。自治基本条例がないがしろにし、市民対話を避け続け、そのことは清水新庁舎をめぐる住民投票条例制定に対して反対の態度をつながったと認識せざるを得ません。住民投票運動という新たな民主主義を作る市民の動きをこうした基本構想・基本計画に反映できない、そこに問題があります。「成長拡大から成熟持続可能な時代への転換」を掲げるだけでなくグローバル経済や成長主義経済に対する変革の主体がローカルガバメント、地方政府が担うという新たな時代認識ミュニシパリズムを示す必要があります。
反対理由の第4は、基本計画・分野別10の政策が具体的な展開となるときに時代の先端を示す先進的な取り組みに繋がらない点です。三つ挙げれば、第一に脱炭素型社会への転換、環境省の先行地域に選ばれながら現在パブコメにかかっている2030年温室効果がガス削減目標値は51%、政府目標を49%とほとんど変わらない、その斬新さが欠如しています。
第二は、エコパークという南アルプスという世界の公共財産を抱えながらリニア新幹線をめぐるJR東海との毅然とした態度がみられません。南アルプスリニアトンネル工事は、「大井川の水・地質構造」から「生態系の保存」に変わりつつありますが、COP15開催されました。そこの議論を深めようという視点は見当たらず、東京・名古屋・大阪を結ぶスーパーメガリージョン構想に流されています。
第三は、防災分野に置いて、大規模自然災害に備え市民の、安全を守るとありますが、台風15号の被害対応における現実は、ここに示されている言葉はとは大きく違ったことは明らかです。
反対理由の第5は、5大重点政策の中の、港町の海洋文化を磨き上げるとありますが、その具体的な事業は(仮称)静岡市海洋文化地球総合ミュージアム整備運営事業になるという点です。公募による参加事業は1社だけ、乃村工藝社を代表とするSPCが落札しました。154億1818万で総額240億は下がるでしょうが、この事業は議会の中で賛否が分かれてきました。この事業については凍結し次期市長に判断をゆだねておかしくない案件であります。
反対理由の第6は、「分権と自治」に重なる自治体は二元代表制、大統領制であり、首長と議会は対等であり、その民主主義的役割についての認識が示されていない点です。本来なら基本計画の第8章に組み入れるべきものです。例えば総括質問における議員質問に対する答弁は、ある意味制度的に義務付けられているにもかかわらず、多数会派の配慮なのか、恣意的に答弁するしないを決めるという議会対応となってきました。県議会を経験されている市長でありますから県議会においてはそうしたことは知っているわけです。この原理原則に関しての曖昧さが、結局のところ、大きな時代潮流を捉えるといながら、実際の実施の場面においては、中央政府の政治路線に従属する、議会の多数派への配慮となり、市民と向き合うリーダーシップの弱さとなっている、と推察するところです。
以上が、第167号、第168号についての反対理由であります。