マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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鍋屋町初宮神社春日田楽詣で

2010年01月10日 07時12分28秒 | 奈良市へ
17日の朝、春日若宮おん祭のお渡りに先だって鍋屋町の初宮神社へ田楽詣でが行われる。

華やかな五色の御幣に綾藺笠(あやいがさ)を被って編木(ささらぎ)・笛・太鼓を持つ集団は田楽座。

おん祭で行われる芸能のうちで最も興福寺と深い関係を持ってきた芸能集団だ。

春日若宮おん祭のお渡り行列は平安時代に始まったとされる。

当時のルートは交名の儀のあとに興福寺南側を西から北へと向かい、時計回りに四至を巡って一の鳥居(春日大社)を目指していたことが大社宝物殿の学芸員松村和歌子氏の研究で明らかにされている。

その時代の同寺北端は県庁や裁判所付近を含んでいた。

現在のルートは逆方向だが、田楽座が境内から離れた初宮神社に芸能を奉納していたことが『奈良坊目拙解』に記されていたそうだ。

また、天理図書館蔵『奈良町絵図』には初渡宮とあり、少なくとも15世紀までそのルートで行われていた。

鍋屋町の通り道は朱雀門から東大寺西門に続く旧二条大路で道幅が36メートルもあったという。

初宮神社を守っている町内の方が田楽座を迎えて一年ぶりのご挨拶。

同神社は春日若宮さんの末社で(おばさんにあたる)あって、社務所には「初心」の書を掲げている。

子供のころから拝見していた田楽座。

近年は見物客も増えてきた。

ありがたいことだと話すHさんは社務所の扉を開けて拝観する。



<画像は高足>

シャッ、シャッと鳴るササラの音色が心地よい。

商店街では15年ほど前からおん祭を盛り上げようと裏方役で奉仕してきた。

大宿所祭が始まる15日までには街通りに注連縄を張ってご神燈提灯をぶら下げて祭りを迎えている。

(H21.12.17 Kiss Digtal N撮影)