マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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赤エイの煮凝り

2019年05月09日 08時53分15秒 | だんらん
昨年の民俗取材に正月のイタダキがあった。

祝いの膳の在り方を撮らせてもらったご夫妻。

正月料理の像にもお節料理も食べてくださいといわれて、ご相伴に与った。

もてなしのお節にエイの煮ものの煮こごりがあった。

実はこのときに食べるのは人生初の味わいだった。

エイの煮ものは正月の料理だけでなく祭りなどハレの日。

つまりは祝いの日によばれるご馳走だった。

葛城地方だけでなく奈良県内各地で度々耳にしたことがある。

料理に手間がかかるという理由もあれば、好き嫌いも。

市場の魚屋さんなら売ってはいるものの大手スーパーでは見ることのないエイ。

消費文化の流れが大きく移り変わって、知る人も少なくなった。

こうした理由でエイの食文化が廃れていった。

また、エイの魚は独特のアンモニア臭いというイメージが強かったようだ。

超高齢者になるおふくろもそうだった。

父親が美味しい、美味しいと云って食べていたエイの煮こごり。

一度も口にしたことがなかったと云う。

そういや田舎、お盆に集まった大阪南河内郡の錦織の実家母屋の料理にエイの煮こごりがあったかどうか、まったく記憶がない。

私自身もイメージが焼きついていたのか、H家の奥さんが真心こめて調理したお節に盛ったエイの煮こごりに、箸が止まった。

もてなしはとにかくいただこう。

そう思って口にしたエイの煮こごりはとても美味しいのである。

とろっとした食感の煮こごりはその家庭の味であるが、H家の味は私の口に合っていた。

エイの臭みなんてものは一切がない。

どちらかといえばたんぱくな味。

醤油と味醂、砂糖で味付けしたエイが美味すぎる。

エイは骨付き。

この噛み応えがたまらんのである。

骨は喉にささることのない軟骨。

コリコリ感も味わいの一つ。

なんで今の今まで食べたことがなかったのか、大いに反省をする始末だった。

一年経った今でも口の中に残る味覚。

いつかは食べてみたいと思っていた。

このところ三日に一度は蜜柑の買い出しに訪れる地産地消の「よってって」の大和小泉店。

お肉屋さんもあるし、惣菜屋さんも。

もちろんのこと魚屋さんもある。

どの店を見ても商品のあれこれを見て廻るクセがある。

おっと、思ったのが魚屋さんの冷蔵ケース。

そこにあったパック売りのエイの肉。

白身に赤い色の魚肉。

ここに売っていたんだ。

厚いエイの肉がたまらなく恋しくなった。

料理はかーさんにお願いするしかない。

たまたまこの日は連れだって買いに来ていた。

これ、食べたい。

どうしても食べたいと駄々をこねて買ってもらった。

煮こごりどころかエイの料理なんぞしたことはない。

日頃に愛用しているクックパッドでもあるのでは・・。

その日の夕方に炊いたかた味見・・と云われてスプーンで掬った汁を飲む。

丁度いい味で旨い。

煮こごりは屋外にでも置いとけば、といったが、猫が、と直ちに却下。



冷蔵庫に納まったエイの煮こごりは翌日の朝食に配膳された。

一口食べて、美味い。

これこれ、この食感にこの味。

朝からお酒は飲めないが、ご飯にも合うエイの煮こごり。

家族は私以外、誰も口にしない。

(H30. 1.22 SB932SH撮影)
(H30. 1.26 SB932SH撮影)