マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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吉隠・結鎮祭は中断したが前年祭具は残された

2019年05月17日 09時26分42秒 | 桜井市へ
旧暦の1月8日に行われてきた桜井市吉隠の春日神社行事。

祭祀してきた5軒の特定家の営みは宮座行事。

朝の8時に参集して神饌などを調整する。

神饌ものは弓矢に松苗。

それと春日神社の文字がある護符作りである。

護符は「牛玉 春日神社 寶印」。

いわゆるごーさん札である。

午前10時にケイチン弓打ちをする。

ケイチンは“結鎮”と書いてそう呼ぶ神事ごと。

梅の木で作った弓にススンボで作った矢を射る行事。

続いて行われるオンダ祭の所作は、籾撒きに松苗植え。

座中に斎主の桑山俊英宮司が所作される。

直会はヨバレの座。

祭りごとを終えた弓矢に松苗とごーさん札は玄関軒に飾ると聞いたのは前年の平成29年4月14日

庚申講の営みを調査にやってきた吉隠。

動きはわからなかったが、ある家が玄関に飾っていた弓矢を目撃したことから同家のご婦人が話してくださった宮座行事。

屋内に保管していた松苗にごーさん札も見せてくださった。

吉隠の春日神社で宮座による結鎮祭が行われていると初めて知った日は平成26年の2月11日

同市和田で行われている祈年祭を拝見した日である。

吉隠にも出仕されている祭主の桑山俊英宮司が話してくださった行事である。

もとは旧暦の1月8日であったが、昨今は成人の日の前日。

つまりは日曜日である。

成人の日が来るまでに、予め確認しておきたい行事日程。動いていることも考えられるので再訪問した結果は中止だった。

この日も応対してくれた婦人の話によれば、年寄りばかりになったことから体力的に難しくなった。

5軒で決めた決断が中止である。

なんということか。

1年早ければ拝見できたものが、時すでに遅し、であった。

おそらくは二度と見ることのない吉隠・宮座の結鎮祭。

「もう1本は家に残してあるからあげる」と言ったHさん。

行事は中断になったが、準備していた1本のナエカズラをくださった。

ナエカズラは藁でこしらえたもの。

稲に見立てた松苗に紙に包んだ籾種にススンボ竹で作ったケイチンの矢もあるナエカズラ。

貴重な1本は大切に残しておきたい吉隠の民俗。



挟んでいた護符も拡げて記録に残す「牛王 春日神社 宝印」の書。

朱印はスタンプに移ってはいるもののまさにごーさんであった。

平成29年の4月14日
に立ち寄った際に聞いた護符。

おばあさんがお元気だった生前のころ。

苗代をしていたころは、このナエカズラ立てていたという。

いつしかJAから苗を購入するようになってからは苗代作りもナエカズラ立てもしなくなったと話していたことを思いだした。

(H30. 1. 4 EOS40D撮影)