tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

昭和は遠く?

2017年04月30日 15時10分30秒 | 教育
昭和は遠く?
  昨日は「昭和の日」でした。
「降る雪や明治は遠くなりにけり」は、中村草田男の句ですが。明治への郷愁が思われ、語感の良さから「・・・遠くなりにけり」 はよく使われるところです。

 平成も、もう29年になったのかなどと思いながら、ゴールデンウィーク初日の「昭和の日」です、「戦前の昭和から平成の今日まで、よくも生き延びてきたものだ」という思いで「昭和は遠く・・・」などとつぶやいてみましたが、忽ちそこで雑念がわいてきてしまいました。

 「そうだ先日、中学の体育の教課に銃剣道が入ったなどという報道があったっけ・・・」
 あの時思い出したのは、先ず戦時中の竹やり訓練でした。
 「アメリカ兵が攻めてきたらこれで突き刺すのだ」と教えられ、牛の刻参りならぬ白昼に、藁人形を順番に突き刺して行くのです。
 銃剣道も習いましたが、子供のころの記憶は恐ろしいもので、「銃剣で敵を刺したらすぐ抜け、そうしないと抜けなくなって、次の行動に移れなくなる」という教えは今も覚えています。

 小学生にこんなことを教えていたのが昭和20年8月15日までの教育でした。「銃剣道 昭和は近くなりにけり」などと駄洒落を言ってみましたが、その昭和も、20年の8月15日までで、それ以降は全く違ったものになりました。
 終戦の詔勅が下り、夏休みが終わって、2学期が始まった日、先生が黒板に大きく「 承詔必謹」と書いて、これから日本は全く違う国になるのだ、と教えてくれました。

 そしてそれからの昭和は、そして日本国は、全く違ったものになりました。平和国家、文化国家、経済成長、技術開発、国際貢献・・・、私が今まで生き延びているのも、日本が違った国になったお蔭でしょう。

 考えてみれば、「昭和」という時代は、日本にとっても、日本人一人ひとりにとっても、たいへん大きな意味を持つ時代だったのでしょう。
 歴史としてしか知らない明治維新も、日本にとっては大きな変化でした。しかし、昭和という時代に、日本はさらに大きく変化したことは、私自身の生活の中で実感することになりました。

 「昭和の日」って何? という感覚は、私自身も持っていました。「みどりの日」と入れ替えてできたような経緯もあって、何かゴールデンウィークのために便宜的に出来た祝日のような感覚が残っていたのかもしれません。

 政府は、「昭和の日」については、「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす」日だとしているようです。何か優等生の作文のような表現ですが、「昭和の日」はこれからも続いていくわけですから、その「昭和の日」の意義を、日本人一人ひとりが夫々に考えていくことが必要なのかもしれません。

日米FTA 交渉で一番大事な事

2017年04月29日 11時07分18秒 | 経済
日米FTA 交渉で一番大事な事
 今は北朝鮮問題が、まさに喫緊の課題です。今日も早朝の北朝鮮のミサイル発射のニュースが入ってきましたが、先ずアメリカからのニュースが伝わり、次いで韓国からのニュースでした。

 いつも、北朝鮮のこうしたニュースは、アメリカと韓国の発表の報告です。ということは、日本には、探知能力がないということなのでしょうか。間接情報しかないということでいいのか、日本でも探知できているのか、不安感を持つ人は多でしょう。

 流石アメリカは凄いということになるのかもしれませんが、こういう状況では、アメリカと何の交渉をしても、借りが多くて、なかなか対等というわけにはいかないといった感じを持ってしまいます。
 
 また余計なことを書いてしまいましたが、日米FTA交渉で問題になるのは当然アメリカの赤字対日本の黒字、ということでしょう。
 アメリカの万年赤字、日本の万年黒字をそのままにして、小手先の交渉をしても、本質的な解決にはつながらないことは明らかです。

 もちろんアメリカのいうことも理不尽で、「日本はアメ車を買わない」という主張に対しては「日本人の買いたくなる車を作れ」というのは筋でしょう。
 しかしそれでアメリカを納得させることが出来るかどうかが現実の問題です。

 やはり日本は、日本に出来る最善の事をやって、そのうえで、主張することは主張するというのが日本としてのやり方であるべきでしょう。

 そのための王道は、日本の経常黒字をできるだけ削減していくこと、G7やG20でいつも共同声明に書かれる「過度な不均衡の是正」に日本が積極的に努力する姿勢と実績でしょう。

 安倍さんもその点は解っていて、内需(個人消費)拡大のために毎年春闘の際に「賃上げせよ」と言っているのでしょうが、4年連続の「官製春闘」でもその効果は殆どありません。
 やはり効果のあることを本格的、網羅的に考えて、日本経済の成長路線(成長計画)の中にきちんと組み込む、総合発展戦略が必要でしょう。

 このブログでも繰り返し指摘してきていますが、「格差社会化の阻止」、「将来不安の払拭」、「政治への信頼の回復」、といった大きな問題があり、それを支えるシステムとして、「所得税制の再検討(累進課税の強化)」、「金利(金融)の正常化(金融緩和の出口戦略)」、「為替の安定」、「国民の意見を聞く政治(単なる決める政治からの脱却)」などがまず必要でしょう。

 こうした形での内需拡大による黒字減らしは、その分日本経済の成長を高め、格差の是正を通じて、経済・社会の安定、先行き不安の解消、さらには為替レートの安定、そして当然日米経済摩擦の低減につながるものとなるでしょう。
 問題は現政権にそれだけの知恵と行動力があるかということになるようです。

日銀「展望レポート」の「拡大」が意味するもの

2017年04月28日 11時03分46秒 | 経済
日銀「展望レポート」の「拡大」が意味するもの
 マスコミによれば、日銀が「9年ぶりに『拡大』という言葉を使った」という「展望レポートが出ました。
 先日の 日銀短観も企業の強気を示していましたが、法人企業統計から見た 企業の数字も底堅さを示す様相です。
 勿論トランプ戦略の中で、円レートがどうなるかという問題はありますが、日銀も指摘していますように、円レートの安定を前提にすれば、これから景気は確りした動きが予想されるところでしょう。

 今、主要各国の経済バランスから見て、日本に要請されるのは何と言っても、内需の拡大でしょう。
 日本企業としても、内需の拡大の中で収益を維持し成長を期待できるというのは最も望ましい所でしょう。

 その意味では、今回の「展望レポート」企業に対して一点の明るさをともしたということになるのでしょう。
 しかし、問題点もあるようで、経済拡大の原動力は「企業活動の活発化」、つまり生産サイド、企業サイドにその中心があるようで、それを支えているのは、海外経済が緩やかながら成長を続け、輸出が増加基調にあることに支えられているという見方になっています。

 問題が残るのは、生産の増加で、当面景気が堅調に推移しても、それが輸出の伸びに支えられているのであれば、結果は貿易収支の黒字拡大ということで、日本に対する貿易不均衡の指摘が強まり、円高要請につながるということになりかねません。

 日銀は、インフレ率が2%に達するまでは異次元金融緩和でそれに対抗するということなのでしょうが、国際世論はそう甘くないのではないでしょうか。
 根本解決は、矢張り、輸出けん引ではなく、消費を主体にした、日本経済そのものの拡大(本来の内需拡大)ペースを促進する以外にはないようです。

 日本企業は、内需の伸びない中で海外進出を積極化し、確かに海外投資収益は伸び、GDPよしも GNIがより大きくなっているのが現実で、これは一部巨大な対外投資失敗の減損処理などを孕みつつも、日本経済の筋力の強さを示しています。
 これが経常黒字を大幅にし、さらに円高圧力を強める可能性も高まるでしょう。

 この強さを国内で生かし、GDPそのものの成長率を高める政策が最も要請されているということを、政府も日銀も、もう少し真剣に考えて欲しいような気がします。

大国ほど「地球的責任意識」を

2017年04月26日 11時02分30秒 | 国際関係
大国ほど「地球的責任意識」を
  昨年6月、イギリスのEU離脱か残留かの投票を前に「 分裂か統合か:地球市民」を書きました。
 その後、結果は僅差で離脱となり、その後もゴタゴタしながらも、今はメイ首相の、いわば「離脱確認」のための総選挙前倒しという状況になっています。

 そして今回はフランスです。
 5月7日の決選投票に向かって、中道右派のマクロン氏と、極右「国民戦線」のルペン氏が競う形になりました。
 争点は、EUとの関係、難民・移民問題が大きいようですが、世論はマクロン支持が多いと読んで、2人の決選投票が決まって以来主要市場の株価は連騰しています。

 イギリスのEU離脱も世界にとってはショックでしたが、今回の選挙でもしフランスのEU離脱が現実になるようなことが起これば、それこそヨーロッパの戦後の歴史は何だったのかといったことになりかねません。

 EUはベネルックス関税同盟や欧州炭鉱鉄鋼共同体などをもとに進化してきたとのことですが、2回の世界大戦で独仏が相戦ったという悲劇を再び起こさないようにというヨーロッパの悲願の表れでもあるはずです(クーデンホーフ・カレルギー:青山栄次郎)。

 フランス・ドイツが「EUの核」と誰もが思っていた中で、ルペン氏がフランスでそれなりの支持を得たということはどういうことでしょうか。
 マスコミはポピュリスト・ルペンと書きますが、EUが当面する大きな問題としての難民・移民問題が ポピュリストの台頭を齎したのでしょうか。

 難民問題を引き起こす原因としてシリアの内戦があります。単なる内戦であれば、日本でも「関が原」、「江戸幕末」を始めいろいろありました。問題はそれに世界の超大国が、敵・味方に分かれて力を貸すことから始まるのではないでしょうか。

 今の世界の混乱を総合的に見れば、根因は、国連安保理常任理事国の対立にあるということになるようです。
 狭い地球で地球市民が何で争うのでしょうか。企業社会ではすでに、CSR(企業の社会的責任)が言われて久しいのです。
 国についても、 NGR(Nation’s Global Responsibility=国家の地球的責任)が問われるような地球社会に、何とか早くしていかなければならないのではないでしょうか。

 今回の北朝鮮問題が適切に乗り切れれば、その方向に、一歩前進という結果になるような気がしないでもないのですが。

ソフトパワー・ハードパワー

2017年04月25日 11時48分33秒 | 国際政治
ソフトパワー・ハードパワー
 「ドラえもん」ではありませんが、昔から、子供の世界は、体の大きい、力もあって声も大きいジャイアンのような子が覇権を握ります。
 しかし小学校高学年、中学校と子供が成長するにつれて、力の強い子よりも、勉強が出来て面倒見のよい子などがリーダーシップをとるようになります。

 ガキ大将も、友達に勉強を教えてもらうようになると、そういう子には頭が上がらなくなります。
 単純素朴な社会では、力、つまり、ハードパワーが覇権を握りますが、社会が複雑になると力だけではまとまりがつかなくなり、知恵が必要になり、知恵の優れたもの、ソフトパワーがリーダーシップをとるようになります。

 ソフトパワーという言葉は、アメリカのジョセフ・ナイ(ハーバード大学教授、国務次官補などを歴任)が提唱し、国際戦略の中で定着した言葉です。
 ここでは、ハードパワーとソフトパワーを単純に「力」と「知恵」と表現してみましたが、私などはこのほうが何かしっくりくるような気がします。

 ジョセフ・ナイ自身、ソフトパワーの重要性と有効性を指摘しながら、現実には、両方の使い分けが必要としていますが、これは今の世の中に、まだ力に頼る人たちがいて、覇権を握るにはソフトパワーもハードパワーも兼ね備えなければ現実に成り立たないという人類社会の現状から来るところでしょう。

 今日の北朝鮮をめぐる状況は、改めて、そうした現実を我々の目の前に示したところですが、まさに力と知恵の組み合わせをいかにするかの実験場に、今我々は巻き込まれているということでしょう。

 こうした問題は。北朝鮮だけでなく、シリアやISの問題でも共通でしょう。そして今、知恵と力をどう組み合わせるかは、大きく「アメリカの判断」に依存しています。

 地球社会の本来から言えば、その判断は 国連の安全保理事会において行われるのが本来でしょう。地球人類の安全のために、国連の安保理は作られたはずです。
 矢張り問題は、国連を作り安保理を作りながら、それを機能させられない常任理事国の意見対立、拒否権合戦にあるのでしょう。

 今回は中国の歩み寄りが、何となくみられるような気がします。常任理事国の意見の一致は、いつになったら可能になるのでしょうか。
 これこそ人類の「知恵」が問われている問題ということでしょう。

日本人の苦手分野、消費拡大が課題

2017年04月24日 10時52分27秒 | 経済
日本人の苦手分野、消費拡大が課題
 IMF(国際通貨基金)の助言機関である「国際通貨金融委員会」は一昨日、共同声明を発表しましたが、その中でも、これまで必ず入っていた「あらゆる形の保護主義に対抗する」という常套句を削ったとのことです。

 同委員会は、IMFの加盟国から選ばれた24カ国の財務相などから構成する委員会で、従来から自由貿易推進を標榜していたところですが、今回はトランプ政権の主張を忖度(?)したようです。 
 3月のG20 もそうでしたし、4月のG20も共同声明を出さなかったりで、やはりアメリカの影響力は圧倒的に強いようですね。アメリカ一強というのでしょうか。

 トランプさんにしても、アメリカが自由貿易なしにやっていけるとは考えていないでしょうし、現に、日本との間では、FTA(自由貿易協定)交渉を進めると言っています。長い目で見れば、アメリカの態度もだんだん変わることになるでしょう。

 同委員会は、反保護主義の代わりに、「内向き志向は避ける」という文言を入れたそうで、トランプ発言にはみんな困っているのでしょう。

  些か余計なことを書きましたが、共同声明は、「過度な世界的不均衡の削減」、さらに「為替に関するIMF 審査の強化」の支持を表明しているという点が、今後の日本にとって、種々困難な問題を齎すのではないかと心配されるところです。

 現在日本は、貿易黒字、経常黒字が拡大する様相にあり、その中で、(円高を阻止するために)異次元金融緩和を続けているところです。
 IMFから見れば、日本の大幅黒字は当然世界的不均衡の要因とみなされ、円高圧力がかかる可能性は大きいと考えられます。

 麻生財務相は、「過度の不均衡は、マクロ経済政策で対処すべき問題で、為替調整は適切でない」また「日本では為替相場で経常黒字の是正を考えるのは適切ない」と発言したようですが、諸外国にこれを理解してもらうのは至難でしょう。
 
 麻生財務相の発言は、日本としてはまさに当を得たものでしょうが、諸外国にしてみれば、「それならどうぞマクロ経済政策でやって見せて下さい」ということになるでしょう。
 
 問題はまさにここにあるようです。このためには、アリ(蟻)型(将来不安に敏感で勤倹貯蓄型)の日本の家計に、 現実に消費拡大をやってもらわなければならないのです。
 「消費拡大」は安倍政権にとって最も難しい課題でしょう。今までも全く出来ていません。
 このブログでは、消費拡大策を、再三主要テーマにしてきましたが、いよいよ日本は本気でこの問題に取り組む必要に迫られるのではないでしょうか。

G20 (Apr.2017) は「合意」を強調

2017年04月23日 10時45分49秒 | 国際経済
G20 (Apr.2017) は「合意」を強調
 4月21日、今回のG20は幅広い合意があったということで閉幕しました。しかし今回は合意文書もなく 、議長が合意したといっても、何かムードみたいなことのようです。

 しかしG20はやっぱりやった方がいいでしょう、トランプ政権登場以来、世界の覇権国、基軸通貨国であるアメリカの方針が、180度変わって見たり、また何か少し修正されたり、使われる言葉も自由貿易対保護貿易だったのが、公正な貿易などという未だ定義されないような言葉が出てきたり、参加国はみんな戸惑っています。

 さらにフランスの選挙をまぢかに控え、イギリスも総選挙が前倒しなど、先行きが大変不透明の中で、主要国の経済運営の責任者が、何はともあれ、出来るだけ話し合うということは一層重要になっているということではないでしょうか。

 幅広い合意の内容についてですが、
・保護主義については、前回「保護主義への対抗」の文言に反対したアメリカから今回は特に発言はなく、トランプさんの言う「公正な貿易」についても特に発言はなかったとのことで、アメリカも日本などとの2国間のFTAを控えて、多少は軌道修正するのではないか(麻生財務相)などいろいろな理解が含まれるようです。

・通貨安競争の回避でも一致した(麻生財務相)ということですが、トランプさんが「ドルは高すぎる」と発言していることから、ドル安を目指すのか、ムニューシン氏が強いドル指示したこととどう関係するのか、日本の財務省同行筋からは、為替問題は主要議題にはならなかった、などの声もあるそうで、問題は煮詰まっていないようです。

 報道されるこんな情報から見えてくるのは、アメリカ自体が、どの方向に進むべきかを未だ決めかね、状況を見ながら、自分の進むべき道を選択しようというような試行錯誤の段階にあり、その結果、各国とも疑心暗鬼の状態ということのように見えます。

 ドイツ(議長国)や日本は、できるだけ、自由貿易、為替安定の従来路線で纏まることを望みながら、融和を目指し希望的な観測を「幅広い合意」の内容にしたと考えていることの結果が、議長の報告になっているのではないでしょうか。

 7月のサミットまでに如何に調整されるかが大事という見方が多いようですが、アメリカ自体(トランプさん自体)がどの辺りで辻褄を合わせるか、未だはっきりわからない状況では、試行錯誤状態は当分続きそうです。

 日本として大事な事は、為替の安定のためにも、常に問題になる貿易黒字、経常黒字をできるだけ削減し、世界経済の安定的な発展に積極的に協力していますということを、経済実績で示していくことだと思われます。

 そのためにも、最も大切なのは「 消費拡大」を実現することでしょう。今まで全く出来ていないこの問題を、どうやって実現するか、これが安倍政権にとって、さらには、日本経済の成長回復、日本国民の生活レベル向上にもつながる最重要課題のようです。

経常黒字の主因は国際競争力よりも日本人の生活態度では?

2017年04月22日 11時44分50秒 | 経済
経常黒字の主因は国際競争力よりも日本人の生活態度では?
 日本が大幅黒字国ということで、アメリカは、今後いろいろと対日圧力をかけてくると予想されるところから、日本経済の問題点をこの3回ほど書いてきています。

 意図しているのは、日本が国際競争力が強いから黒字国だという指摘は「必ずしも正しくない」ということを指摘することです。

 ということで、前回
人件費―消費 + 貯蓄―投資 + 税金等―政府支出 = 経常収支
という計算式を導き出していきました。これは多少形は違っても、国民経済計算ではよく使われる計算式です。
 日本の場合、経常収支の黒字が大きいのは、人件費―消費(家計部門の黒字)が大きすぎて結果が万年黒字国、と前回指摘しました。

 ということは、日本の黒字は、国際競争力に関係なく「消費が不足しているから」という説明になるわけです。

 これに対して、通常は、黒字の原因は「企業の競争力が強く、価格が安く、製品やサービスの質が良いから」という理解が一般的でしょう。
 トランプさんのように、アメリカの輸出が伸びないのは価格が高いからで、それはドルが高いからで、もっとドル安にしなければならないということにもなります。

 つまり、黒字になるのは競争力が強いから、だから為替レートや、関税で調整すればいいという理解と、黒字になるのは、国民の意識や生活態度によるもので、国際競争力は関係ない、という理解の2つがあるということです。

 さて、どちらが正しいのでしょうか。
 外国の事は良く解りませんから、日本の場合を考えてみましょう。1985年にG5でプラザ合意があり、日本の円レートはその後2年で$1=¥240から¥120になりました。日本の国際競争力は半分に落ち、日本は大幅赤字国になるはずでしたが、実は一度も赤字になっていません。

 なぜでしょうか? 理由は、 日本人は収入が減れば、それに支出を合わせ、赤字にならない努力をするからです。
 プラザ合意の後バブル崩壊があり、日本経済は次第に成長しなくなりGDPは1997年の534兆円から2009年には489兆円に1割近く減りましたが、日本一貫して黒字国でした。

  アメリカやギリシャだったら、生活のレベルを下げるのは嫌だといって赤字を増やしたかもしれませんが、日本人は違うようです。

 実はここに日本経済の大きな危険の要因が潜んでいます。「いくら円高にしても、黒字が減らないではないか」まだ国際競争力が強いようだ、もっと円高にしろ。」ということで、際限のない円高要因になる可能性があります。
 リーマンショック後の$1=¥80の頃、日本はそうした危機にあり、学者の中にも将来1ドル50円になって日本は潰れる、などといった方もいました。

 「入るを図って、出ずるを制す」は財政学の基本で、立派な考え方かもしれませんが、相手が日本人の生活態度、処世哲学を知らないと、とんでもない結果(損)に至ることになります。
 今後、日本にとっては益々 家計の消費を増やすような(将来不安を解消するような)政策が必要になって来るだろうということになるのではないでしょうか。

日本が黒字国になる理由

2017年04月21日 11時39分21秒 | 経済
日本が黒字国になる理由
 国民経済計算でよく使われるこの計算式をご存知の方も多いと思います。
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GNI=人件費(税引き後)+企業利益(税引き後)+税金等 (国民総所得の分配面)
GNI=消費+投資+政府支出+経常収支 (国民総所得の支出面)
分配面と支出面の内訳は同額ですから
人件費(税引き後)+企業利益(税引き後)+税金等=消費+投資+政府支出+経常収支
    右辺の経常収支以外を左辺に移項すれば
人件費―消費 + 貯蓄―投資 + 税金等―政府支出 = 経常収支
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 こんな計算式を持ち出したのも、前回述べましたようにアメリカが万年赤字なのに、日本は万年黒字で、多分これからアメリカは日本との二国間交渉で、日本の競争力は強すぎる、だから、関税を引き下げろ(特に農産物)とか、円安にしているのは怪しからん、もっと円高にしろなどといってくる可能性が高いことを前提に、「それは少し違うんじゃないか」ということを、はっきりさせるためです。

 国民経済計算では人件費は雇用者報酬、企業利益は営業余剰などと書かれて、ともに課税前の金額ですから税金等という項目はありません。ここでは比較の便宜上税金を分けて書きました。
 また、GNI(国民総所得)でなくGDPを使うのが普通ですが、今の日本経済では海外からの投資収益が多く、輸出と輸入だけでは経常収支の黒字に繋がらないので、日本の実力である GNIを取っています。

 さてここからが本題ですが、日本の経常黒字はどこから来るのでしょうか。
経常黒字は、
① 人件費 ― 消費支出
② 貯蓄 ― 投資
③ 税金等 ― 政府支出
の合計額として算出されるわけです。

 では日本の状況はどうかといいますと、
① は、国民は将来不安から貯蓄熱心で消費性向が低く、人件費>消費支出で 貯蓄超過です。
② は、企業部門になりますが、通常企業はもうかれば投資を積極化しますが、この所、自己資本比率が高まっているので 貯蓄>投資 かもしれません。
③ は、毎年巨額な国債発行をして民間から金を借りている政府ですから、税金等<政府支出で大幅赤字です。

 この合計が万年経常黒字になっているということは、民間の貯蓄(黒字)が政府の赤字より大きすぎて、結果的に使い切っていないカネが、経常収支の黒字になっているということになります。
 これをどう理解するか、長くなるので次回にします。

「TPPから日米FTA」への背景、貿易黒字の動向?

2017年04月20日 11時25分15秒 | 国際経済
「TPPから日米FTA」への背景、貿易黒字の動向?
 2017年3月の貿易収支が2か月連続黒字と発表になり、同時に、2016年度の貿易収支が6年ぶりに黒字になったということです。
 3月の貿易収支黒字は6147億円で、2016年度の貿易収支黒字は4兆86億円、2016年に入って、貿易収支の黒字が増えてきています。

 通常、貿易収支が黒字になるということは良いことだと考えられます。勿論赤字より黒字の方がいいということは、我々の家計でも同じですが、国際収支の場合は外国との関係もこれあり、いろいろと考えなければならないようです。

 ところで、アメリカのトランプ政権は、纏まりかけたTPPを蹴飛ばして、二国間のFTAを進めたいようです。
 アメリカは万年赤字国ですから、何とか黒字にしたいのでしょうが、それを目指して主導したTPPでは、各国の主張も強く(フロマン代表が人が良かったせいもあるのかな?)こんなのではアメリカの赤字は減らず、雇用も増えないというのがトランプさんの意向でしょう。

 当然日本とは、二国間交渉でFTAをという事になりつつあるようです。二国間協定ではやっぱりアメリカは強いですから、日本もこれからは大変でしょう。 
 かつて日米繊維交渉から、自動車交渉、半導体交渉まで日本は苦労しましたが、今度は農業分野でしょうか。

 アメリカの貿易赤字を増やしている国として、中国と日本が先ず挙げられているようです。最初アメリカは為替で赤字解消を図ろうとして、中国と日本を為替操作国だと言いましたが、その後の事情で、中国は為替操作国ではなくなりました。

 今後の日本とのFTA交渉で、アメリカがなんと言いうかわかりませんが、基底にあるのは、アメリカは万年赤字、日本は万円黒字という関係です。
 特に日本は、対外投資収益などの入る経常収支で、大幅黒字、2016年度の経常黒字はGDPの3.7%以上、1760億ドル、18兆円ほどとの予想になっています。アメリカはGDPの2.5%、4700億ドルの赤字予想です。(データは「世界経済のネタ帳」)

 この差は、日本人は頑張って働き、アメリカ人は楽して儲けようと考えるからでしょうか。直すのは大変でしょう。トランプさんは、アメリカに雇用さえ持ってくれば大丈夫と考えているようです。それで駄目ならその次は為替操作でしょう。

 こんなことになるのも、日本の黒字が大き過ぎるからで、この点は、アメリカに言われなくても、日本自体が真剣に考えるべき問題です。
 次回その点を見ていってみましょう。

再び「言葉の重さ」を考える

2017年04月18日 12時12分39秒 | 社会
再び「言葉の重さ」を考える
 先月、言葉を軽く扱う風習がひどくなったと痛感し、「 言葉の重さを考える」を書きました。
 しかしその後も残念ながら、日本国の運営を担当している方々の発する言葉が、あまりにも軽いといった状況が続いてしまっています。

 昔から、「武士に二言はない」と言い、寺子屋では「病は口より入り、災いは口より出る」と教えた日本文化はいったいどこへ行ってしまったのでしょうか。

 日本のリーダーである安倍総理は、流石に、発言を撤回しるようなことにはなっていないようですが、頭の回転がいいせいでしょうか、発言の中には、詭弁に類するようなものが織り込まれたりします。

 待機児童が減らないことについて、子供が増えたという点では「うれしい悲鳴」といった側面もあるという発言があったと記憶しますが、先日は家計学園の関係でしたか、総理の知人だから特区に指定「しない」というのはおかしいという趣旨の発言がありあました。
 理屈はその通りです。

 森友学園関連では、100万円の寄付はしていませんが、したとしても喜ばれるだけで、犯罪にはならないとの発言の報道がされていますが、これは犯罪でなければいいのかと問題を孕むように思われます。

 このところ続いたのは、1つは、復興相の、自主避難は自己責任という発言です。当然後から撤回ということになりましたが、発言の時の切れ方はひどかったようですね。
 つづいて、地方創生相の学芸員は癌、一掃すべきという発言飛び出し、真面目に研究している学芸員たちはさぞびっくりしたことと思います。これも撤回陳謝となりましたが、一体こんなことが起こるのは何故なのでしょう。

 言葉がなければ人間は論理的な思考ができないと言われます。言葉は人間が合理的な知性(理性)を持つために、何万年もかけてが作ってきたものでしょう。
 本来、文字がない時代は言葉が重要だったと思います。日本は文字については(アイヌやインデアンなどと同じように)遅れた国でした。そのせいか、口から出る言葉に、大きな意味を置いてきたように思います。(「インデアン嘘つかない」というコマーシャルもありましたね。)

 文字が使われ、記録が出来るようになっても、日本人は、瞬間的に消え去る言葉を大事にしてきました(今は言葉も記録され消え去りませんが)。これは美しいことです。
 言葉なら記録されても後から撤回すればいい、というのは、不正なカネでも後から返せばいいといった最近の風潮にも似ているようです。

 「恥の文化」と言われた日本文化が、「恥知らずの文化」になるような事態を本気で恐れています。

2017年:ホタル飼育はゲンジ・ヘイケ両輪へ

2017年04月17日 16時21分30秒 | 環境
2017年:ホタル飼育はゲンジ・ヘイケ両輪へ
 振り返ればホタルの飼育を始めたのは2011年でした。成功や失敗を繰り返し、何とかゲンジボタルもヘイケボタルも拡大再生産のサイクルを確立したいと頑張ってきましたが、漸くヘイケについては、その方式が固まり、今年はゲンジについても同様な形で上陸、羽化、採卵、飼育にもっていこうと準備をしてきています。

 解ってきたことは、採卵、孵化、3齢か4齢までの生育は、自然の中では効率が悪く多分不可能、発泡スチロールの水槽で餌と酸素を供給し大事に育てることが必要だということです。
 それ以降は、庭のU字溝に放流しても、カワニナ、タニシなどの餌を準備すれば、6齢までの成長、上陸、さなぎ、羽化までは可能だろうという人工と自然の組み合わせです。

 今年は、冬のうちに、水漏れのあったU字溝にポリエチレンのシートを敷き、雨水タンクからの点滴のような水供給で水源の確保が可能なことを確かめ、多分200匹ぐらいは育っていると思っているヘイケの幼虫を、生育の良いものから順にスポイトで吸い上げ、10匹、20匹と発泡スチロールの飼育槽からU字溝に移しています。タニシはすでに入っています。

 ゲンジは、昨年、採卵、孵化には成功しましたが、孵化直後、酸素供給ポンプを包んだガーゼの消毒薬で720匹が全滅したので、先月新たに種ボタルを仕入れ、発泡スチロールの箱にカワニナと共に入れてU字溝の脇の小藪に置いていたところ一昨日までには、30匹ほどがすべて草むらに上陸しました。今はさなぎになる所でしょう。
 従来の経験ですと、5月末か6月始めぐらい、宵の口に羽化し、最初はあまり動かずピカーリ・ピカーリと光っているので、葉っぱと一緒に採ってきて、飼育籠に入れます。


 ヘイケの方は、5月の連休明けぐらいには、U字溝の両端に用意した上陸用の陸地に上がり、そこでさなぎになり、6月に入れば、その辺りで毎晩何匹か羽化して光るはずです。
 これも飼育かごに取り込みますが、ゲンジもヘイケも優先するのは雌(見分け方はネットで勉強済み)です。今年はかなり賑やかになると思います。

 こんなことで「とらぬ狸の皮算用」ならぬ「とらぬホタルの何とやら」をやっています。皆様にもぜひ成功を祈って頂きたいと思います。

リーダーとフォロワー論、その後

2017年04月16日 11時35分21秒 | 社会
リーダーとフォロワー論、その後
  Gooブログの編集部から、いつもご親切に、「1年前の記事」ということで、「1年前、こんなことを書いていましたよ」というお知らせが来ます。

 何時もあまり気にしないのですが、たまたま、昨年の4月13日に、「 リーダーとフォロワー」というテーマで書いていました。書いていたのは、私の持論でもある「リーダも大事だが、フォロワーが確りしていないとうまく行かない」そして「日本人はフォロワーとして素晴らしい資質を持っているのではないか」ということでした。

 札幌農学校のクラーク先生も、太平洋戦争後のアメリカの対日政策も素晴らしい結果を残したことを上げて、「相手が日本人だったから大成功を収めた」のではないか、「日本人はフォロワーとして素晴らしかった」のではないかという趣旨でした。

 最近も、いろいろなリーダーが、いろいろな事をやり、マスコミが報道してくれて、リーダーとフォロワーのそれぞれの組み合わせの事例を示してくれています。

 世界で最も注目されていうのはトランプ大統領でしょう。フォロワーであるアメリカの国民のフォロワーシップはどうでしょうか。国論を2分した大騒ぎの選挙でしたが、フォロワーも少し落ち着いてきたようです。
 リーダーも割と気軽に主張を変更しながら、リーダシップとフォロワーシップの歩み寄りが進みつつあるようで、今後もうまく行くのかなと思いつつ見ています。

 隣の韓国では、どういうわけか、歴代のリーダーには往々悲劇が訪れ、リーダとフォロワーの関係は、なかなか巧く行かない様です。
 
 日本に戻って、東京都のリーダーだった石原慎太郎氏はどうでしょうか。個人的には腹心のフォロワーもいたようですが、問題が起こってみると、都庁や都民の本当の意味での良きフォロワーシップを引き出せなかったように感じられる昨今です。

 安倍政権はどうかと言いますと、「決める政治」を標榜して、リーダーシップを確立し、フォロワーを引っ張って行こうとしているようですが、どうも、フォロワーとして素晴らしい素質を持っている日本人の本来のフォロワーシップを引き出せていないようです。

 トランプさんのような柔軟性もないようで、言い出したら、いつまでも自分が正しいと主張するようではフォロワーシップは生かされません。

 優れたフォロワーシップの資質を持つ日本人国民のリーダーですから、そのフォロワーシップを十分に活用できるような柔軟さがあれば、日本も、もう少し良くなっているのかな、などと思ってしまうところです。

 国際、国内、自治体、会社、職場、いろいろなところで、リーダーとフォロワーの関係を分析してみると面白いし、何かの役に立つのではと思っています。

一触即発とまでは言いませんが

2017年04月15日 10時55分46秒 | 国際政治
一触即発とまでは言いませんが
 今日は、北朝鮮にとっては、故金日成主席の生誕105年の記念日だということで、北朝鮮では盛大な祝賀行事のようです。
 しかし、世界は、単なる祝賀行事だけではなく、何か軍事力の進歩を誇示(祝賀?)する行動をするのではないかと懸念しています。

 最も懸念しているのは、核実験・ミサイルに発射でしょう。核拡散防止条約に違反して核実験を重ねている北朝鮮が、その技術開発の進捗を世界に示し、既成事実化を進める意図をもっている真中の事ですから世界の懸念も大きいのは当然でしょう。

 北朝鮮の言動を見ていますと、何か日本の太平洋戦争直前の心理と似たような感じがしないでもありませんが、当時、だんだんと行きがかりに縛られて、のっぴきならない所まで行ってしまったのが日本でしょう。

 原爆という戦争抑止力が働いている今日では、そこまで行くことは常識では考えられませんが、常識の枠が外れるところまで考えれば「一触即発」という見方もありうるでしょう。

 中国はトランプ大統領の働きかけもあって、 北朝鮮に毅然として態度を取りはじめたようですが、「平和的解決」を主唱しています。常識から見ればこれは正論でしょう。
 一方、ロシアは、シリアの問題もあり、何か対米対立の姿勢を強めています。
 こうした動きの背後には、地政学的な、資源・領土といった、願望を感じ取る人は多いでしょう。

 版図の拡大や資源の獲得が、長期的に見て一国の発展を左右するなどというのは、一昔前の知識ですが、未だそれに囚われる国があることが世界・人類を不幸にしているのは残念です。

 その結果、最も困ったことは、第二次大戦後、世界の平和と安定を希求して作られた国連のリーダーである安全保障理事会常任理事国の意見がまとまらないことです 
 シリア問題にしても、北朝鮮問題にしても、国連安保理が一致して問題解決に動けば結果は確実に出るはずです。

 世界・人類の平和と発展の企画と実行を任務とすべき国連の安全保障常任理事会がまとまらず、常任理事国の間で、一触即発を感じさせるような行動が、安全保障の役に立つのだと言わんばかりの状況になっているというのは、人類社界にとって、本当に情けないことです。

なんなら「固定相場制」はいかが?

2017年04月13日 12時13分32秒 | 国際経済
なんなら「固定相場制」はいかが?
 トランプ大統領は、これまで繰り返してきた「中国は為替操作国」という発言を訂正し、「中国は為替操作国ではない」といったようです。

 確かにかつて中国は輸出振興のために、 アメリカの人民元切り上げ要請などに応じず、頑張っていましたが、近ごろは、逆に、人民元安になると、海外からの投資資本が流出して、中国経済は危殆に瀕するという可能性もあり、人民元の高値維持に気を使わなければならないといった事情も出てきています。

 トランプ大統領は、中国の為替操作国指定を解除する代わりに、「ドルは高すぎる。私のせい(アメリカを強くするといったから)でもあるが、他国が通貨を切り下げている中で競争するのは難しい」と主張しているようです。

 相手を特定の国から、多くの国々に切り替え、ドルの独歩高への心配をあらわにしたということなのでしょう。トランプ大統領も経済原則には敵いません。
 当然のことながら、金利引き上げで金融正常化を目指すFRBの方針についても「金利は低い方が望ましい」と言っているようで、イエレンさんは何というでしょうか。

 これまでも書いてきましたが、 トランプさんの主張はもともと経済的には矛盾が多く、いずれ修正と思っていました。今後日本について何と言って来るか解りませんが、すでに108円台の円高になっていて、日本はドル高の先を行っています。

 そんなこんなで、これから世界中が為替レートで揉めるようなら、どうでしょう、思い切って、1970年以前の様に「固定相場制」に戻した方がいいのではないでしょうか。
 1960年代の世界経済は極めて健全でした。 それを壊して変動相場制に持ち込んだのはアメリカです。

 基本的に変動相場制というのは、経済力が弱くなったら、為替レートを切り下げて済ます(経済力回復などの努力は面倒)というシステムです。
 固定レートをいくらに決めるかで大騒ぎになると思いますが、 先ずは「固定相場制」の賛否を取れば、為替操作国かどうかのリトマス試験紙になるのではないでしょうか。当然日本は賛成だと思っています。