tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

コロナ第二波:政府は情報発信の徹底を

2020年06月29日 20時29分17秒 | 文化社会
コロナ第二波:政府は情報発信の徹底を
 東京の新規感染者が増えています。東京アラートが解除されてからの増加傾向は些か異常です。
 政府も都も、このあたりで新規感染者数は低減し、なんとか大事なきを得て胸を撫で下したいと思っているのでしょうが、現実は先が見えません。

 もともとこの東京都の数字は、検査機関や医療機関などで、新規感染が確認された数を発表しているもので、どんな形で何人調べ、その結果がという詳報はありません。

 ですから、検査の件数が増えたから新規感染者の確認が増えたのか、実際に都民の中で感染者が増えているのか、その辺は結局のところ曖昧です。

 しかし、数字が増えていれば、人々に不安を与えることは確かでしょう。全国の数字も増えているようで、それも注目され、先行き不安と思う人も多いようです。
 政府が何も言いませんから、既に第二波がはじまっているといった民間発の意見が信憑性を持つといった感じです。

 経済活動を説教化したい、旅行やスポーツ観戦、イベントや各種の集会をやりたいという意見がある一方、余り酷くならないうちにアラートを出してほしいといった意見もあります。
 都民も多くの国民も、信頼できる情報の欠如の中で、行動を迷っているのではないでしょうか。

  新規感染者の増加について、今日、官房長官の説明では、「積極的に検査をしているから増えているという面もあるので、改めて規制が必要とは思わない。当面様子を見る」という事のようですが、どう見ても確りした根拠や成算があってのこととは思えません。

 これでは国民の不安の解消にはほど遠いでしょうし、さらに最近新型コロナに対する免疫の問題、抗体の持続期間についての問題が指摘され始めて、新たな心配の種も増えているようです。

 種痘や結核のように一度感染すれば生涯抗体が維持され免疫というのならいいのですが、インフルエンザ・ウィルスなどは1~3年で抗体が消えると言われますし、同じコロナ系のサーズなどでは、抗体保有期間がもっと短いなどと言われ、新型コロナの場合は、中国の研究では2~3か月ではないかといった結果もあるなどと言われています。

 抗体保有期間が短ければ、今最も期待されているワクチンの開発についても、ワクチンこそ決め手という見方は必ずしも成立しないという可能性も出てくるのではないでしょうか。
 その場合、新型コロナ後というのがどんなものになるか、従来の想定を超えて、まさに予断を許さないことになりかねません。

 国会でいつも政府答弁が頼りにしていた専門家会議がなくなり、新たに「分科会」が出来るとのことですが、そんなことを言っている間にも、新型コロナウィルスは、昼夜を問わす増殖活動をしているわけです。

 政府からの情報が、いつも真摯に丁寧にと言っている割に、切り口上でほとんど頼りにならないようなものである一方、ネット上では世界中の情報が昼夜も真偽も分かたず入ってきます。

 今の政府の体制では、とても無理かもしれませんが、こういう時ほど、政府は、解っていること、解っていなことを早く国民に周知し、現状で安心できること、警戒すべきことを、正確に国民が理解し、誤りない行動をとれるように、最大限の配慮をすべきではないでしょうか。

野党は労働戦線統一の例に倣ったら

2020年06月27日 23時16分13秒 | 文化社会
野党は労働戦線統一の例に倣ったら
 民主主義という大きな枠の中で、二大政党が 競い合うというのが政党政治の理想の姿というのが、多くの人にとっても解り易い政治の在り方でしょう。

 政権も長くなるといろいろ問題が起きやすくなるようです。昔から権力は腐敗するという諺が定着しているのは、そういうケースが一般的だからでしょう。

 そういう時には「受け皿」が必要です。いわゆる一強多弱では「受け皿」がありません。腐敗した権力に自浄作用が働くのを待つしかありません。ならばやはり二大政党という事になるのでしょう。

 日本の政治体制もそれを目指した筈でした。しかし、どうしても一強多弱になってしまうようです。困ったものです。

 何とかしたいと思っているのは「連合」でしょう。過日も連合と立憲民主党、国民民主党のトップ会談が行われました。
 しかし、マスコミの報道では、両党の合流は難しいという事のようです。

 残念だと思っている人は多いでしょう。両党首にしてみれば、基本的に目指すところに違いがあるというのでしょうか。具体的にどこが同じでどこが違うと検討したのかどうかは知りませんが、細かいことをいえば、その両党の中でさえ、意見の違いはあって当たり前でしょう。

 かつて「 分裂の原理、統合の原理」を書きましたが、総論では統合を良しとしながらも、各論に至ると、違いが気になり、総論の視点(理念)を忘れるという傾向があるようです。これは人間の「性(さが)」でしょうか。

 それを乗り越える統合の視点の重視、各論の相違を処理する知恵と度量があって、初めて統合の原理が当事者たちの行動を支配することが可能になるのでしょう。

 連合してみれば、かつて、総評、同盟、中立労連、新産別などと別れていた労働戦線を今の連合に統一した経験があります。
 天の時、地の利、人の和もあってのことでしょう。先ずは全民労協、そして官公労もひとつ屋根の下の連合誕生までには、いろいろな経緯があったようです。

 このブログでは リベラルな思想を評価していますが、「リベラル」という立場では上記両党とも共通でしょう。自民党と公明党より違いは小さいかもしれません。

 戦後の日本の労働運動が到達したのも思想的には「リベラル」という共通の理念がどこかで共感されたからではないでしょうか。

 ならば、リベラルを是とする政党は、今の自民党(自民党も名前はリベラル・デモクラティックですが)、権力を畏れ、忖度をもって応え、異論はゼロといった状態を異常と判断して、リベラルの理念のもとに結集し、日本を真にリベラルな国にするために統合の原理を生かすことを考えるべきではないでしょうか。

 勿論最終的に決めるのは国民です。しかし国民はより優れた情報や知識を得て、より望ましい選択をするのでしょう。
 
 歴史的に見れば、社会現象としては、統合の原理はより前向きの思考であり、分裂の原理は、どちらかというと退歩のプロセスといえるのではないかと考えつつ、この所の野党の行動を注視しているところです。

「潔さ」は日本の伝統文化では?

2020年06月26日 00時00分30秒 | 文化社会
「潔さ」は日本の伝統文化では?
 日本人はよく「潔い(いさぎよい)」というコトバを使いました。具体的に説明しろと言われても、難しかったりするのですが、明らかにこれは誉め言葉です。もしかしたら、最高の誉め言葉かもしれません。
 
 学生の頃「英語には「潔い」というコトバはないみたいだよ」といわれて辞書を引いて、確かにそうかななどと思ったことがありました。 
 サラリーマンになって、偶々飲み会で、そんな話をしましたら、職場の友人(因みに東京大学法学部卒)が「俺はこう教わったぞ、to be a good loser でいいんじゃないか」と答えてくれました。

 これは名詞で、潔いは形容詞ですが、確かに近いかなと思ったことを覚えています。
今、「潔い」の適訳をネットで探しても、やっぱりありませんから、日本独特の感覚(だった)のでしょうか。

 ところでこれからが本題ですが、日本人でも潔くない人が増えているような気がしてなりません。
 ニュースで何か事件が起きるたびに、気を付けて見ていますと、捕まった人が犯人だと明らかのような場合でも、私はやって居ませんとか、知らないとか、黙秘とかいうケースが多くなったように感じます。

 0.1%でも逃げおおせる可能性があれば、粘りに粘るというのは全く潔くないのですが、そういう日本人が増えてきているのでしょうか。

 そういえば、総理大臣でさえ、国会で厳しい追及を受け、答弁の中で「法に違反するようなことはやっておりません」などというのを聞いていますと、やっぱりかなり危ないこともやっているのかななどと勘繰ってしまいます。

 昨今、ここまで潔くないのかと感じてしまうのはニュースで見る元法務大臣夫妻の公職選挙法違反に問われている件です。
 取り調べ進行中ですから、発言すべきではないというべきなのかもしれませんが、結果はどうなるかは別としても、夫妻の言動から「潔さ」のかけらも見られないのは、日本人も変わったなと感ぜざるを得ない所です。

 当事者が元法務大臣というのも、出来すぎたシチュエーションですが、一般市民の私共としては、西洋にもノブレス、・オブリージュというコトバがあるではないですか(これも古語になりつつあるようですが)、広辞苑で「潔い」というコトバを引いたら、かっこつきで(古語)などと書いてあるような日本にならないことを願う所です。

「転んでもただでは起きるな」再考

2020年06月24日 22時55分03秒 | 文化社会
「転んでもただでは起きるな」再考
 去る2月の26日、新型コロナが企業の活動に影響を与え始めたころ「 転んでもただでは起きるな」を書きました。

 意識していたのは、このブログの基本的な考え方でもある「人類の進歩はその知恵を生かしたイノベーション(技術革新)から」という信念のようなものです。
 新型コロナの感染に最大限の防護策を講じながら、何とか企業活動を続けるという命題が企業に与えられたわけです。

 相手はウィルスですが、新型で、対抗する医薬品は存在しないという状況の中で、この命題に対応するのは企業としては容易ではありません。ウィルスは放射能と同じで、見えません。存在を教えてくれるガイガーカウンターに相当するものもありません。

 解っているのは、感染者の咳・くしゃみ、・大声の発声などで出された唾液の飛沫が最も恐ろしいらしいこと、しかし、感染者が掴んだ手すりやドアのノブからも濃厚接触は起こり得るという事になりますと、直接、間接を問わず、出来るだけ人と接触しないことが安全となるわけです。

 さて、企業で人と接触せずに効率的に仕事をこなすことはどうしたら可能かという問題が起こり、「満員電車」に乗ってでも「人間同士の緊密な接触」が効率的な仕事に通じると考えられていた日本企業の仕事のシステムはまさに困難に直面することになりました。

 しかし勿論、従業員の健康や生命の方が重要ですから、やむを得ず、在宅勤務やテレビ会議、様々な形のリモートワークのシステムを開発し、関連する機器の開発も促進され、対人接触中心型の仕事システムを変えてきたというのが実情でしょう。

 結果を見ますと、在宅勤務でも効率が落ちない、却って効率が上がるといった面もあるようで、ある意味では(長時間通勤不要もあり)今までの物理的な人的接触中心から、ネットの活用も含めて、より合理的(無駄が省けるという意味で)な(業務上の、またそれを補完する人間的な)人間関係の維持促進が可能になるといった側面でも多様な収穫があったといった話も聞くところです。

 かつてより、日本企業は直接部門は生産性が高いが、間接部門の生産性の低さがとトータルの生産のレベルを引き下げているといったことが言われ、間接部門の効率化が叫ばれて久しいのですが、人間の行動変容はなかなか難しく、何か成果に乏しい感じを受けていました。

 図らずもと言いましょうか、今回の新型コロナ問題で、状況に強いられて行った行動変容が、間接部門の効率化に役立つといった面があり、企業がそれに敏感に気づき、間接部門の生産性向上に役立てることが出来たとすれば、結果は「転んでもただでは起きなかった」という事になるのでしょう。

 さらに、そうした思わざる成果を超えて、未だに混迷している新型コロナ対策の中から、こうした予期せざる事態への対応の在り方を「的確に先見する」方法論を学ぶことが出来れば、これは日本社会にとっても、もちろん世界にとっても大きな収穫になるのではないでしょうか。

 2002・3年に流行したサーズの教訓を生かして積み上げた対応策が新型コロナで大きく役立ったというのがドイツの経験だそうですが、いま第2波が来るか来ないかと論議される中で、政府、企業、家庭、あらゆる社会経済主体の経験の積み上げを先見性に結実させるような動きの活発化が望まれます。

 最近のニュースでは、新型コロナ対策に関して、「スパコン『富岳』の活用」やユニクロ創始者の柳井氏の京都大学への研究資金100億円の私財提供」といった注目すべきものもあります。
京都大学の山中教授は「大変ありがたいことです、同時に責任も痛感しますと仰言っていましたが、こうした中から、更に多くの、新型コロナ対策も含め、社会・経済活動のより効率的なあり方への多様な成果が生まれることを期待できるような気がしています。

新型コロナ禍から経済回復への道は?

2020年06月22日 22時18分01秒 | 文化社会
新型コロナ禍から経済回復への道は?
 今、世界は新型コロナ禍を克服して、経済の落ち込みを防ごうと、それぞれの国がそれぞれに大変な努力をしています。

 新型コロナが恐ろしいといっても、インフルエンザの同類ではないか。過度に恐れるのではなく、感染対策を講じながら、経済活動を優先すべきという、我々から見れば大胆な政策をとる国もあります。 アメリカやブラジルは、その典型でしょうか。

 日本の場合は、出来るだけ政府の規制や強制力を使わずに、国民への要請という形で感染予防に必要な条件を見出し、国民の適切な理解と賢明な行動を前提に、ある程度の経済の落ち込みは覚悟の上で、人的犠牲を最小限に抑えながら、状況の改善に応じて段階的に社会・経済活動の範囲を広げていくという選択をしたという事でしょう。

 日本方式は、政権の状況理解(専門家会議の意見)が迷走気味のこともあって、当初は躓きもあったようですが、国民の知識や理解が進むにつれて、WHOも「なぜ?」というほどの成果を上げてきました。

 ただこのところの制限要請の緩和の状況を見ますと、単純に喜んでいる人がいる一方、本当に大丈夫だろうかという疑念の中で、やはり自制気味の人が半分以上ではないでしょうか。

 おそらく政府も、また最大の感染地東京都も、緩和について自信があってやっているわ毛ではなく、疑心暗鬼の中で、「上手くいってくれ」と願いつつやっているというのが本当の所でしょう。
 東京都も、駄目ならいつでも「アラート導入」という条件付きですし、リバウンドらしき様相もないではありません。

 この、「何とか上手くいってくれ」という願いは、政府も国民も共有でしょうが、それで若し成功するとすれば、それは多分賢明な国民の知恵や誤りない行動によるところでしょう。(政府は自分の手柄にしそうですが)

 政府は、「新しい生活様式」と繰り返していますが、これは国民が当面知恵を絞って実践しているもので、あくまでも、新型コロナ用のワクチンが完成するまでの過渡的なものに過ぎません。
 適切なワクチンが開発されれば、「新しい生活様式」として残るのは、家庭にとっても企業にとっても、コロナ禍の中で編み出した「より合理的な行動の在り方」(テレワークでの家庭内の作法、テレワークの活用ノーハウ、ネット会議で生産向上などなど)として残るものだけでしょう。
 2mの間隔も1つおきの座席も、マスクも嗽も、アルコールの手洗いも、以前に戻るのでしょう。

ワクチンさえ出来ればTo Goがなくても人々は旅行を楽しむでしょう。消費行動も企業活動も何の懸念もなく正常に復すでしょう。GDPは落ち込みを回復し、Stay Homeの反動で、少しオーバーシュートになるかもしれません。

 最終的に新型コロナの勝つのは、ワクチン開発の成功です。日本の企業も頑張っています。しかし政府の支援はこのあたりには大変薄いようです
 補正予算での現金のバラマキの方が票になると思うのがポピュリズムに毒された、当今流行の政治なのでしょうか。
 しかし、賢明な日本国民は、そのあたりも見抜いたうえで、世界を見、政権を見ているようです。(世論調査参照)

 結論から言えば、新型コロナの制圧と、経済の落ち込み防止を両立させるのは「ワクチンの開発」なのでしょう。
 これは決して「急がば回れ」ではなく、「急げ、急げ」の緊急政策なのです。コロナ制圧が早いほど、経済の傷は浅く、回復は容易です。

国民の本当の気持ちは、当面のカネよりも(一部悲運の方にはごめんなさい)、新型コロナの1日も早い制圧だと、政府に解ってほしいものです。

梅雨から初夏へ:アジサイからアガパンサスへ

2020年06月20日 21時12分05秒 | 経済
梅雨から初夏へ:アジサイからアガパンサスへ
 このところ2日ほど「梅雨寒」でしたが、今日は暑くなりました。
 天候は不順ですが、その寒暖を巧みに読んでいるのでしょうか、花たちはきちんと季節を追っているようです。

 背が伸びすぎて先日の雨で腰をかがめたアジサイは盛りを過ぎて来ました。一番端の丁度今満開の花を撮りました。
 ところがどうでしょう、その後ろに、周回遅れのような遅い蕾が写っていました。
 「遅咲き」でも満開になるだろうか、未だ梅雨は続きそうなので見守りたいと思っています。


 片方で、初夏を思わせる花、アガパンサスが開き始めました。
 先日スマホに入れた、花の名前を教えてくれるアプリで見ましたら、紫君子蘭という名前もでていました。

 これは、今はキュウリの畑になっている花壇のわきに一株あって、蕾が7本伸びてきた中の一番早いのが咲き始めたところです。
 これが咲くと「暑い、暑い」というのが例年です。

 先日ご紹介したホタルの羽化が今年はなぜか不調で、30は羽化するだろうと見ていたゲンジが11匹、ヘイケが先週から羽化を始めて、これは40から50はと思っていたのですが、現在まだ12匹、原因不明で些か気落ちしているところです。
 
 それに引き換え、花の方は、確りと季節の変化を感じさせてくれるので写真を撮りながら「有難う」と言いたい感じです。
 ノウゼンカズラの橙色の花が高い所で数輪開き始め、半夏生にも真っ白な葉が出て花房が垂れ、猩々草の赤い葉もちらほら、「忍び音漏らす夏は来ぬ」と口ずさむ日も近いようでです。

国会閉幕、数年の国会を振り返れば

2020年06月18日 22時20分55秒 | 政治
国会閉幕、数年の国会を振り返れば
 野党が反対する中で、与党は絶対多数を背景に国会の閉幕を宣言し。多くの問題を積み残しながら、昨日今通常国会は閉じられました。

 いま日本の最大の問題である新型コロナ対策については、第2波を如何に抑えるに全国の現場はまさに苦慮中です。国会休会中でも頻繁に委員会開催という事のようですが、是非とも少数精鋭で的確な仕事をお願いします。

 コロナ問題以来与党のリーダーシップの迷走は多くの国民の批判の対象になり、その中で賭けたのは、巨大なカネのバラマキで、与党支持層を繋ぎ止めるという事だったようです。

 マスク配布も含めバラマキ政策は確かに支持された面もありましたが、現場の混乱から、一人一人の国民に届くまでに時間がかかり過ぎ、政府の即決、即断、即実行の実現は容易でなく、政府には大きな躓きになったようです。

 援助の遅れは、実体経済、人々の生活や中小企業の経営の悪化に直結、感染防止のための規制か、経済活動再開の促進か、のジレンマの真只中です。

 そうした中で、バラマキに必要な補正予算の金額が巨大すぎ、政府のコントロール能力を超えるのではないか、という不安の声も起きています。
財政予測など、将来構想や試算の(多分)用意のない政府としては、こう言った論戦にはとても耐えられないのではないでしょうか。

 最大の問題である新型コロナ問題については、当初から迷走を重ねていますが、その上に、「真摯に、丁寧に」説明できないような種々の問題が起きてきています。
 
 喫緊の課題は、共に国会議員である元法務大臣河井氏、河井夫人の逮捕問題、イージスアショア設備の突然の停止、自ら解決すると言いながら、トランプさんに口添えを依頼するだけだった拉致問題、アメリカとの関係でイージスアショアと類似点を感じさせる3か所のIR構想、さらに国民の心の中で深刻の度を増しつつある赤木事務官の自殺問題、そのほか、総理の立場を選挙運動に利用したと指摘される「桜を見る会」問題などなど、まともに論議すれば支持率の更なる低下を招くことが予想されることが多すぎるように感じられます。

  モリ・カケ・桜・・・とこの何年か、国会は前向きの国政問題よりも、国民が疑惑を感じるような政権の行跡についての、聞いていてもイライラするような議論が大半で、経済問題では消費増税の際の軽減税率問題のごたごたぐらいでほとんどが後ろ向きばかりでした。
 
 一方、野党の方も、突っ込み不足の感が否めません。安倍総理以下の閣僚、官僚の時にすれ違い答弁に阻まれて問題の核心にまでは届かない感じでした。
 今回の1人10万円のバラマキについても、わが党が最初に主張したとか、わが党は30万円もと主張したといった意見が聞かれ、新型コロナ問題の本質を突く問題意識の希薄さが目立ったようです。

 こんな状態の中で、国会は閉幕、マスコミの報道も何か希薄になる可能性は大きいのではないでしょうか。
 安倍政権はホッとする面もあるのでしょうが、国民はコロナにかまけて、政治への関心は急速に薄らぐ可能性もあります。

 自民党は多分それが狙いなのでしょうが、そのあたりが次期選挙のタイミングという意見も次第に出てくるのではないでしょうか。

 今の日本の政治情勢を見ていけばいくほど、国政についてのいかなる問題意識と持つか、国民として選択すべき方向をいかに的確に判断するか、は極めて難しいといった感じを強くします。
 
 低迷した政治、経済に追い打ちをかける新型コロナ問題。当面の最大の問題である新型コロナ問題の早期解決、そしてその先に来る「日本経済社会」の本格的再建、こうした問題に向かって、まさに今、そしてこれから、日本国民の知恵が試されているのではないでしょうか。

新型コロナ対策、やっと動くか?

2020年06月16日 22時51分29秒 | 文化社会
新型コロナ対策、やっと動くか?
 マスクとカネ配りばかりだった新型コロナ対策がようやくまともなアプローチの一歩を踏み出したようです。東京、大阪、宮城で1万人の抗体検査をやったとのことで、結果がニュースになっていました。

 こんなことは4月の段階に始めておくべきことだったのでしょうが、やっと本来やるべきことに行き着いたというところです。
 どうも安倍内閣は、まともな対策にはほとんど興味がないようで、カネをばらまけば人気が取れると思っていたように思えてなりません。
 今ですら、ワクチンを日本で世界に先駆けて、開発しようなどという気概な全くなく、外国で開発したら、出来るだけ日本でも使えるようにしようというのが取り組みの方針のようです。

 それにしても、抗体検査を始めたことは結構で、早速重要な参考になる結果が見えてきています。
 無作為抽出という事で、統計の原則に沿ったものだと思いますが、東京では抗体を持っている人は1000人に1人だそうです。

 東京都の人口は1400万人ですからこれまでに感染した人は14000人±5%ぐらいと思えばいいのでしょうか。
 その中のかなりの人が市中を歩いている可能性があるのですから、気を付けないと第二波が起きたら大変、などという解説もありましたが、抗体が IGGの人は、他人に感染させる恐れはないようなので、その数が発表になれば、も少し正確な理解が可能になるでしょう。

 何十年も前の話ですが、私は都内の30ほどの事業場に1500人ほどの従業員を持つ企業いましたが、もちろん全員顔見知りというわけではありませんが、結構あちこちで見た顔に出くわすことがって、都内で1500人というのはこんな感じかと驚いたことがあります。
 そのほぼ10倍ですから、決して油断はできないような気がします。

 そしてもっと大事な事は1000人のうち999人は未感染者ですから、抗体がない、という事です。
 という事になりますと、都内の生活状況が今年の2~3月の状況に戻っていきますと、容易に新型コロナの第2波が起きるという事です。

 この所感染者数が日に40人を超えたりして心配する人も多いようですが、ニュースでは(皆さんご存知の)新宿の特定の場所に関わる人の調査を徹底したから。などという説明です。という事はグラフで感染者が減ってきていたのは、検査をしなかっただけという事になるのです。
 こんな統計的に意味のない数字を根拠に対策を考えていた時期は早く卒業し、現実の実態を詳細に、明らかにするよう邁進すべきでしょう。

 今日は訪問医療のステーションの16%がスタッフに感染者、濃厚接触者を持っているという別の調査も出ています。調査を徹底すればいろいろな事が解ってきます。

 やるべきことは、早期に、出来れば全数の抗体調査を完結すといった「行動」でしょう。政府は使いきれないほどの予算(予備費)を持っているのです。国策として徹底すれば人は集まります。勿論人件費はかかりますが、いままでのバラマキに比べれば知れたものでしょう。

 感染者と未感染者がはっきりすれば、第二波の防止の手段は誰の目にも納得のいく明白なものになるでしょう。これは 宛推量の「新しい生活様式」ではなく、ワクチンの開発、実用化までの、特定の間の、「守れば安全な生活様式」という事でしょう。

 そして最後に望むのはワクチンの早期開発、実用化です。民間の企業では、日本で、わが社が世界に先駆けて実現しようと懸命の企業が沢山あるようです。
 そうした事を知ってか知らずか、総理大臣が、「外国で開発がなされたら・・・」などと情けないことを言っていていいのでしょうか。
 何か少し違っているような気がしてなりません。
 


新型コロナ対策にも合理性を

2020年06月14日 21時39分42秒 | 政治
新型コロナ対策にも合理性を
 新型コロナウィルス対策として、政府は非常事態宣言を行い、新規感染者数が減ってきたという事で解除しました。

 解除というのはもう危険性がなくなったからという事ならわかりますが、みんなが家に蟄居して出歩かなくなったから新規感染者の発生数が減っただけで、また出歩けば感染者は増えると誰でも思います。

 政府は新しい生活様式という事で、家から出ても、なるべく人と人とが触れ合わないように、などなどのガイドラインを出しました。
 これは、誰が感染者か解らないので、非感染者同士の場合も相手は感染者だと思って、近づかないようにいようという事です。

 日本国内の感染者の累計は18,000人弱ですが、治って退院した人、病院に入っている人、(もちろん死亡した人も)感染源にはならないでしょうから、感染していて市中に出歩いている人はごく少数でしょう。

 いやそんなことはない、隠れ感染者はもっといるはずだ、だからソシアル・ディスタンス2mは大事だ、という意見も多いでしょう。
 
 都内の一般医療機関の中から無作為に抽出して500の検体の陽性の比率が0.6%で、同じ都内の献血者の中から無作為で抽出した500検体の陽性率も0.6%で、同じだったので、この数字は大事だという専門家の意見もあるようです。

 無作為抽出の検体500という数字は、統計的には最低限の有意性の判定が可能というレベルのです。恐らく忙しい仕事の中で、ボランティア的にやっていただけたものでしょう。
 
 0.6%、つまり東京都内で500人検査して3人が陽性という事ですから、597人はコロナに無関係で、若しコロナ感染者が目に見えるのであれば、全く感染の危険のない人たちがみんな2mの間隔を空けましょうと協力をしたり、若し近くに人が来れば、逃げたり、けしからんと、じろじろ見たり睨んだりという、漫画のような悲喜劇がいたるところで起きているという事です。

 まさに疑心暗鬼の典型のような光景が展開されているのですが、こんなことになるのも、PCR検査や抗体検査が徹底していないからにほかなりません。
 本当のことを言えば、私自身、現在感染しているのかいないのか解っていないし、調べてももらえないのです。

 医師会は、検査の促進を厚労省に申し入れをしました。政府は32兆円を第2次補正に組みました。10兆円は予備費です。金がないことはないでしょう。
 ソフトバンクは社員など44,000人の全数検査をやっています。
 検査の経費などは予算の規模から見れば微々たるものでしょう。やるとなれば、医師会の協力は得られるでしょう。
 検査をして、感染者を特定し、対処策を確りすれば、社会はそこで安定するでしょう。疑心暗鬼も消えるでしょう。
 
 給付金や補助金は巨額ですが、後追いです。検査はごく小さな予算で、後追いの必要性や国民の不安感を大きく減らすでしょう。
 しかし、これはワクチン開発までの最低限必要なつなぎとしての政策です。

 上と同じことがワクチンの開発にも言えます。潤沢な開発資金をつぎ込めば、開発は早まるでしょう。これは新型コロナ対策のへの決定打でしょう。

 合理的に考えれば、あらゆる問題への根本・基本対策は、原因に手を打つことです、なぜ政府は原因に手を打たずに、後追いに膨大な予算を組む方を選ぶのでしょうか。
 何か政府なりの都合や理由があるのでしょうか・・・?

巨大補正予算の活躍分野は・・・

2020年06月12日 23時55分26秒 | 経済
巨大補正予算の活躍分野は・・・
 第2次補正予算も成立のようで、政治面のプロセスは進捗していますが、予算に組まれた個人や企業に対する給付金はなかなか届かないようです。私の所にも、マスクは先週届きましたが、給付金は、登録は済ませましたが、その後音沙汰はありません。

 マスコミによると、雇用調整助成金や事業継続給付金などはトラブル続きで、なかなか必要な所に届かないようです。

 マイナンバーカードもほとんど活用できないようで、日本でも、行政の効率化、電子化は進んでいないことが、問題が起きるたびに、はっきりするようです。

 他方、随分先走ったものもあるようです。Go To というのは何かと思ったら観光旅行などへの補助金だそうですが、「新型コロナ感染の危険を冒して」観光旅行に行ったら補助金を出すという事でしょうか。

 コロナの心配がなくなれば、我慢していた人たちがどっと観光旅行に行くでしょうから、その時はもう補助御金は要らないはずです。
そんなお金はコロナワクチン開発の早期化に使った方が根本解決になると思うのですが、何か政策が逆立ちしているように思います。

 二次にわたる補正は事業規模総額230兆円という触れ込みですが、単純にこれが全て適切に使われ日本経済の最終需要になったら、新型コロナ下で2020年度の日本経済がマイナス40%の落ち込みになっても、日本経済はゼロ成長程度で済むという計算になります。

 現実問題として、政府がどの程度の落ち込みを想定して補正を組んでいるのか解りませんが、国会では、さらに歳出を100兆円増やせとか、1人10万円の支援の2次、3次を考えるべきだなどといった常識では考えられないような論戦があるようです。

 安倍政権にしてみれば、財政問題についての今迄での失政、財政再建を言いながら、その努力が現実問題として為されていないという状態を、うやむやにするチャンスと考えても当然でしょう、コロナ禍は100年に1度の日本経済の危機と発言し、それに対しては赤字国債をいくら発行しても当然というスタンスのようです。

 MMT(新時代の貨幣理論)も追い風でしょう。2兆円、3兆円のプライマリーバランス達成の遅れは、数10兆円のコロナ対策の中では些細な誤差で片付くでしょう。
 日銀の無期限の異次元金融緩和(FRBは2022年までとのこと)とタッグを組んで、財政・金融双方からの猛烈な貨幣供給に踏み切っているところです。

 背後には、多分MMTがあるのでしょう。日銀の国債保有がいくら膨らんでも、日銀は政府に買い戻してくれとか現金にしてくれとは言わないでしょう。
 そして、政府はいくら借金しても(国債を発行しても)返済を迫られなければ、問題はないというのがMMTなのです。

 では本当になにも問題が起こらないのでしょうか。
 問題の方はすでに起きているようにtnlaboでは考えています。同じことはアメリカでも起きています。

 国民(個人・家計・企業)が必要とする以上に供給された貨幣は、昔ならインフレを起こしたでしょう、しかし今は、経済は国際化し、モノ余りの時代です、時に一部の商品が値上がりしても、全般的なインフレにはならないのです。
 これには、目に見える国際価格比較の中で、物価上昇をもたらすような賃金上昇を労働組合の力で勝ち取るといった「物価・賃金スパイラル」が極めて起きにくい状態も関わっています。

 では余ったお金の行く先は・・・?
 それは当然マネーマーケットでしょう。過剰な貨幣の供給が物価上昇を齎さず、マネーマーケット、典型的には株式市場に流れ込むのは当然の結果でしょう。

 「モノづくり」より「金融工学」という資本主義の変質はリーマンショック以降も健在です。基軸通貨のドルの本家アメリカで、株の上がることが経済の活性化と喧伝して大統領選を戦うトランプさんの影響も大きいでしょう。

 金融工学は「時価総額最大」という形で貨幣量をいくらでも増やします。これも信用創造というのでしょうか。
 これ(必要以上の貨幣供給)は貨幣そのもののバブルにつながります。
 そしてバブルは通常2つの問題を齎します。
 1つは所得格差の拡大とそれに伴う社会の不安定です。
 もう1つは何時かは破裂して実体経済に手ひどい打撃を与える事です。
 
 MMTでは、いくら財政赤字で貨幣供給を増やしても、インフレは起きないように言います、今の国際情勢の中では、物やザービスの価格が上がるインフレは起きにくいでしょう。

 しかし、株式市場のバブル(株価インフレ)は容易に起きるようです。
 今の東京市場の株価がバブルかどうか、判断できる人はいないでしょう。そして、バブルが何時はじけるか、何日後か何年後か、を判断できる人もいないでしょう。

 今の日本経済が、危ない道を歩んでいるのでなければいいのですが・・・。

ホタルの光をお届けします

2020年06月10日 16時48分16秒 | 環境
ホタルの光をお届けします
 5月の23日に「我が家の庭はホタルのシーズンです」と書いてから大分経ってしまいましましたが、ゲンジボタルの羽化が今年は遅くてやっと6月に入って始まりました。
まだ1日に1匹か2匹の羽化ですので、これから本格化と思っていますが、先ずは写真が撮れたのでご紹介することにしました。







 この所毎晩、8時過ぎになりますと、玄関の電気を消してU字溝の周辺を暗くし、ホタルが羽化しているかどうか探しに行きます。カンゾウやセージ、アガパンサス、ホトトギス、ドクダミなどが伸び放題になっているところを少しずつかき分けながら「ほわー」と光るゲンジボタルを発見して、とまっている草を下からちぎり、そーっと籠の中に入れます。
 巧く行く時と、ホタルが下の地面に落ちてしまったり、ふわっと飛んでオオムラサキの枝にとまったりして大変なこともありますが、何とか確保して、籠に入れています。

 籠は、U字溝の上に置いてあって、ホタルは下に水があると安心するのかよく光ってくれます。
 メスの方が大型で、おしりの光の帯は1本、オスはしっぽの先の3角になった部分も光ります。

 籠の上の方に舞い上がって動き回るのはオスで、メスは下の産卵用のミズゴケのあたりであまり動きません。
 したがって写真に写っているのは多分オスが多いと思います。

 「蛍がいます」と書いて貼っておきますから、通りがかりの人も覗いていきます。来週あたりが最盛期で1晩に5~7匹ぐらい羽化することもありますので、親子連れで見に来られて、捕まえるのを手伝ってくれる方もおられます。

 6月末からは、ヘイケボタルの時期になりますが、これから7月初めまで、「わが家庭ののホタルの季節」です。  

MMT(新時代の貨幣理論)が成り立つ条件とは?

2020年06月08日 15時46分31秒 | 経済
(金融、財政大盤振舞いでも「インフレにならない」のか?-7)
 まず、MMTが対象にしている国は日本とアメリカのようです。ギリシャやイタリヤやアルゼンチンなどは、インフレ、デフォルトが現実問題になるので枠外でしょう。
 もちろんこれらの国はユーロやドル建ての国債で、自国通貨建てではありません。

 日本政府がこれだけ借金してもOKなら、アメリカもOKなのではないかというのがMMTでしょうから、ここでは、日本とアメリカについて考えます。

 日本が、現状ではインフレにならない理由は このシリーズで分析して来ましたが、今後さらに国債発行が増えるとどうなるかと考えますと、国債発行での景気刺激もバラマキも効果なく、日本経済が停滞を続け、国際的にみて、価値のない国になり下がるという場合が考えられます。

 その時は、国際競争力も失われ、国際収支も赤字になって、満期になった国債は額面で償還されますが、「何かあれば円高」は、「何かあれば円安」になって、輸入物価が上がり、多分それが賃金も含むコストプッシュ・インフレに転嫁され、日本経済はじり貧という事になっているのでしょう。

 経済政策の拙さで、財政・金融政策が実体経済の成長をもたらさず、マネーゲームに使われて、株価は暴騰、しかし、どこかの時点で暴落、あれはばバブルだったという事になるのでしょう。
 今、その兆しがないわけではありませんが・・・。 
 
 アメリカの場合は、覇権国の負担から、既にシェールオイルが出ても足りないほどの赤字国です。世界からカネを集めないとやっていけません。戦略は2つです。
 1つは、金融工学という分野を作り出し、不良債権をトリプルAに粉飾して、世界中に売り、結果はリーマンショック。
 サブプライム・バブルの「つけ」は、世界中に押し付けられて負担することになりました。

 もう1つは、ドルの切り下げですが「強いドル」願望のために、ドルを切下げるとは言わず、対米黒字国に通貨切上げを迫るという方法です。
 最初の犠牲者はプラザ合意で「円」、次に狙ったのは「人民元」ですが、これは中国に読まれて思うようにいかず、後は関税合戦で返り血を浴びることになります。

 長い目で見れば、ドルは対円では360円から110円、1/3以下に減価しています、それでも、ドルは基軸通貨ですから、アメリカの国債は世界中の国で資産と認識されているという利点があります。ドル債保有でドル安で損しても、代わりに買うものがないのです。

 だいたい国際取引は、基軸通貨ドルで決済ですから、基軸通貨を自由に発行できるアメリカは、MMT理論から言えば、決定的に有利だという事です。
 そういう国で生まれたMMTという理論を鵜呑みにすると、基軸通貨国以外の国はとんだことになりかねません。 
 
 結局のところ、国債をいくら発行しても、金融をいくら緩めてもOKというのは、

「国債発行、金融緩和が、実体経済をそれによって順調に成長させれば問題ない」  
「国債発行、金融緩和が実体経済の成長に生かされないと、経済不振の中で、増税予想なども呼び、国民生活は改善しない。国民の意識によって、そうした状態は、インフレやバブルそしてその崩壊をもたらし、結局は自国通貨の価値の減価で国民生活レベルの低下が実現される。自国通貨建てでない国債発行の場合はデフォルトの形を取る。その結果最後には『経済にタダの昼飯はない』ことが明らかになる」
 
という事なのではないでしょうか。

金融、財政大盤振舞いでも「インフレにならない」のか?-6

2020年06月07日 23時12分41秒 | 文化社会
MMTは、アメリカ発なのが気になりますが
日本では、国債紙屑もハイパーインフレもまだ心配しなくていいのではないかというのがこれまでの纏めではないかと思います。
 
 という事で、MMT(新時代の通貨理論)をどう考えるかという問題ですが、MMTが成り立つためには、やはり、それなりの条件が必要ではないかと考えるところです。

 MMTでは、中央銀行が通貨の発行権を持っている限り、自国通貨建てでいくら国債を発行しても、その償還は、自国通貨を増発すれば(お札を印刷して支払えば)済むことなので、デフォルト(国としての支払い不能)になることはないと言っていますがこれは当然です。

 ドル建てとかユーロ建てで発行するからが外貨準備が不足すれば国債の償還が出来なくなるのである、という事になっているわけです。
 日本の国債はみんな円建てですから、日銀券を増刷して日銀が国債を買ってしまえばそれで済むわけで、政府にお金があるかないかは関係ないといことになるのでしょう。

 日本では、政府にお金がないから日銀が市中から国債を買い上げて、それで市中に出回ったお金を当てにして、政府が国債を発行している、つまり、間接的ですが、国際を買い上げることで、日銀が政府にカネを貸しているという事です。

 政府は日銀からいくらでも借金が出来るのかという疑問は出ますが、国民が1万円札や国債の価値を信用していれば、それは可能です。
では、金利が上がったら、利払いのために国債発行額はさらに増えるかといいますとどうでしょうか。

 上がった金利は国債保有者の日銀に入ります。日銀の収益は増え、日銀の国庫納付金が増え、その分は政府に還流します。

 金利が上がれば国債の評価額は下がって、日銀は膨大な評価損を被るとも言われます。評価損は時価評価ですから、満期まで持っていれば満額支払われます。世の中がインフレなら大変ですが、インフレでなければ満額払われれば問題ありません。

 どうも、日銀が、政府に国債を持っていって、現金にしてくれ(政府に借金を返せ)という事はありそうもないような気がします。

 結局は、国民経由で日銀が政府に金を貸し、政府は財政支出をして経済を回し、それで景気の落ち込みを防いだり、技術革新を刺激して経済成長率を高めたりという役割をして、日本経済の付加価値(GDP)が増えた中から日銀は利息を受け取り、(日銀は必要以上に利益を蓄積しませんから)儲けは国庫納付金になって政府に還流するという循環の中で、国債発行が経済成長を刺激するのです、という事になり、MMTは成立するという事になるのでしょう。

 ケインズもこれを先見して、ケインズ政策を主唱したのかもしれません。
 しかし、「ええ? 本当にそれで良いの」とどうしても言いたくなります。「経済にタダの昼飯はない」というのも「真理」のはずです。

 では、本当の所はどうなのでしょうか。最後にその点を見ていかなければならないでしょう。 長くなりますので次回にします。

新型コロナで消費支出は急ブレーキ

2020年06月06日 16時10分07秒 | 経済
新型コロナで消費支出は急ブレーキ
 MMT論議の前に2020年4月の「家計調査」が発表になりましたので、例月の消費性向の観測をしておくことになりました。

 例月のといっても、この春は新型コロナ禍で異常事態ですから、傾向値の観測ではなく、異常事態の実情報告になってしまいます。

 何せ緊急事態宣言で、Stay home ですから、外出に関わる消費支出は激減です。
 まず全体から見ますと2人以上所帯の消費支出は267,922円で、前年同月(301,136円)より11.0%、1割以上減っています(以下すべて対前年同月比、名目値)。
 大きく減っているのは、被服・履物54.8%減、半分以下、教養娯楽33.7%減、その他消費支出(分類のはっきりしないもの)16.1%減、教育12.5%減、交通通信9.2%減(おもに交通、通信は増)、食料は4.6%減(ほとんど外食)などといった状態です。

 逆に増えているものもあって、住居関係と水道光熱です。みんなが家にいるという状況の反映でしょう。

 これを、収入と支出の関係の解る「勤労者所帯」(2人以上)で見ますと、
可処分所得(手取り収入)は428,391円で0.5%減
消費支出は、303,621円で9.9%減、という結果です。

 ということで注目の平均消費性向は、70.9%と昨年4月の78.3%から7.4ポイントも下がってしまいました。
 
 今までの平均消費性向の低下は、恐らく、将来不安が大きく喧伝されている中で、多くの家計で貯蓄志向が強まる結果と考えられて来ましたが、先月からの数字は、性質が大分違ってきているという事でしょう。

 違いははっきりしています。コロナ禍による行動制限で、お金があっても使えない。旅行にも行けない。飲み会も、お茶会もできない、stay home でないと命に関わる。これでは消費性向は下がるのが当然でしょう。

 勿論、一部には失職して収入源を絶たれる人も出てきます。政府は当然、そういう方々の生活支援に手を打たなければなりません。非常時です、直接現金で給付金の支給をする。
 これは必要なことですが、それが突然、すべての日本居住者という事になります.
 カネはあるが使えないという人と、コロナ禍による生活困窮者とどちらが多いかといえば、困窮者の方が圧倒的に少数でしょう。
 大多数の人は10万円もらっても、差当たって銀行に置いたままという事になり、これは消費性向低下の要因になるわけです。

 本来取るべき政策は、困窮者にもっと手厚い給付をし、残る膨大なカネは、新型コロナウィルス退治、医療設備、医療機器、医療機器、PCR検査、抗体検査、治療薬、ワクチンの早期開発のために早急に大規模に振り向けるべきでしょう。
 
 新型コロナウィルスの制圧さえ出来れば、問題は何もなくなるのです。
 本人自身が感染しているのかどうかも簡単には調べられないような状況を放置して、だれが感染者かわからない中で「適切に行動せよ」と言われても、結果は過剰に防衛して社会・経済活動を停滞させるか、運悪く感染して、場合によっては死亡という危険に遭遇するかの選択しかないのです。

 日本の 検査の遅れは、異常です。これは、経済活動の長期停滞、家計上では、平均消費性向の異常低下の長期継続という「統計上の確証」という形で出てくると思われます。
 一見新型コロナとは直接の関係ないような「家計調査」も、政府の対応の遅れを確り指摘する数字を見せてくれるのではないでしょうか。
 統計を 恣意的にではなく、正確に設計し正確に読み取る政府であってほしいとつくづく思うところです。

金融、財政大盤振舞いでも「インフレにならない」のか?-5

2020年06月05日 13時10分46秒 | 文化社会
借金が増えても構わなければ・・・
 日本政府の発行している国債の残高は約1200兆円で、GDPの2年分強、GDP比の国債残高は世界一と言われます。
 そしてその約半分を日本銀行が持っているのです。

 二番目に大きいのは、保険年金基金が2割ぐらい。次は銀行で1割強、2011年ごろには半分近く持っていましたが、ゼロ金利なので日銀に売ってしまったようです。
 外国が約1割持っていて、家計の保有は微々たるもののようです。

 この国際的にみても大きすぎる政府借金はIMFにも指摘はされるのですが、IMFもだからどうしろとは言っていないようです。
 借金は大きいけれど、日本経済は、成長率は低いもの、円レートも安定、物価も安定、国際収支は黒字で、他の多くの国と比べても健全ですから、特に言いようがないという事でしょうか。

 政府が借金まみれで、今後も借金の負担は増えそうでも、日本経済への信用が高いのは、日本が万年黒字国だという点が大きいのでしょう。
 つまり、誰かに借金を返せ、と言われない限り、今のような状態を続けられるという可能性は大きいのです。
 
 結局、1900兆円の個人貯蓄と1200兆円の企業の貯蓄が、縁の下で国債を支えていて、国民はみんな「国債は安全な財産だ」と思っているのです。
 海外が持っている1割は円安になれば売られる可能性はあるでしょう。しかし、円安になれば、日本の競争力は強くなって、輸出は伸び、インバウンドの観光客は増えるのです。
 現在の日本は基本的に円安歓迎なのです。

 これが現実であることは、2013年以降の日銀の政策変更で円安になって日本経済が息を吹き返したことを考えればご理解頂けるでしょう。
 
 どうも、日本が赤字になって破産しない限り、政府が赤字でも国債は信用があり、国債の価値が下がったり、ハイパーインフレにはなりそうにありません。
 紙幣というのは日銀発行の「借用証」だという事です。国債も国の借用証です。「借用証」に書いてある額面だけの価値があると信用されていれば、「借用証は財産」なのです。

 ということで、日本経済が外国から見ても信用できるものであれば、国債は国際的にも価値を維持し、国民からも財産として安定的に扱われることになるでしょう。
 勿論国民はいつでも現金にすることが出来ますから、安心して持っているわけです。

 こういう状況の下では、国債の信用が失われてそれがインフレにつながるといったことは想定されません。
それなのにインフレが起きるとすれば、輸入インフレやコストプッシュ・インフレなど従来から観察されている原因によるものでしょう。
 そしてそういうインフレ要因については、2度の石油危機の経験から日本人は対応策を十分に学んでいます。
 
 こう考えていきますと、新型コロナ対応で国債を増発しても、それが「国債紙屑」「ハイパーインフレ」につながって日本経済破滅といったことにはつながりそうにありません。

 日本経済の現実問題は、分析してみるとこんなところではないでしょうか。
 あと、問題があるとすれば、「国債残高は無限に増えていってもいいのか」という問題、つまり「MMTは正しいのか」という事になるのでしょう。
 この問題も序に考えてみたいと思います。