tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

森林面積比率の国際比較

2018年11月30日 23時37分15秒 | 環境
森林面積比率の国際比較
 日本は国土面積が大きい国ではありません。一方、人口は1億2000万人とかなり大きい国です。ウィキペディアによりますと日本の人口密度は世界で34番目だそうです(2009年)。

 ですから、かなり混雑している国という事になるのもですが、その割に日本は、国土面積に対する森林の比率が高い国であることは皆様ご承知の通りです。
 地球環境問題激化の中で、森林の多いことは大変重要ですが、日本の現状は世界に誇るべきものではないでしょうか。

 現在でも日本の国土総面積に対する森林の比率は68%と高く、世界で17番目、先進工業国といわれるような国の中では、フィンランド、スウェーデンに次いで3番目です。
 ちなみに人口密度(人口/国土面積:人/㎞²)フィンランドは16人、スェーデンは20人(日本は336人)ですから、この2国で森林割合が多いのも解るような気がします。

    国土の森林面積比率の国際比較


 主要国の森林比率を見ますと、この図のようになり(世界経済のネタ帳)、歴史や地理的状況などによって影響は受けますが、日本の場合は、「良くこれだけの森林を残してくれた」と我々の先祖に感謝しなければならないでしょう。

 気候風土、地形など種々の影響がある中で、森林比率の高さにはその国の文化も大きく影響しているというのが大切な点でしょう。
ヨーロッパの様に平地が多く、小麦文化が主流の所では、森が切り開かれ、畑や牧草地になっていったようです。

 日本の場合はコメの文化が主流で、これには水の活用と、共同体的な作業形態が重要だったようです。
もともと日本はモンスーン地帯に属し、四季の変化がはっきりしていて、降水量も比較的多く、山岳地帯の森林の保水力が大きく、かつてイザヤ・ベンダサンが「水と安全はタダ」といったように、また諺にも「湯水のように」といわれてきたように、森林のお陰で、水に恵まれた国です。

ただ、山岳地帯が多く、川は殆どが急流ですから、それをいかに稲作農業に使うかの工夫の結果、里山や網の目のような、水路・用水、いわば「春の小川」の様な景観が生まれたのでしょう。

 貝塚に見らえるように水産資源も求めた日本人の先祖は、経験的に、「山を育てれば(森林の多い山)、海も育つ(豊富な海産物)」という関係を縄文時代から理解していたと言われたりします。
 伊勢神宮の祭祀にも、山の神と海の神が年に一度会うという神事があると聞きます。

 鎮守の森はかなり消えましたが、里山の復活への動きは、あちこちに見られます。
 残念なのは、森林行政の失敗という事でしょうか。実語教の「山、高きゆえに貴からず、木あるをもって貴しとなす」と言われた森林資源の活用が、極めて遅れ、嘗ての植林の結果もスギ花粉症の激化ばかりが注目される状況です。

 オリンピック・スタジアムも木造が好まれる時代です、外材に頼らず、国産の森林資源を本気で生かす政策が必要なようです。

米ロ対立、政権維持、国民感情、経済:複雑な北方領土問題

2018年11月29日 12時56分14秒 | 国際関係
米ロ対立、政権維持、国民感情、経済:複雑な北方領土問題
 安倍首相は、自分の在任中に日ロ平和条約を結び、懸案の北方領土問題の解決をしようと大変意欲的です。

 北方領土問題については日本は北方4島といっていますが、恐らくロシアは日本との関係は歯舞、色丹の2島しか考えていないのでしょう。1956年の日ソ共同宣言でも、触れられているのは歯舞、色丹だけです。

 ソ連・ロシアの頭の中には千島列島は自分の領土という事しか多分無いのでしょう。安倍さんはそれも解っていて、北方領土の解決は実質的に歯舞、色丹の2島という事で決着にしようという事を考えての事でしょう。

 表題にも書きましたように、この問題は多様な根っこを持っています。特に最近の米ロ対立の中ではロシアにとって国後、択捉は太平洋への軍事戦略の要としての役割を持ちます。
 ロシアと中国は未だに版図の拡大が強国の条件と信じる二大大国ですが、政権も、国民意識も、領土問題には徹底してこだわるようです。

 すでにロシアは国後択捉でも活発な軍事基地建設を行っているとのことですから、意図は明白です。ロシア人しかおらず、軍事基地建設が盛んな島を日本に返還などという事になるなど現状ではどうにも考えられないというのが常識的な見方でしょう。

 歯舞、色丹についても、日本に返還して、そこに日米地位協定に基づいて米軍基地が出来たら、ロシアにとっては大変だという深刻な危惧があるのも当然でしょう。

 こうした複雑に絡み合う思惑の中で、例えば、ロシアで、国後、択捉を日本に返還すると言ったり、日本で国後、択捉は返還を諦めるなどといったら、反発する国民感情で、政権が揺らぐほどの影響があるでしょうから、政権は安易な発言は出来ません。

 しかし経済的な面から見れば、ロシアにとって、国後、択捉の維持は大きな財政負担になっているはずです。対外的な軍事力の維持という点からは、カネがかかっても仕方ないという事でしょうが、基地の維持は心理戦では効果を発揮するかもしれませんが、現実に使われることは恐らくないでしょう。あったら大変です。

 それに巨額の金をつぎ込むという負担を少しでも軽減しようと、産業振興のためと称して日本の経済協力を得ようと「4島返還」を完全否定しないといった戦略に出ていると読み取るのが自然でしょう。

 もし4島が返ってくるとすれば、世界が平和になり、米ロ対立などは昔の話となり、軍事基地にカネをかけるといった無駄は非常識なこととなり、ロシアにとって、国後、択捉が軍事的価値を失い、経済的なお荷物になった時ではないでしょうか。
 しかしその時でも、国後、択捉で生まれ育ったロシア人にとっては生まれ故郷の大事な土地という感情は残るでしょう。
 領土問題の解決というのは本当に大変なことだと思ってしまいます。

GMリストラ発表、トランプ大統領いよいよ支離滅裂

2018年11月27日 17時59分02秒 | 経営
GMリストラ発表、トランプ大統領いよいよ支離滅裂
 アメリカは何処へ行くのでしょう。益々心配になってきました。
 アメリカの象徴でもあるGM(ゼネラル・モーターズ)が2019年末までに、北米5工場を閉鎖、ホワイトカラー、ブルーカラーを含めて14,000人を削減する方針を発表しました。(韓国の群山工場も閉鎖のようです)

 現状、労組との話し合いで1シフトで稼働率が生産能力を大幅に下回る工場などが中心のようですが、背後には北米での販売台数の減少もあり、今後は電気自動車、AIの活用、自動運転車などの先端分野に注力するとのことです。

 自動車産業としては当然の事なのでしょう。バーラCEOは、「企業として体力のあるうちに手を打たなければならない」といっていますがこれも当然です。
 アメリカの場合、従業員を再訓練して新しい仕事に就けるといった日本的な雇用慣行はないので、従来の仕事がなくなれば、その部門の従業員はレイオフという事になるのでしょう。
 
 こうしたGMの動きにトランプ大統領は大いに不満です。即座に「不快である」と表明し、バーラCEOにその不満を伝えたとのことです。
 勿論不満を伝えてだけではなく、アメリカ国内に新たに工場を作るべきだ、オハイオ州(選挙の激戦区)に帰って来るべきだという要請をし、閉鎖するなら中国の工場を閉鎖すべきだという意見を伝えたようです。

 国内投資と雇用の増加をいわば生命線とするトランプ大統領ですから、GMの今回の方針はまさに逆鱗に触れるところでしょう。

 しかしGMの現実は、生産台数が伸びているのは中国と南米で、北米、ヨーロッパでは減少で、特にヨーロッパは良くないようです。
 いかに大統領といえども、販売の伸びている国の工場を閉鎖し、伸びていない国内に工場を作れと民間企業に言うのはいかがなものでしょうか。

 GMの決断は、アメリカを代表してきた企業として、サバイバルをかけての経営の意思決定によるものでしょう。
 誰が見ても、(トランプさんには都合が悪いかもしれませんが)GMの選択の方が正しいという事ではないでしょうか。

 トランプさんも、中間選挙の結果が不本意なものだったこともあり、いろいろと焦っているのかもしれませんが、考え方や発言が、一層支離滅裂になり、「アメリカを再び偉大な国に」という目標から、益々逸脱して行くことになりそうです。
 いったいアメリカは何処に行こうというのでしょうか。心配です。

大阪万博決定と日本の経済社会

2018年11月26日 23時03分42秒 | 政治
大阪万博決定と日本の経済社会
 2025年の万国博覧会が大阪に決定しました。問題もいろいろあるでしょうし、意見もいろいろあるようです。しかし決まったのですから、これは、日本の総力を上げて素晴らしい万博にするしかありません。

 高齢化した日本です。かつての大阪万博、EXPO70の時の日本人の熱とは大分違うかもしれませんが、矢張り選ばれたからには日本の実力を示して、21世紀の中葉に向かう世界の在り方、その中での日本の役割が理解されるよな万博にしなければなりません。

 今回はフランスのパリが途中で立候補を取りやめた事も幸いしたのかもしれません。パリが取りやめ事もあり、万博のようなお祭りは、もう後発国に任せて、それに参加することで協力し、そうした国の発展に期待するのが良いのではないかといった意見も多いようです。

 私の経験では、中国の場合、北京オリンピックの前と後では、お店の接客態度、トイレの綺麗さなどが大きく変わりました。これは北京だけではありません。オリンピック開催はこんなに効果があるのかと実感した記憶があります。

 今さらまた日本でという感じはしないでもありませんが、安倍総理は100か国に240億円の支援を示して、票集めをしたようです。
 カネで票を買うようなことをしないで、どこまで票が取れたかはわかりませんが、そこまでして借金漬けの政府が万博をという総理の態度には、何か安倍さんなりの理由があるのだろうという何かを感じさせます。

 安倍さんも大阪もカジノには強い思い入れがあるようで、トランプさんとの関係もあり、何とか実現したといった思惑、あるいは行き詰まったアベノミクスを何とかしたといった願い、少しでも支持率が上がればといったポピュリズム、上手く行けば財政再建に役立つかもしれないとの賭け、などなどと考えてしまいます。

 しかし決まってしまったのは事実です。今から辞退とはいきません。ならばやるしかないという事です。
 やるのであれば立派にやり遂げようというのが日本人の心根でしょう。問題は日本として、日本だから出来たという素晴らしい祭りにすべきでしょう。
 大阪にカジノ第一号が出来ればいいなどというお粗末は願い下げです。

 折しも世界は新たな混乱の兆しを見せています。10年前のリーマンショックは金融を中心にした世界経済の混乱でしたが、現状の混乱は、政治・軍事といった国と国との争いがその根にあり、それが世界経済の正常な活動を阻害するという性質のものでしょう。

 万博は世界の祭りですから、祭りによって世界の対立や緊張といった野蛮な状態が止揚できるか先ずを試みるべきでしょう。そのためには「これこそが人類社会、地球社会の将来のあるべき姿」と実感できるような祭り、多様な国、多様な社会の共生・共栄が実感できるような祭りにしてほしいものです。

 戦争をしない日本だからこそ出来る事、人類にとって「平和こそが最高のもの」という事を、2025年、日本の、大阪の万博で実感出来たといった壮大な演出が必要でしょう。
 そうした努力の副産物として日本人に自信がわき、日本経済社会の活動も活発化し、日本人の持つ本来のエネルギーが、改めて動き始めるのではないでしょうか。

カルロス・ゴーン氏の晩節

2018年11月24日 11時54分06秒 | 労働
カルロス・ゴーン氏の晩節
 今回明らかになったカルロス・ゴーン氏の事件については未だ捜査の途上で、明確になったものではありません。
 しかし、大筋はマスコミ報道の通りでしょうか。ゴーン氏本人の問題、フランスと日本の対応の差など、何かいろいろと考えさせられることが多いような気がします。

 我々のような普通の日本人にとっては、あれだけの評価と名声を得て、個人的には十分と思われるような報酬を得ながら、なぜ更にあそこまでカネに固執するのかといった問題、それはルノーでは起きずに日産で起きたという点、事件発覚後の日本とフランスの世論や対応の違い、などなど、良く解らないことが沢山あります。

 個人的は、「残念な事件」といった感じを持つところですが、これは日本人的な感覚という所でしょうか。
 過日も書きましたように日産自動車の業績急回復について「日産の従業員が優れていたから」といったコメントをし、「 日本人の良きフォロワーシップ」を理解しての発言と多くの日本人を感激させました。
 
 その一方で、日本企業のトップとしては破格に高い年間10億円という報酬を、自分の働きに対しては過少という認識を強く持っていたようです。
 この自らの業績と報酬のアンバランスの感覚は、やはり日本人の感覚と差があるように思えます。

 この感覚が、マネーゲーマーたちの巨額報酬に影響されたものか、生まれ育った家庭や国々の教育や文化によるものか解りませんが、日本の経営者の場合には、業績を上げた企業トップでも、それによって、従業員をはじめとするステークホルダーたちが喜び、自分に対し尊敬や感謝の念を持っていてくれるという事に、より大きな喜びを感じているのではないでしょうか。

 トップが自分の上げた業績は自分に帰属すると言うのであれば、従業員にとって、優れたトップを迎える意味はなくなります。
 日本の賃金体系は「 2倍働いて給料2割増し、3倍働いて3割増し」などといわれるように、社会的慣習として、格差社会化を抑制する文化が出来上がっているのでしょう。

 誰かがこうした日本文化の根底にあるものをゴーンさんに教え、ゴーンさんがそれを多少でも理解していれば、ここまでの違法行為は起きなかったのではないでしょうか。

 そんな文化は日本だけで外国には通用しないというご意見もあると思います。とすれば、その文化の違いはどこから来るのでしょうか。フランスではピケティが格差社会化を批判しています。

 やはりこうした日本文化は人間社会にとって良い文化なのでしょう。
 偶々わが家の床の間には「得失一時栄辱千載」という軸がかかっています。これは日本だけの文化ではないのかな、などと思っています。

 ゴーンさんも、こんな事が無ければ稀代の優れた経営者として後世に名を遺したのではいかと思うと何か残念です。

強行採決の予感

2018年11月23日 21時55分03秒 | 政治
強行採決の予感
 外国人労働力受け入れの問題で、与野党の対立が激しくなっています。この問題についてはすでに触れましたが、対立ばかりが鮮明になって、中身の議論がごく断片的にしか見えてきません。

 与党側は何はともあれ急いでいるというのが受ける印象です。まず入れましょう、あとのことは入れてから考えましょうといった気配が濃厚です。
 与党側がこれだけ急ぐという事になると、野党側は反対と言うしかなくなって来るのかもしれませんが、今の状況では、まともな議論はないままに、時間が来ましたという事で強行採決という事態になるしかないような予感がしています。
 
 絶対多数を持っていれば、強行採決で何でもできるというのが、これまでの安倍政権の姿勢ですが、少し本気になって、国内体制の整備も含め、与野党も、日本社会も、送り出し国も、そして、受け入れ企業の態勢も、来日する外国人労働力の方々の期待も、それなりに納得することが出来るようなきちんとした環境整備を本気で考え議論することが必要なはずだと思ってしまいます。

 多くの人々が国境を越えて移動するのです。いろいろな問題があるのは当然です。そうした議論もきっちりすることもなく、まず入れよう、そのためには強行採決しかない、といったアプローチで本当にいのでしょうか。

 また、国会中継であの知性のかけらもないような混乱した様相を見せられるのかと思うと、多くの人が本気で、こんな政治でいいのかという気持ちになっていくのではないでしょうか。
 ああしたシーンは、もう国民に見せないでほしいと思うや切です。

ラーメン日高屋の日本型労組結成

2018年11月21日 12時02分43秒 | 労働
ラーメン日高屋の日本型労組結成
 今日、新聞で中華料理・ラーメンの味を誇る日高屋(株式会社ハイディ日高)で、「ハイディ日高労働組合」が結成されたという記事を見ました。
 記事の内容、その名称から見ると企業別労働組合だと思いますが、すでに「UAゼンセン」に承認されて連合の傘下に入っているとのことです。

 日高屋は400の店舗を首都圏に展開していますが、従業員数は9000人で、その内3割が外国人労働者、9割近くが非正規従業員という事です。

 非正規従業員が合同労組などに加盟するというのは多ですが、こうした非正規従業員の多い企業で企業別労組が出来るというのは珍しいのではないでしょうか。
 記事によれば、企業側、労組側双方に取材しているようなので、企業側も、それなりに(あるいは歓迎して?)認めての企業内労組の設立という事でしょう。
 この労働組合の活動が今後成功していけば、日本の企業別労使関係に新しいものが生まれるような気がするところです。

 ご承知のように労働組合を企業別に組織しているのは世界でも、日本とバングラデシュぐらいでしょう。
 もともとヨーロッパでの労働組合の発祥は職能別組織で、産業別組織が出来ても、基本は「どの企業でも同じ仕事をしていれば同じ賃金」、つまり同一労働同一賃金などの権利をを確保し、その向上を狙うためのものでした。

 日本の様な企業別の労働組合では、当然企業別に賃金水準は違います。日本では非正規従業員を除いて賃金体系・水準は企業別に決まっています。
 非正規従業員のパートなどは、日本でも地域別のマーケットが出来ていて、地域別、仕事別の企業横断賃金になっています。

 ところが、 政府の決めた「同一労働同一賃金」は、企業の中の問題で、「その企業の中で同じ仕事をしていれば同じ賃金」という事です。

 今後日高屋で、従業員がやる気を出して、業績が上がれば、その分「うちは業績がいいから時給がよそより高い」という事も可能になるのでしょう。
 これを「同一労働・同一賃金」というのが日本の法律ですから、企業別労組の設立が、どんな結果をもたらすかには大変興味があります。

 そのほか、賃金以外の福利厚生、などについても、企業内の労使交渉で、日高屋独自のものが決められることになりそうです。
 日本的な技能を身につけるだけでなく、日本的な仕事の仕方、日本的な職場の在り方、(人間関係)、そして日本的労使関係、さらには日本的経営など、外国人労働者が、この面から日本文化の一面を知り、その評価をすることにつながるかもしれません。

 UAゼンセンは以前から、多様な労働組合を組織し包括するのが得意ですが、日本的労使関係に興味を持つ私は、日高屋の労使関係に興味津々です。

バーゲン・ディールと正価主義

2018年11月20日 17時12分36秒 | 国際関係
バーゲン・ディールと正価主義
 このテーマで書こうと思っていたところに、日産自増車のゴーンさんの事件が飛び込んで来ました。
 コストカッターの名を恣にし、日産自動車を建て直し、「素晴らしい日産の従業員がいたからこそ出来た」と言っていたゴーンさんですが、何か残念です。
Ghosn is gone! ゴーン イズ ゴーン(ゴーンは去りぬ)というと、何か淋しいですね。

 ところで本題に戻りますが、トランプさんはディール(deal)の名人をもって自ら任じているようです。ディールというのは相対取引です。1対1です。
 結果は通常「勝った・負けた」で結局は上手(うわて)の方が勝つようです。

 多国間交渉になるとそうはいきません。だからトランプさんは多国間交渉は嫌いなのでしょう。

 日米間の貿易問題も結局二国間交渉になりました。日本はTAGといい、アメリカはFTAといっています。
 ここですでにディールの上手、下手の差が出ているようです。
大抵は、ディールの巧い方、力の強い方、度胸のいい方が勝つようですが。TAGなどという英語の略語を作ってみても、アメリカの方は,ちゃんとその後にother key areas including services とついているのです。まず最初の交渉は負けのようです。

 英語が読めなかったわけではないと思いますが、大体日本人は真面目で額面を信用してしまう癖があります。
 皆様も(勿論私もそうですが)外国で買い物をするとき「値切る」という事をしなかったり、値切ってみても、結局相手の方が上手(うわて)で、高いものを買わされたりという事が多いのではないでしょうか。

 取引(deal)で言えば、日本人は「正価主義」で正札を見て真面目に受け取るという癖がついています。
大体相手の言い値などというものは信用しない、交渉を巧くやって、どこまで巧く値切り倒すかが腕の見せ所といった文化は、日本では遠い過去のもののようです。

例えば、労使関係の交渉ではdealは下品という事でしょうか、バーゲン(団体交渉=collective bargaining)という言葉を使います。昔は大幅賃上げといっていましたが、今、連合は「日本経済にの実態に見合った賃上げ」という正札主義です。

日米の文化の違いを考えますと、年明けから始まるTAG対FTAの日米貿易交渉は、日本には大変難しいものになりそうです。

ハッタリをかませるdealの巧者になれとは言いませんが、アメリカ経済の問題点を的確に指摘しながら、立派な交渉をやって頂きたいと思っています。

APECを前に米中舌戦:残念なアメリカの現状

2018年11月18日 13時05分49秒 | 国際関係
APECを前に米中舌戦:残念なアメリカの現状
 パプアニューギニアでのAPECの首脳会議を前に、中国の習近平主席とトランプ米大統領の代理で出席するペンス副大統領の演説のニュースが入ってきました。

 この両方を拝見しますと、何か中国の習近平さんの演説の方が、世界を広くとらえ、自由で公正な経済圏を創るという理想論を堂々と主張しているように見えてしまいました。
 特にその中で、「保護主義、一国主義の古い道は世界経済の不確定性を増すもの」といった所を見れば、中國こそが正論を主張する国という印象を受けます。

 習近平さんのこの発言は、当然「アメリカ・ファースト」を掲げ、関税障壁で貿易赤字を防ごうという今のアメリカの姿勢への批判であり、そのまま受け取れば、アメリカは一国主義で自己中心、中国は開かれた経済を大事にし、国際秩序を尊重する国、という事になってしまします。

 もし、アメリカが、従来のように、自由貿易を中心に開かれた世界経済システムが世界の経済発展を進めるものだという主張をしていれば、中国は、上の様な発言で中国の経済政策の正当性を主張しても、今回の様な説得力はなかったでしょう。

 もともと中国については、南シナ海問題での(国際) 仲裁裁判所の「判断」を「紙屑」といって無視し続けたり、知的財産権については数々の問題を起したり、最近は、アジアやアフリカの新興国に過大な融資をして、財政破綻に陥らせたり、自国中心の行動が目立つところです。

 もし、アメリカが、従来の国連やWTO といった国際機関を大事にし、多国間の協定を中心の国際問題を解決しようという姿勢で進んでいれば、中国はアメリカの自国中心を批判することはなく、APECもアメリカの自国中心主義問題ではなく、世界第二の経済大国である中国の問題行動についての議論が重視されることになったのではないでしょうか。

 現実には、中国はまだまだ途上国の部分を多く残し、国際的に見れば、もっともっとお行儀のよい、国際協調重視の国になってもらわなければ困るという状況にあるのです。
 特に、中国経済の巨大さと急速な経済発展を考えれば、これは焦眉の急ともいえる問題でしょう。

 にも拘らず、アメリカがトランプさんのもと、突然に方向転換し、アメリカ自身が目指してきた戦後の世界の政治・経済体制に反するような態度を取り始めたため、中国に、アメリカを批判し、中国の行動を正当化するといった対応を可能にしたという事になるようです。

 どうも、世界の発展をリードしてきたアメリカの予期せぬ方向転換が、世界の正常な発展に歪みを生じることは明らかなようです。

 米中抗争に対し、第三者としての国々、特に主要国はどう対応するか、そしてアメリカ自身の良識(良心)が、何時いかに甦るか、事態が残念な方向に進むことを何とか避けたいのが地球人類の本音ではないでしょうか。

パワハラと忖度

2018年11月17日 12時27分14秒 | 社会
パワハラと忖度
 一昔前でしょうか、セクシュアル・ハラスメントという言葉と概念が入ってきて、セクハラという日本語になり、サラリーマン社会にショックを与えました。
 その後、ハラスメント(困らせる・悩ませるといった意味)の使われる範囲も広がり、最近マスコミに登場することの多くなったのは「パワハラ」で、これはパワー・ハラスメントの日本語です。

 セクハラは性という立場を利用して相手を悩ませる(通常、男性が女性に対して)という事で、一方、パワハラの方は権力を持っているという立場を利用して相手を悩ませるという事でしょう。
 
 通常こうした「○○ハラ」というのは組織の中での問題ですが、ハラスメントという事を一般的に理解すれば、学校での「いじめ」とか、親の子供への「虐待」なども問題の根っこは同じでしょう。

 「 加害者と被害者」でも指摘しましたが、最近は、加害者が加害者であることを自覚しないケースが多くなったように感じられることが多いので、こうした加害の問題が隠蔽されずに取り上げられ、人間同士の不必要な軋轢を少しでも少なくしようというのは大変結構なことと思います。

 こうした組織の中の人間関係の延長線上で考えてみますと、どうしても、最近使われる「忖度」という言葉が出てきてしまいます。

 「忖度」も場合には、暴力的言動や嫌がらせで相手を従わせるのではありません。しかし、相手に、悩みつつも権力に従うしかないと選択させるのでしょう。
 この場合は、相手(部下など)が自分自身に言い聞かせて、あるいは自分自身にそう信じ込ませているので、表面は「自ら進んでやった」ようにしながら権力に従わざるを得ないという状況を作り出しているわけです。

 ある意味では、これは組織というものの在り方を利用した「最も巧妙な」ハラスメントという事になるのでしょう(でなければ人格改造)。
 確りした組織が出来上がりますと、上司は部下の「生殺与奪」とまではいかなくても「それに近い」権力を握ります。

 地位の高い国家公務員や、さらには大臣でさえも、「私を任命してくれた方に尽くすのが本分」などと平気で言ってしまう人が現実にいるのです。組織における権力とは恐ろしいものです。本当の本分「国民のために」などという意識は消えています。

 恐らく、心理的には「名誉」とか「昇進」とか「給与水準」とか「家族の暮らし」といったものが潜在するのでしょう。
 こうした心理的な状況は、組織そのものの強い圧力によって生まれるのだと思われますが、その中核を成すのが「人事権」という事になるようです。

 例えば森友問題では、「適材」と評価され昇進した高級公務員と悩みに耐えられず自らの命を絶った担当の公務員がいたとのことです。

 「パワハラ」の場合は、立場による権力(パワー)の行使が表面に出ます。思慮のない、あからさまで、単純な粗野な行為という事なのでしょう。
「忖度」の場合は、権力の行使といったものは、何も表面には出ません。それだけに恐ろしいのではないでしょうか。

 過度な「忖度」が一般化するとき、その行く末は「権力主義、独裁」につながるように思われます。こうした「忖度」は、かりそめにも「他人への心遣い」などという美しいものとは無縁でしょう。

単純労働者受け入れ問題:こんな国会論議でいいのか

2018年11月15日 18時14分50秒 | 政治
単純労働者受け入れ問題:こんな国会論議でいいのか
 この問題については去る11月3日に基本的な視点は述べたつもりですが、いよいよ国会での具体的な審議の段階になって、与野党の動きを見ていますと、問題が大変重要で、また微妙な点も多いことが広く知られた中で、こんな取り組み方でいいのかなといった感じを強くします。

 与党は、成立を急いで、中身は急ごしらえでも一応受け入れ業種や受け入れ人数なども出して、中身が無いという野党の意見については答えているように見えますが、業種と人数が出て形が出来ればいいという問題ではないように思います。

 この問題には前述しましたように、2つの大きな問題があることは広く知られています。1つは、今は人手不足でも、景気が悪化した時の準備が出来ているかどうかという問題、もう1つは、受け入れた人たちの文化的な統合をどう考えるかという問題です。
 
 安倍さんは移民の受け入れではないと言っていますが、外国人労働力を受け入れたからには、何時かはこの問題が絡んでくるのは常識でしょう。
 パート感覚で「要らなくなったらいつでも首が切れる(帰国させられる)」という前提で受け入れるのでしょうか。
 こちらはそう考えても、相手も同じ人間で、それぞれの希望や考え方を持っています。

 日本人でしたら、首を切ったで済むかもしれませんが、外国人の場合は、「帰国」という問題が付きまといます。「仕事がなくなったからどうぞお帰り下さい」で済むのでしょうか。
 
 実は受け入れ業種や人数の問題より先に、こうした人間を扱う時の基本的な問題を十分議論し、長期的な視点で後から「予期しなかった問題が起きました」というようなことがないように、与党と野党、さらには経営者団体、労働組合も交えて、出来るだけ納得性のある、日本にとっても外国にとっても、それぞれの労働者にとっても、日本の受け入れ方は理解できると言ってもらえるような方法を検討し準備するべきではないでしょうか。

 今の状況は、「今、人手が足りないから急いで入れるべきだ」という近視眼的な行動と、「そんな急いだ中身のないものは認められない」というごく単純な是か非かの与野党間の論争しか見えてきません。

 これでまた、本質論議のないままに、時間が来たから強行採決といった結末になるのでしょうか。そんなことでは、国民の、政府への信頼、国会への信頼は薄れるばかりではないでしょうか。

 モリカケや、カジノの様な事の繰り返しを今国会でも見るのかと思うと、国民はますます憂鬱になるのではないでしょうか。

日本銀行のB/S膨張、GDPを上回る規模に

2018年11月14日 14時51分16秒 | 経済
日本銀行のB/S膨張、GDPを上回る規模に
 日本銀行は「営業毎旬報告」を出しています。私も初めてネットで拝見しましたが、日本銀行のB/Sが出ていました。

 資産の部を見ますと上から(単位:千円)
・金地金  441,253,409
・現金   279,490,480
・国債 469,140,954,249
などとなっていて資産合計は、553,592,278,459(千円)、つまり553兆円です。
 
 負債および純資産の部を見ますと
・発行日銀券 104,907,365,564
・当座預金  391,936,075,924
・資本金       100,000
・準備金    3,222,672,796
などとなっていて合計は資産合計と同じです。(注:銀行簿記ですから当座預金は市中の銀行から預かっている分で負債になります)

 結局日銀の、B/Sのほとんどの部分は、市中銀行などから買い上げた国債で、その対価のかなりの部分が銀行からの当座預金として、日銀に預けられているという構図です。

 ところで何故こんな数字を見ることになったかといいますと、今朝の某紙に日銀のB/Sの規模がGDPを越えたという記事があったからです。
 日本のGDPは平成29年度の政府の実績見込みによれば550.3兆円ですからこれより3兆円余多くなっています。30年度の政府見通しは564兆円ですから、「追いかけっこ」という所でしょうか。

 日銀のB/S がGDPより大きくなっても、特別な意味があるわけではありませんが、記事が示唆するのは、つまりは政府の国債発行を支えるために日銀が市中の国債を買い上げ、銀行に新発債を買う資金を供給しているという事なのでしょう。
 日銀が市中の銀行から国債を買い上げて支払ったお金が、日銀に当座預金として還流しているのでしょうか。

 10年前の平成20年末の数字を見ますと資産の部の国債は63兆円、負債の部の当座預金は15兆円ですから、国債の増加と当座預金の増加が両建てになっていることが解ります。
 このうちどのくらいにマイナス金利(-0.1%)がついているのか解りませんが、それでも本来市中に貸し出されると想定したおカネが活用されずに、(マイナス金利)の日銀に還流しているというのは、見込み違でもあり異常です。

 改めて端的に数字で見れば、日銀の国債保有がこの10年間に63兆円から469兆円に増え、日銀の当座預金残高が15兆円から391兆円になっているというのは(書きながら私も信じられない気持ちですが)、経済政策(アベノミクス)が所期の効果を上げていない事の証左のように思われます。

 これだけ市中にカネをばらまいても、企業も、家計もお金を使わずに、余ったおカネは日銀に還流し、マイナス金利で銀行は(金を預かっても、預けても金利を取られ)四苦八苦、道を誤る銀行まで出現するというのが現状という事でしょうか。

 財政・金融政策が、効果を示さないというのは、「全く別の原因」があるからでしょう。
 見当違いの政策を取っても、効果のないことを実証する結果の数字のように思われますが、如何でしょうか。

第一次世界大戦終結100年:人類は二度の世界大戦から何を学んだか

2018年11月12日 15時01分52秒 | 国際関係
第一次世界大戦終結100年:人類は二度の世界大戦から何を学んだか
 11月11日は第一次世界大戦の終結から100年という日でした。フランスでは世界数十カ国の首脳を招いた大規模な記念式典が開かれました。
 日本からは副首相兼外務大臣の麻生さんが出席されたとのことです。

 100年という区切りは勿論意味を持ちますが、同時にマクロン大統領の心の中には、最近とみに高まった自国中心主義への動きなど、世界の平和的協力、協調関係に風波を起すような動きがあちこちに見られる事への強い懸念があったのでしょう。

そうした動きに、この機を逃さず警鐘を鳴らし、世界各国に結束して平和な地球人類社会の発展への協調を呼びかけたい(呼びかけなければならない)といった強い意志があったと感じるところです。

 フランスのパリには「戦争は人の心の中で始まるものだから、平和の砦は人の心の中に築かなければならない」という憲章前文を掲げる「ユネスコ」の本部があります。
 今、トランプさんのアメリカは、そのユネスコからの脱退を表明し、分担金を払っていません。

 11月11日の記念式典挙行の一方で、今の国際情勢は、第一次世界大戦前や、第二次世界大戦の前の状況に何か似てきている、あるいは酷似しているといった意見、論説などが、あちこちで出ているようです。

 確かに「戦争は人の心の中で始まる」ものですが、国と国との争いですから、矢張り国民がその気になる(させられる)という事でないと可能ではないでしょう。
 人類が経験した二度の世界大戦は、矢張り国民がその気になって始まったのでしょう。そしてその国民の意思統一は「ナショナリズム」という形で出来上がったようです。

 結果的に「ナショナリズム」という言葉は、戦争にも繋がりかねないという危険性を孕む言葉として受け取られることが多くなってきています。
 そして、観察してみれば、所謂ナショナリズムは、「我が国は被害者である」という 被害者意識がその根底にあることが極めて多いようです。

 今、アメリカでは、トランプさんの「アメリカ・ファースト」という言葉に熱狂する人が多いようですが、これが、我々は被害者だという意識と共にナショナリズムにつながる可能性もあると懸念する人も多いでしょう。
 だからこそ、中間選挙の下院民主党過半数という結果に、やはりアメリカの良識は健在と安堵する人も多いのではないでしょうか。

 アメリカという世界の覇権国、基軸通貨国の大統領の言動は、やはり世界のいろいろな所に影響力を持ちます。その結果でしょうか、メディアでは最近「ミニ・トランプ」といった言葉がよく見聞きされます。意味するところは誰も解っています。

 二度の世界大戦を経験した人類が、また改めて世界大戦を起すことなど、通常は考えられませんが、平和を希求する人類からすれば、「君子危うきに近寄らず」が賢明な選択ではないでしょうか。
 
 ヨーロッパでは、二度の世界大戦を戦った相手同士の 「仏・独」が今や世界平和を希求する最強力な二国になっています。
 改めて人類は、二度の世界大戦の惨禍という経験を、これからも何時までも忘れず生かしていくべきではないでしょうか。

わが家の皇帝ダリアも咲きました

2018年11月11日 12時22分36秒 | 環境
わが家の皇帝ダリアも咲きました

 今年は台風が何度も来て、皇帝ダリアは難しいかなと思っていました。
 春先に出てきた芽は順調に4本も伸びて、今年は賑やかになるかな、お隣に迷惑をおかけしないようになるべく広がらないようにしようなどと思っていましたが、22号、24号の時は「これでダメかな」と、その時は観念しました。

 案の定、24号のときは直撃され、3本は根から折れ、1本だけお隣との塀に寄りかかって辛うじて立っていました。根を見ると折れていなかったので、早速折れた3本で3方から支えるようにして縛り、真っすぐに立て直しておきました。

 皇帝ダリアの幹(茎)というのは9月頃までにどんどん伸びて2mぐらいになり、幹は太くなって、直径5~6cmぐらいになったところで、一旦成長が止まるのです。
 どうしたのかと思っていますと、10月中旬ぐらいから、その上に若い芽が伸び出し、それが50cmか1m近くなってそこに蕾が鈴の様に沢山ついて、風が冷たく感じられうようになると咲き始めるというのが特徴のようです。
 沢山蕾がついて全部咲いたら綺麗だろうと期待していると、一夜の霜で花は全滅といった儚い所も特徴です。

 今年は未だそんなに寒くないので、少し長く花が楽しめそうだと思っています。何と言っても大きくて立派な花ですから。

何のための軽減税率でしょう?

2018年11月09日 12時34分44秒 | 政治
何のための軽減税率でしょう?
 消費税増税で軽減税率が賑やかになっています。
 典型的には、飲料(除酒類)・食料品は持ち帰れば8%に軽減、しかし外食の場合は10%という事になるのだそうで、これに伴う冗談か笑い話かというような事が真剣に議論されているようです。

 食料品店で飲食コーナーがあって、そこで食べる場合は10%になるという事で、そこで食べるか、持って帰るか監視していなければならないとか、コンビニなどで飲食コーナーが無い場合でも、店の中で食べる人がいると困るから、店の中で食べないように張り紙を出すべきだとか、コンビニの軒下の自転車置場や駐車場は店の中と看做すべきだとか、やっぱり外だとか意見はいろいろです。

 さらにテイクアウトや持ち帰りについては、本人の意思確認とか面倒なことになるようですが、店で半分食べて、食べ残しを持って帰る分はどうすべきか、お土産の分を食べてしまったら追加の税金を払うのかとか、料亭でのお土産もテイクアウトと同じだとか、お店も客も解釈に困るような問題を並べてみれば、軽減税率を間違いなく適用するのは至難で大変な面倒がかかりそうです。

 本来税金というのは「解り易い」ことが大変大事なはずです。解りにくいと必ず脱税に利用されます。トラブルになるとまた手間がかかります。手間、つまり人件費は最大のコストです。

 そのうえ、軽減税率で税収はその分減らざるを得ません。消費税は全額社会保障費へというのが政府の約束ですが、その分社会保障の改善は遅れます。一方、減税は高額所得者にも均等に及びます。

 軽減税率はもともと公明党の主張だったと記憶しますが、庶民のためを標榜してきた公明党です、中小店舗に多大の困惑や面倒を掛けたり、消費者を戸惑わせたり、社会保障の改善を遅らせたりするような軽減税率は、庶民のためにならないから、税金は一律に取って、それを社会保障政策として適切に配分したほうがいいと考えを変えて頂けると、随分助かる人がいるのではないかと思ったりするところです。

 お役所も軽減税率のために多大な手間をかけ、その上お店や消費者を戸惑わせ、その上、多分社会的なコストはかなりのものになるでしょう。
 まだ1年近くありますから、軽減税率は「やっぱりやーめた」という事にすればみんな随分さっぱりするのでしょうが、どうでしょうか。