tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

2:政治は荒れ模様、経済は片肺飛行、さて来年は?

2018年12月31日 22時11分03秒 | 政治経済
2:政治は荒れ模様、経済は片肺飛行、さて来年は?
 選挙公約に義理堅いトランプさんの行動は世界中に波乱を巻き起こしています。お蔭様で国際関係は先が読みにくくなり、ますます不安定化しそうで心配ですし、それがアメリカ経済にも世界経済にも影を落とす可能性が大きくなっています。

 さて、戦後最長の好況持続を目前にした日本経済ですが、12月に発表した政府経済見通しのようにいくのでしょうか。年末の株価暴落は何かの前兆でしょうか?

 政治の面では、今年に入って特徴的なのは安倍政権の強引さが目立ってきたことです。モリ・カケの強引な幕引き、行き過ぎた春闘介入、働き方改革は強行採決、さらにカジノ、外国人労働力受け入れと数を頼んだ強行採決が日常となってきています。

 一方に日米間の交渉事では、FTAをTGAと言い張って見たり、総理からは聞けないことがアメリカ側から次々と(戦闘機購入など)入ってきたり、女性閣僚が一人でも、3人分働いてもらえばいい(3人いるのと同じ?)と言ったり、最近では、バブル絶頂期の賃上げ率5%を経団連の会合で引き合いに出したり・・・、といった状態です。

 消費税増税では、本来、社会保障の充実、財政再建を目標とすべきところ、軽減税率で選挙の得票に重点を置き換え(?)たり、北方4島が還って来るとは国民も思っていないだろうと発言したり、突如としてIWCから脱退したり、国民に何も知らせないままに政治が動いていくのが当たり前になりつつあります。(これらは総てその都度、取り上げています)

 まさか、最後の3年だから勝手にやらせてくれというのではないでしょうが、真摯に丁寧に説明するという常套句は何処へ行ったのでしょう。

 こうした政治の多様な問題を孕みつつも、勤勉な国民の性格、企業労使の努力によって、日本経済は何とか低空飛行ながら安定した状態を保ってきました。
 国家財政は世界での最悪の部類ですが、アメリカ(リーマンショック)のように破綻しても、外国に迷惑をかけるようなことはありません。

 そして実体経済は弱いながらもなんとか自力の成長を続けています。ただ、問題は経済成長の中身が、投資中心で消費が委縮し、いわば投資中心の片肺飛行になっていることでしょう。

 バランスの取れた健全な成長路線に乗せるためには、消費の活発化が必要ですが、これは政府の勝手な思い込みから、なかなか実現に至りません。
 具体的に言えば、「将来不安が家計の財布のひもを固くしている」という事でしょう。

 政府の役割は、国民の将来不安の解消ですが、政府のやっているのは企業に賃上げをしろという毎年の春闘介入ばかりです。
 消費税増税による消費の落ち込みには異常に気を使う政府ですが、国民の将来不安に対しては、逆に、財政再建の約束を反故にする、年金支給を遅らせるなど、将来不安を煽るようなことばかりです。

 政府の巨大な借金に、金利の面でお役に立とうというのでしょうか、日本銀行はゼロ金利をいつまでも続け、金融機関は消耗し、国民は貯蓄が金利を生まない不胎化政策に泣いています。
 
 それでも国民の勤勉さに支えられて、何とか前進してきている日本経済ですが、アメリカ発の世界経済、日本経済へのマイナスの影響などが心配され、今回もまたアメリカ発か!といった事になる可能性も無きにしも非ずです。

 投資片肺飛行経済ではどうしても外国の需要頼み、輸出頼みになり、アメリカからの風当たりは強くなるでしょう。
 新年からでも、是非、国民の将来不安の払拭するような、国民が本気で頑張る目標を持てるような政策を、「国民の意見をよく聞いた上で」強行採決してください。多分その時は強行採決は必要なく全会一致になるでしょう。
 来年も主要な問題は、安倍政権の政治姿勢にあるようです。

2018年の回顧1:矢張りアメリカ主導の世界

2018年12月30日 23時36分00秒 | 国際経済
2018年の回顧1:矢張りアメリカ主導の世界
 年末なので、今年を振り返って、より良き来年のためにと考えなければならないでしょう。
毎年書いているように思いますが、切れ目のない時の流れに切れ目をつけて、過去を振り返り将来を思い自らを律するというのは、まさに人間の知恵でしょう。

有史以来、いやその前からでしょうか、その切れ目を入れる時期として、人類はこれから日が長くなるという時期を選んできたようです(当然より多くの人類が住んでいた北半球の話ですね)。
 これから日が長くなる、暖かくなる、自然も改めて成長を始める、人間もそれに合わせて、改めてより良い日々を過ごしていきたいとか、そのために努力しようとか考えてきたのでしょう。

 自然を眺め、その生命力を感じながら、人間は本能に加えて、思考の中にそうした時間の区切り方を確立してきたのでしょう。
 ・・などと余計なことを書いてしまいましたが、今日・明日の2回は、何とか、今年を振り返ってみたいと思います。

 つい先月まで、日本経済は、戦後最長の経済成長の持続を達成し、スローペースではあるが、まだまだ好調を続けるのではないかと見られていました。しかし年末も近くなって、アメリカの株式市況が大幅な下落を繰り返しました。日本も、アメリカ以上の下げ幅を記録しました。 
 
 もちろん日本だけではありません。やはりこうしてみると、世界経済は何はともあれ、未だに「アメリカ主導」という事が実証された形です。

 こうした変化は、トランプさんが「アメリカ・ファースト」を掲げて大統領になってから、何となく懸念されてきたとこですが、中間選挙で下院における民主党の躍進を受けて、所謂レームダックになりかけているトランプさんという事になって、ツキが落ちたという事でしょうか。アメリカ自体の先行きの不安定が増すことになったようです。

 アメリカが国際関係のネットワークの中で、敢て自己中心の孤立をも辞さずということになると、TPPをはじめ「アメリカ・パッシング」の様相が出て来てはいましたが、やはりアメリカはメインプレーヤーの役にあるようです。

 世界の面倒を見ようというアメリカが、突如、自国中心と言い、そうした行動を部分的にでも取り始めると、国内でも対外関係でも、アメリカはバランスを失う所が出て来ましょう。それがさしあたって、不安感の増幅となって、株式市場に影を落としたという事にほかなりません。

 このアメリカの不安定さが、中国をはじめ、世界の国々に(当然日本にも)具体的に如何に影響し、それが実体経済にどう響いてくるかで、今後の世界経済情勢、日本経済に思わざる負の影響を与える事も予想も範囲に入って来るという事ではないでしょうか。

 アメリカ自身の経済社会が安定状態に軟着陸するか、それとも多発するトラブルの処理を誤って一層の混乱をきたすか、今のアメリカが、従来と違ったものになりかけているだけに予想は大変難しいのではないでしょうか。

新年の世界は、アメリカがなるべく過ちを少なくするように、アメリカ自身は勿論、世界主要国も連携して努力すべきでしょうが、それも現実には至難ではないでしょうか。

 その中で日本に必要なこと、日本の為すべきことは何なのでしょうか。明日大晦日のこのブログでもも考え続けていかなければならないようです

問題の毎月勤労統計:本来はサンプル調査ですが

2018年12月29日 23時51分30秒 | 労働
問題の毎月勤労統計:本来はサンプル調査ですが
 厚労省の基幹統計「毎月勤労統計調査」に調査方法に手抜きがあったことが問題になっています。

 この統計は本来サンプル調査で、国勢調査のような「センサス」(全数調査)ではありません。(毎月勤労統計調査の母集団は「事業所統計」でこれは全数調査です)
 しかし、業種別、規模別、男女別、年齢階層別、正規、非正規別といった内訳についても統計的に誤差の範囲が限定されたものにするためには内訳についてもいて一定以上のサンプル数がないと、誤差の範囲が拡大してしまって、正確な統計になりません。

 勿論サンプルの取り方が統計理論に則ったもの、例えば層別・多段のランダム・サンプリングといった方法できっちりした方法によらなければなりません。

 その中で、分類別に区分していって、例えば、卸売業で規模500人以上の事業所、女性、正規労働者などといった形ですが、細かくすればするほど、対象事業所の数が少なくなって、サンプリングをすると偏りの出る可能性が大きくなりますから、そういう場合は全数調査にするといった事にならざるを得ません。
 
 今回は統計の設計上サンプル数が少ないので、全数調査にすべきところを、手間を減らすためでしょうか、サンプル調査で間にあわせた、という事のようです。
 通常、最終サンプルの数が500以上あれば、統計的に有意などと言われますが、今回の場合はどうなのでしょうか。

 サンプリングにしたが、統計的に有意と言える範囲なのかどうかという事が、統計業務をやる人には生命線だと思います。
 
 勿論、基幹統計(かつての指定統計)に回答しないと罰則がありますから、統計的有意が担保されるわけですが、手間を省くために、真面目に答えてくれそうな会社をサンプルに入れるようなことがありますと、そういう会社はいい会社(事業所)が多いですから、例えば賃金水準が高めに出るといった偏りが起こり得ます。

  このブログでも、毎月勤労統計からみて、今年に入って賃金決定の様相が少し変わって、高めいなったと指摘しましたが、せめて、「手は抜いたが、サンプリングは統計理論に基づいていいて、この調査結果は、そんなことで出たものではないことを願っています。(ちょっと冗談が過ぎましたか・・・。)

兵器の進化と戦争の未来

2018年12月28日 17時08分15秒 | 国際関係
兵器の進化と戦争の未来
 ノーベル賞創設者のA.ノーベルは、自身の発明した大量殺戮を可能にするダイナマイトの使途を心配し、ノーベル賞創設を遺言したと言われます。
物質とエネルギーの関係(e=mc²)を解き明かしたA.アインシュタインも、核分裂が兵器使われたこと(広島、長崎)を知り「あの公式を発表すべきではなかった」と深く悩んだと言われています。

 科学技術の発展は、人類に無限の可能性を与えてくれる大切なものですが、問題は、人類がそれをどう使うかにあるのでしょう。
 宇宙開発、AI関連の急速な進歩は、我々に多くの可能性をもたらしてくれるのでしょうが、こうした科学技術の進化に比べて、人間の道徳や倫理観の進化は圧倒的に遅れているように感じられます。

 こんなことを書いたのも、今、宇宙開発、AIの活用が軍事分野で急速に進んでいる様相が見えてきているからです。

 宇宙こそ地球人類全体のために役立つ「平和利用」に徹するべきという理念は宇宙開発の当初からあったと思います。
 現行の宇宙ステーションは、まさにその理念に基づき、米ロが協調し、日本なども協力して遂行している事業だと思っています。

 しかし、そこにトランプ大統領の「宇宙軍創設」という発想が飛び込んできていました。何をどうするのか中身は解りませんが、同じようなことをロシアや中国が言い出したら、どうなるのでしょうか。
 まさか、皆で協力して異星人の攻撃から地球を守るという事でもないでしょう。

 人工知能(AI)を使った兵器の開発も進んでいるようです。これは無人で敵を攻撃することを可能にすると言われていますが、第二次大戦で日本を焦土にしたB29が無人で飛んでくるようなものでしょうか。これは局地戦でも使えますから大変です。

 応戦する方も無人で応戦するという事になったら、戦争はゲームになるのかもしれません。人間は背後にいて、機械同士が戦うという事になったら、つまるところはコンピュータ・ゲームでしょう。人類は一体何をしようとしているのでしょうか。(<影の声>いっそ、思い切って、戦争はコンピュータ・ゲームで済ますようにしたらどうですか。)
 
 未だ現実味が無かったからでしょうか。国連の宇宙条約には不備な点が沢山あるようです。しかし、国連広報センターによれば、国連宇宙空間平和利用委員会、小委員会は毎年開かれているとのことです。

 やはりこうした問題は、国連が世界をまとめる要として機能すべき問題でしょう。国連のやるべきことは、ますます増えてきているのが現実です。
しかし第二次大戦の不幸な経験の反省から、まづは戦勝国の協力体制から出発と、折角作った国連のガバナビリティーは国連常任理事会に見られるように、現状では体を成していません。

 科学技術の進歩を喜びながら、その一方でその軍事利用の心配も大きくなっていくといった状態を、このまま続けていて本当にいいのでしょうか。問題山積の年の暮れです。

エスカレートする官製春闘、3%から5%へ

2018年12月27日 23時15分53秒 | 労働
エスカレートする官製春闘、3%から5%へ
 今日もまたビックリするニュースが飛び込んで来ました。昨日はIWC脱退という国際関係でしたが、今日のニュースは労使関係という国内問題です。

 昨日の経団連の審議員会に来賓として出席した安倍総理が、来賓挨拶の中で今年も「賃上げをして下さい」いったというニュースです。
 しかも昨年までは3%と言っていたのを、今年は「あくまで参考だが、平成元年は5%だった」と付け加えたそうです。平成元年はバブル真っ最中でしたね。

 官製春闘と言われて6年目ですが、「官製春闘」とマスコミが書くのは(言うのは)、もともと官製春闘は「異常なもの」という意味で言っているわけです。

 異常なことを6年も続けるというという執念は凄いですが、やっぱり異常は正常に勝てませんし、一国の総理が6年も異常なことを「効果もないのに」言い続けるというのは「何かが正常でない」という事の証拠かもしれません。要注意でしょうか。

 今年変わった経団連の中西会長は、「賃上げは労使が決めるものでナンセンス」といったとかとありましたが、画像では、挨拶の後、お互い、にこやかに握手していました。
にこやかさの中身は同床異夢でしょう。

 経団連やその構成企業はそれぞれに業績や労使関係などの事情があり、労使で責任をもって決めなければならないので、責任も権限もない第三者にとやかく言われるのは迷惑といのが本音でしょう。

 安倍さんが、「賃上げ、賃上げ」とおっしゃるのは、多分賃上げすれば景気が良くなると単純に信じているのか、それとも、なるべく高い賃上げをさせて、インフレになってくれないと財政再建が出来ないからインフレ待望なのかなどと勘繰らざるを得ません。

 このブログでも指摘し続けていますが、無理な賃上げは景気の悪化と物価の上昇を招き、国民の生活に迷惑をかけ、家計は将来不安感をますます強め、財布の紐を締め、消費不振が一層の景気の悪化につながる可能性が高いでしょう。
 
 政府の仕事は、国民の将来不安を少しでも安心感に変えるような、例えば格差社会化阻止に本格的に取り組むといった、政府にしかできない政策をきちんと取る事でしょう。
 「自分のやる事やらずに他人にものを頼むな」といった所ではないでしょうか。

 いずれにしても、安倍さん(安倍政権)の「思い込みの強さ」が、国民にとって危険な要素を孕むようになってきたことが気にかかる今日この頃です。

IWC脱退決定、日本のイメージを貶める愚行

2018年12月26日 17時30分44秒 | 就活
IWC脱退決定、日本のイメージを貶める愚行
 年末押し迫って、ビックリするようなニューが飛び込んで来ました。日本政府がIWC(国際捕鯨委員会)の脱退を決めたというニュースです。

 大方の日本人は、「なんで急に?」「クジラってそんなに必要なの?」「国際機関脱退したら日本は孤立するってこと?」と一様にビックリするようです。
 
 政府は昨日閣議決定して、今日発表したとのことですが、それまで何処でどんな議論があって、そんなことになったのか、関係者以外は誰も知らないのではないでしょうか。

 シーシェパードなどの日本の調査捕鯨やイルカの追い込み漁などに反対する運動のあることは多くの人が知っています。しかしそんなのは、国際的に見ても認知されている行動ではなく、「クジラ保護過激派」程度の評価が一般的でしょう。

 政府の説明では、IWCを脱退すれば、おおっぴらに日本のEEZ内では商業捕鯨が出来る、という事で、来年7月からそうしたいという事で急いでいる様子です。なんで来年7月からかいろいろな勘ぐりもあるようです。

 現状を見れば、IWCの加盟していて、EEZ内で商業捕鯨をしている国は、ノールウェイやアイスランドなどあるそうで、なんで大上段に振りかぶってIWCを脱退するなどという野蛮な行為をするのか、政府の頭の中が全く理解できません。
 まさかトランプさんがいろいろ「脱退」をするので、それがカッコいいと思っているほど単純ではないと思うのですが・・・。

 しかしそうした行動を取れば、「そうか日本という国は、自分に都合が悪ければ、国際組織から脱退する国なんだ」というイメージを世界に持たせることは当然でしょう(国際連盟を脱退し、太平洋戦争にまで突っ走った故事を思いだす人もいるでしょう)。

 戦後の世界は国連を中心に協調と 統合というという理念 のもとに、平和と経済発展を目指して努力してきたと思います。しかし、その努力が息苦しくなったのか、最近分裂の動きも一部に見えます。

 しかしそうした中で、日本は一貫して、国連中心、世界は分裂ではなくて、協調し協力して、平和で、豊か・快適な世界を創ろうと地道に真剣に努力して来たのではなかったでしょうか。
 そして、今では、日本は「そういう協調的な国になったのだ」という評価が定着してきていたのではないでしょうか。

 それなのに、たかがクジラで(と言っては関係者には申し訳ありませんが)、そうした70余年をかけて作り上げてきた日本の良きイメージを、一朝にして崩すような愚かなことをやるのが今の政府なのですか?
 まさに「百日の説法屁一つ」の愚行でしょう。

財政再建は棚上げですか?(つづき)

2018年12月25日 00時34分52秒 | 経済
財政再建は棚上げですか?(つづき)
 財務省は2017年度末の「国全体のバランスシート」を発表しています。中身は日本政府のバランスシートです。
それによりますと、(株)日本政府の資産は673兆円で、負債は1222兆円となっています。差額の549兆円は、赤字国債の額に相当すると注書きされていますが、企業で言えば債務超過です。

 通常の企業ならとっくに倒産ですが、国民(銀行も含みます)がカネを貸してくれている(国債を買ってくれている)から倒産をまぬかれているわけです。
2017年末の国債発行残高は853兆円です。しかし国民もそんなに買えないので、 日銀が市中から国債を427兆円も買い上げ政府が国債を発行しやすくしているのが現状です。

  という事で政府は国債をどんどん発行できますから、税収が足りなくても、国家予算を増やせることになり、歯止めが利きにくくなってきます。

 しかし、本当は健全財政が大事な事は解っているわけですから、国債発行額は国債費(国債の借り換え分と国債利息)に抑える、つまりプライマリー・バランス(PB)均衡(経常経費は経常収入=税収等で賄う)を2020年に達成すると言っていたのですが、予算が年々膨張するので、それを 2025年に伸ばしたわけです

 しかし現実は厳しいようです。2010年から2020年までは、リーマンショックからの回復期で、税収も法人税などを中心に増えたようですが、その時期にも出来なかったことを5年延ばせば出来るのでしょうか。

 財務省の試算によれば、「2015年から2020年」までの国・地方計のPB赤字のGDPに対する比率の試算は「3.0,%、3.7%、3.4%、2.5%、2.3%、1.9%」となっていて、2020年のBP達成はダメですが、この試算の数字も2018年から急に小さくなっているようで「?」マークがつきそうです。

 上の数列で、2019年は2.3%となっていますが、金額では13.7兆円です。2019年のPBの赤字は今度決まった国家予算だけで10.4兆円ほどのようですから(軽減税率導入で増えた結果)この試算は大甘のようです。

 PBが赤字の間は公債残高はその分だけ増えていくのですから、改善は容易ではありません。特に、今はゼロ金利政策で支払金利が少なくて済んでいますから何とかなっていますが、トランプさんがゼロ金利政策に文句を言う可能性もありそうですし、いずれにしても、 今後5年間もゼロ金利 とはいかないでしょう。金利が上がればPB赤字は増えます。

 こう見て来ますと、2025年度PBバランス達成もまた2020年の時と同じ様に反故になりそうです。
 政府は英語で「ガバメント」ですが、同じ語源の「ガバナンス」の方はどうなっているのでしょうか。

財政再建は棚上げですか?

2018年12月23日 14時36分24秒 | 経済
財政再建は棚上げですか?
 政府は消費税増税による景気の落ち込みを殊の外警戒しているようで、軽減税率の導入で、で何とかそれを防ぎたいと思っているようですが、複雑な軽減税率のやり方で混乱を予想する小売り業界から「軽減税率反対」の意見まで出ているようです。

 一方政府は「財政再建の旗は降ろしません」と言いつつも、2020年プライマリー・バランス回復を 2025年に延ばしています。安倍政権がそこまでやることはないのでしょうから、軽減税率導入で2兆円以上税収が減るというのは、財政再建に当たるポスト安倍の政権には迷惑至極かもしれません。

 こんなことになるのも、アベノミクスが考えていることが、一般庶民の考え散ることと違うからで、政府の思い込みで「これで有難く思え」と言っても「ピンポーン」ではなく「ブー」という事になっているからではないかと思っています。

10月の統計ではまた平均消費性向が低下しましたが、安倍さん以下政府が心配する消費不振による経済の停滞は、多くの人が率直に言っていますように、将来不安に備えて貯蓄に励む日本人の行動に原因があるのでしょう。

 ですから、賃上げを奨励しても、軽減税率で物価値上がりを抑えてみても、多分消費は回復しないという現実を経験することになるのでしょう。

 国民の将来不安は、少子高齢化の進展という現実から、社会保障制度が頼りになるかどうかに不安を持ち、老後や子育てなどこれからの生活防衛を、不確かな政府に代わって自分でやらねばならないという健気な考え方に根差しているのでしょう。

 現実の日本経済は、人口減少の中でもいくばくかの実質経済成長を続け、今後も経済成長は続くと誰も信じています。つまり国民一人当たり実質GDPは増えるのです。
 ただご承知のように、格差社会化が進んでいます。「稼ぐに追いつく貧乏なし」と言っていた江戸時代の方がよかった、今は「ワーキング・プア―」の時代だという事です。

 民間労使は一昨年の「経労委報告」と「連合白書」で人口減少への前向き・積極的なアプローチを揃って提言しています。「経労委報告」はその副題で「人口減少を好機に変える」と言っています。

 政と労使が意識をそろえれば、国民の将来不安を深刻化させない方途は必ずあるはずです。
 にも拘らず政府は当面の消費の落ち込み(実は政権の人気?)ばかりを心配し、軽減税率にかまけて、国民が最も安心する国家財政の健全化(日本経済の最大の弱点への対策)は先延ばしするばかりです。

 すでにマスコミには、政府が財政再建に匙を投げたのかと思われるような記事も出たりしています。
 選挙ばかりを気にして、ここまで放っておいた現政権の責任は誰が取るのでしょうか。次回は少し数字を見てみたいと思います。

株価急落と実体経済

2018年12月21日 17時18分35秒 | 経済
株価急落と実体経済
 このところの日経平均の下落はかなりひどいようですね。
 10月初旬の2万4000円台に乗せたころから、何かアメリカの様子がおかしくなったのに追随するような形で、少し上げては大幅下げといった状況です。

 大幅赤字を垂れ流しながら、NYダウは史上最高を更新してきましたが、この所、トランプさんの神通力にも翳りが出たようで、10月3日の26828ドルから昨日は22859ドル15%の下落になっています。

 「アメリカがくしゃみをすると日本が風邪をひく」と言われたのは昔の事ですが、投資銀行が投機銀行ななり、マネー資本主義の時代に入って、マネー市場でのNY市場の影響は一層大きくなったようで、日本の株価も、実体経済とはあまり関係なく「昨日のNYダウの下落を受けて」といった解説の通りにどんどん下がり、10月2日の24270円から今日の引けの20166円まで、17%ほどの下げになっています。

 世界中のお経済がいろいろな形の相互依存関係で複雑に絡み合い、一蓮托生のような様相になっているという面はありますが、現状を考えれば、高関税で守らなければならないアメリカ経済に比して、日本経済は、まだまだ健全のように思われますが、株価の下落率は日本の方がいくらかひどいという事になっています。

 そんな意味では、実体経済とマネー経済の動きには乖離があるというのも現実でしょう。よく、「株価は景気の先行指標」と言われますが、確かに株が下がれば、企業も個人の懐具合が悪くなるわけですから、経済活動は鈍化する可能性は高いでしょう。

 しかし、実体経済が頑張っているのに、マネー市場の思惑で株価を下げ、それが実体経済の活動を阻害するといった事になるのは、どうもまずいことだと言えるでしょう。
 トランプさんの支離滅裂のような経済政策で、アメリカの株が乱高下するのは勝手ですが、同じプレーヤが世界中の市場でマネーゲームをやって、その結果が実体経済の健全な活動を邪魔するようなこと(リーマンショックが典型)は出来れば避けたいものです。

 日本の実体経済が今後どう進むについては政府、日銀は強気の見方をしているようですが、(私も、今の日本経済は結構健全な動きをしていると思いますが)日経平均の下落は異常です。

 さて、実体経済を担当する人びとの勤勉な働きと、マネーゲーマーたちのカネでカネを儲ける思惑のどちらが、どのように推移して、どんな現実が待っているのか、ここは確り見ていく必要がるように思います。

 より多くの人とは、実体経済で生きていますから、実体経済が経済全体をリードすることを願っているのでしょう。さて、現実の行方はどうでしょうか?

2019年10月の平均消費性向は前年比1.9ポイントの低下

2018年12月20日 11時17分29秒 | 経済
2019年10月の平均消費性向は前年比1.9ポイントの低下
 今月は平均消費性向の報告が遅れて申し訳ありません。
 今月7日に、総務省から10月分の家計調査が発表になりました。この2ヶ月続いて、僅かですが勤労者所帯の平均消費性向は昨年同月に比べ 上がってきていました

 消費税増税は来年ですので、この2か月の上昇は微弱でも、何か傾向的変化の前兆かな、などと希望的観測をしていたところでしたが、今回発表の10月に至って、またかなりの平均消費性向の下落を見てしましました。

 予測(というより願望))は外れて、やはり家計の財布のひもは固く、勤労者家計の平均消費性向は前年比下落がどうも基調的な動きのようです。

 数字を見てみますと以下のようになっています。
昨年7月:64.2   今年7月:63.9月
  8月:75.2     8月:75.7
  9月:82.3     9月:82.8
 10月:75.6     10月:73.6
(注)10月分は差し引き2.0の低下ですが、正式に割り算すると表題の1.9のようです

7月までは、1月を除いてずっと今年の方が低くなっていましたが、8月、9月と今年の方が上回ってきましたので、その傾向が続くかどうかを見ていたところでした。

 今年は「家計調査」の家計簿の様式の改訂があり、統計調査としては、過渡期という面もあり、来年まで様子を見てい見ないと何か安心できない点もありますが、矢張り今の社会情勢、政権運営の状況では、国民の将来不安は拭えず、家計防衛、消費支出切りつめ傾向が止まらないのかと思ってしまいます。

 加えて、消費税増税と、政府肝いりの軽減税率の効果とがどう影響するかの判断も難しい時期に入ると思いますので、いろいろ判断の難しい面が加わります。それでもこのブログでは、経済正常化のカギを握る「平均消費性向」については、ずっと追いかけていこうと思っています。

来年度(平成31年度)の「政府経済見通し」を見る

2018年12月18日 22時23分28秒 | 経済
来年度(平成31年度)の「政府経済見通し」を見る
 きょう、内閣府は「閣議了解」の段階での「平成31年度政府経済見通し」を発表しました。
 閣議決定の段階では、雇用者報酬など分配国民所得の内訳も出されると思いますが、大枠は閣議了解の段階で決まりですから、来年度の日本経済について、政府がどんな見方をしているか見てみたいと思います。

先ずは来年度の経済成長率ですが、名目で2.4%、実質で1.3%とどちらかというと控えめかなと思われるような数字です。
 名目と実質の差が1.1%ポイントありますから、これは経済全体の物価上昇つまりGDPデフレータが1.1%上昇という事で、説明によりますとその内0.4%ポイントが消費税増税の影響だという事です。

 1.3%のGDP成長を支えるのは民需が1.1%ポイント官公需が0.2%という事で海外需要は、輸出、輸入等がトントンですから、(海外向けに)輸出主導の成長ではないと言っていることになります。

 ただGDPには入らない海外からの配当・利子などの収入(第1次所得収支)が多いため、それを含む「国民総所得」は名目2.5%、実質1.6%の成長になっていますから、これは相変わらず、経常収支の大幅黒字という事で、経常収支万年赤字のアメリカなどからは問題にされそうです。

 内需の中心は、何と言っても「民間最終消費支出」ですが、これは名目2.2%、実質1.2%の伸びとなっていまして、今年度の実績見込みの名目1.1%、実質0.7%をかなり上回ることになっています。
 軽減税率で駆け込み需要と増税後の一込みを徹底的に防いだとすれば、来年度は消費者の態度が積極的にならなければならないわけで、そうなれば結構ですがという所です。

 また、今年落ち込んだ住宅投資も回復、設備投資も今年度より伸びは落ちても堅調を維持といった見通しです。

就業者や雇用者の伸びは今年度の半分程度の0.7%、0.9%の伸びですが、堅調予測で、外国人労働力を入れなければという見方につながる所でしょう。

 消費者物価上昇率は今年度は1.0%の上昇で、来年度は1.1%とあまり変わりません。消費税増税の影響は、ごく軽微という見方です。最近の加工食品などの値上げの頻発を見ていいますと、ちょっと信じられないという思いもありそうです。
 企業物価は2%上がる見込みですから、企業物価の値上がりが消費者物価に波及してこないという見通しで、流通段階で利益を減らして吸収するという見通しでしょうか。

 色々と検討し、積み上げた結果でしょうが、総じて、消費税増税の影響はあまりない、経済構造には、消費が些か活況になりそう、しかし大きな変化はないといった見通しのように思われます。
 為替レートは$1=¥113.4と見通されていますが、トランプ・ショックなどが無いように願いたいものです。

景気は「いざなぎ越え」から「戦後最長」へ:持続への鍵は?

2018年12月17日 23時15分20秒 | 経済
景気は「いざなぎ越え」から「戦後最長」へ:持続への鍵は?
 最近、景気の上昇が長く続いていることで「いざなぎ越え」という表現をよく聞きます。このブログでも過去に何回か「いざなぎ越え」という表現を使いましたが、今回の「いざなぎ越え」はそれと違うので、一寸ばかり説明しておかなければと思っています。

 戦後の日本経済は好況不況を繰り返していますが、2008年のリーマンショックで不況になるまでに14回の景気循環がありました。戦後の、統計も取れなかった廃墟から立ち上がり、14回の好況を経験したという事です。

 その中で最も目立つ長かった好況が「いざなぎ景気」で57か月(4年9か月)でしたから、それより長く好況が続けば「いざなぎ越え」という事になるわけです。
 実はアその後バブル崩壊から立ち直った2002年1月から、リーマンショックの2008年2月までの好況気がありまして、この時すでに「いざなぎ越え」という言葉が使われていました。

 最近また改めて「いざなぎ越え」と言い出した理由は判然としませんが、前回の「いざなぎ越え」は、ほんの微弱な景気回復が期間だけは長く(73か月=6年1か月)続いただけで、好況の実感がなかったという事で無視されていまった結果のようでもあります。

(前回の73か月は「いざなみ景気」という人もいるようですが「好況感なき景気」とか「戦後最長の景気」などと言われ、人口に膾炙した名前がありません)

 ところで今の景気、リーマンショックからの回復として始まった景気(2012年11月から)は、アベノミクスが行き詰まったなどと言われながら、未だに続いていまして、年明けの1月まで続けば6年と2か月=74か月になり、「いざなぎ越え」を越えて、いずれにしても戦後最長になる可能性が大きいのです。

 多分これは実現して、その時はマスコミがまた新しい名前を考えてくれるのでしょうが、古事記に則れば「あめのみなかぬし景気」あたりでしょうか。これでは言いにくくて流行りませんね。

 いざなぎ景気が終わったのは、アメリカがドルを金と切り離したニクソンショックのせいでした。前回の73か月の景気は、リーマンショックが無ければ、もっと続いたでしょう。今回も今の景気が腰折れになるとすれば、多分トランプショックか何かで、またアメリカのせいになりそうです。

 という意味では、今回の景気が記録更新を続けるためには、アメリカがまともになってくれないと困るのです。
 もしそれが困難だとすれば、自力で景気を持たせるのは「内需拡大、消費支出の拡大」しかありません。

 それも出来そうになければ、やっぱりアメリカ次第になるのでしょうが、何か残念な気がします。何とか「アメリカが風邪をひいても日本は元気」とならないでしょうか。

今年を表す字は「災」だそうですが

2018年12月15日 22時56分15秒 | 社会
今年を表す字は「災」だそうですが
 確かに災害は多かったですね。過日、 自然災害による死亡者、行方不明者の数の推移の図を載せましたが、傾向的に増える様相に、私自身慄然としました。

 今回のカリフォルニアの火災もそうでしょうが、気候変動の状況を考えれば、日本列島の防衛のためには、本当の防衛予算は国土強靭化を主眼とすべきだという主張が現実味を帯びてくるのではないでしょうか。

 そうした意味では、今年の字を「災」にすることになった理由は、政府も国民も、日本のあるべき姿について、何を本当の重点に置くべきか迷いに迷っているからではないでしょうか。本当に必要な所に手が打てていないことの結果が「災」になったのではないでしょうか。

 先ず、国に基本法についてですが、「改憲」について日本人は迷っています。官僚は忖度か正義かの間で迷っています。経済面で言えば、アベノミクスは行き詰まり、消費税総勢を決めたところが軽減税率導入で昏迷状態です。日銀は、円安を狙ってゼロ・マイナス金利にしましたが、物価は上がらず、これからどうするか気迷い状態です。

 企業は、財務的には余裕が出来ましたが、肝心なエネルギー問題ですら主力電源を何にするか迷っています。消費者は1800兆円の個人貯蓄を持ちながら、これをいかに生かすか迷い、金利も付かない貯蓄残高を増やし続けています。

 国際関係では対米関係を中心に、今までの延長線でいいのか、対中、対ロはどうすればいいのか、相手の真意も読みかね、迷いながらの様子見です。対北朝鮮では、拉致問題への対応に迷い、アメリカに頼んでばかりです。

 そんなこんなと考えてみると、今年により適切な字は「迷」ではないかなどと考えてしまいます。これは、私自身、どう考えたらいいかわからあい事ばかりで迷いに迷っているからかもしれません。 

2018/12月調査、日銀短観を見る

2018年12月14日 12時51分08秒 | 経済
2018/12月調査、日銀短観を見る
 今朝、日本銀行から、12月現在の「全国企業短期経済観測調査:短観」が発表になりました。前回9月現在の「短観」の時、このブログでは「ピークは過ぎた感じがするが、アメリカの中間選挙の結果次第といった面もあるものの、企業は慎重ながら底堅い動き」といった見方をしました。

 今回は、米中摩擦など不安定さの増す世界経済情勢ですが、企業は比較的強気に、底堅い動きを続けている様子が見られます。
 注目すべきは、慎重な製造業に比し、非製造業の一部に「確り」の業況がみられることでしょうか。また中堅・中小企業で比較的業況が良い点も見られます。以下、主な点を拾ってみます。

<業況判断>
 業況が「良い」から「悪い」を引いたDI(回答合計100%)を見ますと
製造業では;
大企業:前回19、今回も19で「良い」がかなり多い状態が変わらず
中堅企業:前回15、今回17で2ポイント改善
中小企業:前回14、今回14で変わらずです。
 先行き(3か月)についての回答もあり、先行きの数字は多少下がっていますが、これは毎回の傾向です。

非製造業では:
大企業:前回22、今回24で改善
中堅企業:前回18、今回17
中小企業:前回10、今回11です。個人消費の改善の反映と見るところです。

<売上高>(2018年度の前年度比%)
製造業では:
大企業:3.4%、中堅企業:4.1%、中小企業:1.7%
非製造業では
大企業:3.2%、中堅企業:3.0%、中小企業:1.0% とすべて増加見込み

<経常利益>(2018年度の対前年度比)
製造業では:
大企業:0.1%、中堅企業:6.3%、中小企業:0.6%
非製造業では:
大企業:1.7%、中堅企業-0.2%、中小企業:-4.4%
と一部落ち込みもありますが、割合軽微で、しかも前回調査時の予測より改善という結果です。総体的に見て経常利益率の水準は良好の段階でしょう。

 あわせて調査している設備投資、ソフトウェア投資も殆どで前年度比10%前後の増加で、マイナス(不足)なのは雇用判断だけです。金融環境は勿論問題ない状況です。
 国際政治・経済環境の不安定はありますが、企業の現場では、好調、繁忙状態が続いている様子が見て取れます。
 特に非製造業の業況が上がってきている様子には、今後も注目の必要がありそうです。

難民問題へのアプローチ:2

2018年12月13日 12時45分33秒 | 国際政治
難民問題へのアプローチ:2
 前回見て来ましたように、今のような大規模の難民・移民問題は、難民・移民を発生させている国と受け入れを求められている国の、国レベルの対応に任されているのが実態で、UNHCRの手には負えないような異常な拡大を見ていると考えられます。

 このような状態を当事国同士の対応に任せておくというのは、地球人類のガバナンスの欠如と考えられるほど地球は狭くなっています。
 家庭内暴力や育児放棄に行政が対応するように、あるべき姿としては国連が国レベルより一段上の立場から問題解決にしっかり役立つことが出来るような工夫が必要でしょう。

 問題の根源は難民・移民を発生させる国、家庭を破壊させる家族の行動にあるわけで、先ず家族のあり方を正す事から始めるのが大切でしょう。後処理ではなく、問題の原因にアプローチし、そこを正す事が解決の基本です。

 今の国連には、その機能も能力もないと言っていいのではないでしょうか。国連が、地球人類社会のガバナンスを維持するという目的をもって作られたものであるならば、何時かは、地球人類社会全体の行政機関としての役割を、どこまでもつことが、地球人類社会の安定に最も貢献する組織たりうるのか、をきちんと検討していく必要があるのでしょう。

 内戦が有ったり迫害があったり、暴力や不法行為が日常のような国がるから難民・移民が発生するのでしょう。
 国が平穏であれば、人間は本能的に生まれ故郷、生まれた国に愛着を持ち、そこに住み続けたいと思うのが普通(例外もあるでしょうが)です。

 そうしたガバナンス欠如の国を放置しておくことが問題の根っこにあるのでしょう。
更にそれどころではなく、国連常任理事国の中にすら、内戦があれば、その一方に加担し、武器を供給して内戦を激化させるといった行為が行われているのが現実です。
 国連を世界の平和、人類社会の混乱をなくすために生かそうという意識が、本来、常任理事国に必須の条件であり、資格でしょう。

 内戦があれば、双方の和解を仲介し、国民の安定した生活のためにに心を砕き、力を尽くすのが国連の役割のはずです。

 国連の心臓部をこんな有様にしたままで、難民・移民問題を解決しようとしても、それは結果への対応だけで、原因に遡った真の解決にほど遠いことを、今更思い知らされているのが今日の状態です。

 今、地球人類、国連に加盟する国々は何をすべきなのでしょうか。